浜畑賢吉(俳優) ・客席と共鳴する舞台を
1942年東京生まれ 東海大学工学部機械工学科に進みますが2年で中退、俳優座の養成所に入りました。
俳優座養成所を終了後、1966年劇団四季に入団、舞台俳優の傍らNHKのドラマ「男は度胸」で主役を演じる等,TV時代劇やミュージカル等で幅広く活躍しました。
1994年からはフリーとして数多くの舞台に立ち、2004年からは大阪芸術大学で演劇を目指す若者の指導に当たっています。
趣味も多く、絵画の制作、音楽鑑賞、蔵書票の収集、東アフリカの動物を愛する団体「サバンナクラブ」にも所属しています。
最近の著書「舞台に生きる」の中で俳優として、演出家として、大学で教えるものとして次世代の指導者に残したい事をすべて纏めたつもりだと言っています。
去年、一昨年が舞台の仕事があまりに大変だった。
10年封印していたので、趣味の世界に戻りたいと思っている。
絵、蔵書票、動物の世界などもあるので、そちらに行きたい。
演劇を目指す若い人はみんなまじめです。
教えているというよりもやる気にさせる。
著書「舞台に生きる」 ある種の遺言だと思っている。
体験、経験、考え等を226ページに書きこんでいます。
日本は芸能が民間に沁み通っているので、初歩からのメソードは必要ないかもしれない。
東海大学工学部機械工学科に進みますが2年で中退、俳優座の養成所に入りました。
父が波乱万丈の人生を歩んできたので、せめて子供は安定するようにと、理系に行けと言われて、親の言うなりに学校に入りましたが、その後悩んで人を感動させる仕事に就きたいと思った。
「悲しみは空の彼方に」という映画を高校3年生の時に見に行って、教会で歌を歌うその人の歌を聞いてどういうわけかボロボロ泣いて、2回、3回みてやはりボロボロ泣いて、意味が判らずに泣いたというのが私の原点になったと思います。
俳優座の養成所にはどうして入れたのかと不思議に思います。
所属しながら入団テストを受けて、受かってしまった。
卒業してから四季に入る。(創立後11年目)
四季には30年いました。
営業から、稽古場の掃除、何でもやりました。
自分勝手なことをしてきましたが、集団に入ってからは自分を律しないと仲間とうまくいかないし、先輩、後輩との関係があるので、初めて人生でいい子になったのではないかと思います。
ミュージカルも子供向け位でチャンスはなかった。
午前中3レッスンをやって バレエ、ジャズ 倒れるぐらいまでやり、身体を作りなおして「コーラスライン」をやれて、人生変わりました。
「進め青春」「男は度胸」などに出演。
時代劇も出演するが、かつらの似あわないない人だと言われたりしたが、付けてみたら似合あって、ディレクターから「誤算だよな、かつら似合わない奴を選んだんだが」、と言われた。
わたしはTVドラマをやっていて、回りは舞台をやっていて戻りたいと思っていたが、様々な先輩と一緒にできて、後から考えるとついていた、宝物だと思う。
「俳優は妄想で生きている」 分析だけではその人物はでき上ってこない、どっかで妄想で纏めて固めていって自分の中に作り上げてゆく、そういう妄想力がないと人間が作れないのではないかと思う。
ものを考えていると、回りが見えてこない。(勝さんなどから怒られたりした)
役作りは楽しい、その人を取りこんでいる。
夏目漱石の役は何度もやっているが、漱石を取りこんでいる。
感じ方、感性を頂いている。
臭い演技、説明的な演技はいらない。
臭い演技は説明となる、臭く見えるから詰まらない、ちゃんとリアリティーがあれば臭いことしてもおかしくない、リアリティーとは嘘をつかない。
セリフはおぼえちゃあだめだと言っている、セリフを覚えると覚えたセリフが出てくる。
どうやって覚えるのかといわれるが説明できない、説明するとすればセリフを食べちゃうしかない。
覚えるのは左脳に入れている、左脳は一杯入れるとパンクしてしまうので、右脳(お腹)に入れてしまう様に取りこんでいけば、一杯入れてもどうということはない。
お客さんとの会話みたいなものがあるので、それを感じられるようになると、舞台に立って居るだけでうれしい。(若いころは判らなかった)
音叉の様に心の中が共鳴する、しかしうまくいかなかったら怖い。
経験を積めば積むほど怖くなる。
舞台が終わってホッとするがその瞬間が一番嬉しい。
「君才能がある」と若い人に聞くが、きょとんとしている。
若い人には必ず才能がある。(誰かが押さえ付けているか、自分で押さえ付けている)
50兆の細胞があり、その1/4が脳の中にあり、一個の細胞の中の遺伝子には30億の情報が入っているので、そのうちのどこかがONになるかOFFになるかで人生は決まってくる、自分の才能に自信を持ちなさいと言っている。
コンプレックスは誰にでもある、自分のコンプレックスを逆手に取りなさいと言っている。
そのためには常にいつでも、うきうきキラキラしていなさいと言っている。
ウキウキしているから才能が動く、遺伝子が動く、そのベースが感動です。
大学1年生に左脳を使わないゲームをやらせる(幼児は左脳を使わない 3才に戻す)
2年生は肉体的にも大人になってきて不安定だが、3年、4年生になると安定して凄く魅力的になってくる。
お客の数が減少している、閉館している劇場もある。
高度成長で劇場が増えてきて、今は減ってきてお客さんは減ってきている、お芝居のお客さんが減ってきている。
テアトロンという組織を立ち上げた。
点でやっていても駄目なのでリンクしませんかという事で、安くやれるし、総当数の人達が劇団等を辞めているが、そういう人たちは何らかの形でとってもいい応援団になってくれると思う。
人脈を次の世代に残して行ってあげられたらいいと思って立ち上げました。
日本は縄文時代から伝統文化、伝統芸能はいっぱい残っている。(古典芸能)