保阪正康(ノンフィクション作家) ・第25回 占領期のベストセラー
戦争が終わった後国土が荒廃したが、精神状態も歪みを持っていたが、栄える文化を確認するのが今日の狙い。
最初の第一位 「日米会話手帳」 32ページ 英会話の基礎として作ったら300万部以上売れた。
昭和20年9月に刊行
昭和21年 「旋風20年」 毎日新聞社会部長森正蔵ほか 真実は、動きは等、国民に知らせる。
表紙は横山大観 言論統制で知らされていない事実を、あからさまに描いた。
日本の国民に知らされていなかった、昭和6年ごろのいろんなクーデターの未遂事件、515事件、226事件の裏話、学問がどう弾圧されたかなどが記載。
軍部の独善主義、軍部を中心にした言論弾圧に対して実際はこうだったんだと国民に知らせた。
アメリカの占領時だったので、アメリカ側にとって都合の悪いことは検閲した。
非人道的な兵器だった原爆の問題等に対しては触れていない。
完全な言論の自由ではなかった。
尾崎秀実 「愛情は降る星のごとく」 (ヒューマニズム)
ゾルゲ事件で 昭和16年10月15日に逮捕 スパイ容疑 昭和19年12月7日死刑で処刑される。
朝日新聞の記者をしていて、辞めた後が外交評論家、政治犯の父親が獄中で妻と娘にあてた手紙を纏めて本にした。
三木清 「人生論ノート」 河上肇「自叙伝」 笠信太郎 「ものの見方について」等の高度の哲学思想を盛り込んだ本が売れる。
外国文学 レマルク 「凱旋門」 サルトル 「嘔吐」 知的欲求がいかに抑圧されていたかを感じます。
永井隆 「この子を残して」 長崎原爆で被爆してどれだけ生きられるか判らない。
子供達をどうやって次の時代は育てってくれるのか、という思いを込めて、この子を残して死んでゆく悲しさ、愛情を書いたもの。(ヒューマニズム)
「平和の発見」 花山信勝 仏教学者 死刑囚として絞首刑にされる人たちと会話をして、東條英機ら7人のA級戦犯の処刑の場面まできちっと書いて、どういう気持ちで彼等は逝ったのかを明らかにした。
世界50カ国語に訳された。
笠信太郎 「ものの見方について」 朝日新聞論説主幹 海外特派員をしていて欧米のものの考え方がよくわかっている人で、日本人と比較しながら戦後の日本人の生き方はどういう生き方があるのかを説明した本です。
この本の中に書かれたものでの一節で「イギリス人は歩きながら考え、ドイツ人は考えた後で歩きだす、フランス人は考えた後で走りだす」
日本人は独自の考えを持っていない。 まず考えを持つ事。
考えを持たないことが日本人の欠点だとこの本は言っている。
いまだに続いている命題だと思います。