鈴木のりたけ(絵本作家・イラストレーター)・〔ことばの贈りもの〕 私の絵本作家への道
鈴木さんの絵本「大ピンチずかん」はケーキを倒したり、牛乳をこぼしたりと普段ありそうな出来事に慌てたり、がっかりしてりするピンチの時の子どもの顔が描かれていて、ユーモアにあふれた作品が大人気です。 鈴木さんは一橋大学を卒業後、JR東海に入社、しかしもっとやりたいことを目指したいとグラフィックデザインを学び、デザイン会社で8年間勤務、その後デザイナーを経て、2008年に絵本作家になります。 2009年に仕事を絵で紹介する「しごとば」を刊行、「ぼくのトイレ」で日本絵本読書者賞を受賞、「しごとば 東京スカイツリー」で小学館小学館児童出版文化賞を受賞。
絵本「大ピンチずかん」が相当な売れ行きです。 昨年児童書で一番売れた本です。 総合でも2位に入ったりしています。 児童書業界ではなかなかない事です。 理屈ではなくて、肌感のあるピンチをえりすぐっていれるようにしています。 大人、子供に関係なくアルアルと言った感じです。 半分ぐらいは家の子どもが実際に起こったことです。 出版社の方ともわいわいやりながら作って来ました。 今子供は中3と小6と小4です。 「大ピンチずかん」ん構想を始めたのが小学生の低学年でした。
1975年、現在の静岡県浜松市中央区に生まれる。(48歳) 絵本作家としては2008年にデビュー。 大学卒業後はJR東海に総合職として入社。 やりたいことではなかったことから2年で退社。 グラフィックデザインを学び、デザイン会社に入社しました。 広告のグラフィックデザインを8年間やりました。 子供の頃は弁護士になりたかったです。 大学は一橋大学社会学部に行きました。 就職して、勝ち組みたいなそういった事では人生は決まらないよなと気付きました。 絵でいかにコミュニケーションをしてゆくのか、絵は手段ですね。 大学で学んだことは役に立ちました。
「しごとば」と言う絵本。 取材の本で、1冊に9職業ぐらい入っています。 実際の仕事場にはあまり時間を掛けられないので、一つの職業に対して取材は3時間ぐらいです。 写真などもたくさん撮ります。 自分が知らないことがいろいろ出来るという事は役得だと思いました。 絵を描くのは大変でした。 美容師さんの鋏とかいろいろ道具のことまで気になりました。 『しごとば 東京スカイツリー』は第62回小学館児童出版文化賞を受賞。 「しごとへの道」時間軸を長くして仕事の本質をあぶりだしたいなあと思いました。
新幹線の運転士は自分のことではなくて、取材して描きました。 少年野球の監督の話は本当にいい話でした。 こういうことがあるから人生は面白いと思いました。 パン職人も、その人が何を経て今この仕事をやっているのか、背後にあることまで含めてみる。 ここに出てくる人たちはまだ40代の人で、今がゴールではなくいろんな人に出会って自分の仕事の軸をちょっとづつ伸ばしながら、自分の人生を力強くあゆんで行かれると思います。 そういったことを感じて欲しいと思います。 道を外したらいけないとかではなく、悩みながら進んでいくことこそ、その姿こそ生きることの意味と言うか、、素晴らしいと思います。 答えは一つもないと思います。 子供たちに伝えることは難しいかとも思いますが、終わりではなくずっと続くんだよという事を、前向きな気持ちで判ってもらいたい。
研究者の方は不登校から始まって、世の中に阻害されているんじゃないかと思うぐらい、大変な時期もあったが、こういう人を取材するから本を作る意味があるなと思いました。 母親の対応の仕方も優しくてよかったと思います。 オーケストラ団員は本当にエリートで、取材した方は気さくな方で、どうしたら人と通じあえるかを、音楽を通して学んできただけなのでという事で、正面から取材すれば、本質の部分が描けるのではないかと思って、入れることにしました。 取材してみてゆくと誰にでもドラマ、ターニングポイント、素敵な出会いがあるんだなあと思います。