松本壮志(NPO法人TSUBASA 代表理事)・人と鳥の幸せを目指して
埼玉県新座市にある「鳥村」は行き場を失った飼い鳥を保護して、新たな飼い主への仲立ちをする、いわば鳥の駆け込み寺的な施設です。 運営しているのはNPO法人TSUBASAです。 代表の松本壮志さんは保護している鳥が一羽でも新しい飼い主に出会えるよう、イベントなどで全国各地を回って、愛好家たちからは、「鳥じい」と呼ばれています。 他のペットでも高齢者が飼えなくなることが良くありますが、鳥にはまた違った事情があるそうです。 飼い鳥と飼い主、そして周りの人に良い環境を作っていきたいという松本さんにお話を伺いました。
今約150羽ぐらいいます。 ここの所増えた感じがします。 インコ、オウム、文鳥などが多いです。 NPO法人TSUBASAは飼えなくなった鳥を引き取って、新しい里親を捜すという活動をしています。 高齢者、亡くなった方、病気になった方が多いです。 鳥は長生きで、鳩ぐらいの大きさで50年以上、100年と言う鳥もいます。 動物愛護法では終生飼養と言うのが義務付けられている。 飼えなくなった場合には、命のバトンをしていかなければならないのかと思います。 中継点にTSUBASAがあるものと思っています。
ペットショップで立ちいかなくなって引き取るというケースもあります。 うちの施設で一番長寿が還暦を迎えました。 なかなか里親が決まらない場合と、早く決まることもあります。 一般的な市場価格よりも半分以下の価格で譲渡しますが、残っている鳥たちへの世話代として寄付と言う形で頂いています。 鳥は頭がいいです。 10年振りにあった人もちゃんと覚えています。
ちょっとしたことが重なって、鳥が表に飛び出して迷子になってしまうというケースが凄く多いです。 コロナの時にペットブームが起こって、犬、猫が高騰して鳥を買う事が増えました。 飼ったはいいが、コロナが落ちついえてもいいやという事で、鳥は自由に飛ぶべきだと間違ったことを考えで、放してしまう方もいます。 野生化したインコ、ワカケホンセイインコは昔大量に逃げたという事がり、群れを成して繁殖して、今の様に増えて行ってしまった。 一羽で逃げると、カラス、猫、交通事故等亡くなってしまうケースが多いです。
全国の主要都市を回って、対面によるセミナーを開催しています。 オンラインでもセミナーの開催をしています。 鳥を飼っている人同士の交流は余り無いので、セミナーをやってきっかけを作ることが凄く大切かなと思います。 飼育崩壊の一つの共通点があって、鳥が大好き、歳をとる、多くの方が孤独の方が多い。 交流する事で未然に防ぎたいと思います。
昭和30年福岡県生まれ。 幼稚園の時代から鳥は飼っていました。 ヒヨコを飼って懐いてくれました。 雀の雛を飼って育てたこともあります。 鳩ブームで鳩もたくさん飼いました。 18歳で東京に来ました。 専門学校に通っていましたが、怪我をして新聞配達のアルバイトが出来なくなり、移動動物園との出会いがありました。 いろいろな幼稚園などを周りました。 辞めようと思いましたがデパートの屋上のちびっこ動物園が勤務先になりました。 色々あって2年ぐらいやりました。 その後動物プロダクションに入りました。 いろいろな動物を連れて行って番組の中で使うので、そういった仕事です。 動物ファーストではないという事で社長と喧嘩して1年で辞めました。
動物関係の仕事は諦めて、電気関係の会社に入りました。 8年間勤めて独立をして会社を作りました。(長野県松本市) 東京ならもっと仕事ができるという事で又東京に戻ってきました。 東京で会社を立ち上げてこれまで来られました。 松本時代にペットショップから犬を飼いましたが、2日後に骨折してしまって、病院に連れて行ったら物凄い栄養失調で、ダニだらけだと言われて、動物業界はおかしいなと再び火がついてしまいました。 自分にできることはあるのかなと思って、自分でペットショップを池袋に出しました。 犬や猫も100日以上、ワクチンを2回打たないと販売しないという事を決めました。 親と一緒にある程度の時間を過ごすことによって社会性を学ぶので、いい犬猫になる。 しかし購入側は大きくなった犬猫は買わないので、半年後には閑古鳥が鳴くような状況になってしまって、契約上すぐに店をたためないので、家に飼っていたインコなどをその店で放し飼いにしていました。(売る気はなかった。)
段々鳥を売ってくれませんかという事になって来ました。 そして鳥の販売の方に切り替えていきました。(1998年) 狭くなったので埼玉県に移りました。 電子部品の会社もずっと続けています。 そのため理想のペットショップが出来たと思います。 全国からこられました。 2012年にNPO法人TSUBASAを立ち上げました。 職員の給料、家賃、餌代、医療費などがあるので費用が掛かりますが、募金、セミナー、イベントでの収益などでぎりぎり何とかやっています。 今10人近くいます。 鳥専門の獣医もいます。 本当に飼ってもらえるものかどうか、2回鳥と面接をして、3回目に引き取ってもらうというようなシステムになっています。 里親は関東近辺になってしまいます。 鳥が人を選ぶというコンセプトでやっています。 過去の記憶があるものと凄く感じています。
動物業界を変えたいという思いは、今でもあります。 繁殖場で鳥を迎える様な時代が来ないと、鳥たちの今に現状は良くならないと思います。 アメリカでは20年以上前から鳥を繁殖場から迎えるようになっています。 地方でTSUBASAみたいな施設を作る様であれば是非お手伝いをしたいと思っています。 又TSUBASAの直営店も増やしていきたいと思っています。