2024年5月19日日曜日

沢野ひとし(エッセイスト・絵本作家)  ・〔美味しい仕事人〕 台所を楽しむ

 沢野ひとしイラストレーター・エッセイスト・絵本作家)・〔美味しい仕事人〕 台所を楽しむ

沢野ひとしさんは児童書の出版社勤務を経て、書評誌創刊時の1976年からその表紙と本文のイラストを担当、又山岳をテーマにしたイラストエッセーで人気を博しました。 これまでのエッセーで食についてはしばしば登場してきましたが、80歳を目前にした沢野さんは台所には生きる底力が詰まっているという心境に至ったそうです。

台所がコの字型になっていて、カウンター居酒屋みたいになっています。 おたま、鍋、包丁などを吊るす家がありますが案外効率が悪いです。  キッチンの高さは高くないとやりずらいです。 道具が多いと料理ができにくくなります。 使わない道具があってもしょうがない。  台所は危険なところなので或る程度整理しておかないといけない。 本当に必要なものを用意する。 「爺にとって台所は上昇志向の場であり、瞑想にふける茶室である。」  

山登りは歩いている時間がほとんどです。 朝冬だと、2時に起きて3時にテントを?4時に出発、夏では3時に起きて5時に出掛けるという事で、2時間しかない。 夕方も3時に着いたらご飯作って5時に寝るという感じです。 マイナス15度ぐらいのところでは簡単な料理しか作れない。 

小さいころから高校、大学のころまで兄と山に行ったりスキーに行ったりしていました。 料理は兄から教わりました。 塩の分量なども多すぎると調整が出来ないので、最初は薄目にします。 高校の頃には一人で登山をするようにもなりました。 「人生のことは全て山から学んだ。」 ザイル、ロープ、アイゼン、ピッケルなど使い出す食料はどうしても軽くしなければいけない。 食糧計画はきちっとしないといけない。 「バクダン」といって醤油の中に煮干しを入れて、唐辛子、胡麻、昆布入れて持っていくと何にでも使えます。

万能調味料「ペミカン」(カナダ及びアメリカに先住するインディアンたちの伝統的な食品)、ラードにネギ、ニンニク、ジャガイモなどを細かく切って、密閉容器に入れる。 歩く時間が多いのでポケットに雨、チョコレートなどを分散しておき、食べながら歩くことが多いです。 

トムラウシチャーハン、北海道のトムラウシ山に行った時に名付けたチャーハンです。 米は30分ぐらい必ず水に浸ける。  中国には何十回と言っています。 全土に行きました。 最初はツアーに参加して段々慣れてきて、作家の友人などをとの交流もあり増えていきました。  

歌謡曲はその時代とその時代の風土、から自分は離れられないですね。 昭和の曲は涙っぽくなりますね。 美空ひばり、フランク永井、森進一・・・。   

お薦めの鍋料理としては、まずショウガを擦ってショウガ鍋、鶏肉を入れて、豆腐、ネギを入れて、それが一番好きですかね。 ちゃんこ鍋も好きです。 鍋料理はあまり凝らないです。  大根の煮物も好きです。 大根とイカ、大根とブリ、大根と牛すじとか。    玉ねぎを半分に切って、ジャガイモを半分に切って、ニンジンは少し細かく切ってコンソメ入れてずっと煮ているというのもいいですね。  台所は火と水があり、心を温めてくれる、楽しいですね。