宗像伸子(管理栄養士・料理研究家) ・【美味しい仕事人】「食は命」です
40年近く病院に勤務し、患者の健康を栄養の面から支えてきました。 職がいかに生きる喜びを与えるか目の当たりにしたという宗像さん、病院勤務の後も大学での指導や栄養コンサルタントのほかNHK「今日の料理」のテキストに掲載されているレシピの栄養計算を担当するなど、食と健康に関する著作は130冊を超えています。 宗像さんに栄養に取り組んできた人生と生涯現役を支える食事力などお話を伺いました。
NHK「今日の料理」のテキストに分量のほかに栄養価の数字が出ているが、30年ぐらい前からレシピから計算して出しています。
先生によって油の量が多かったり、塩分量が多かったりしますので、編集部の方に連絡して、その方が先生にお伝えして、ではこうしましょうということもままあります。
乳幼児に蜂蜜はよくないが、インターネットでアップされたりして心配な点もあります。
高齢者の低栄養ということでお肉は食べなくていいよというような方がいますが、私はずーっと前からそんなことはないということをお伝えしていたのですが、まだまだそういう風に言う人もいます。 お肉は高齢者になっても食べていただきたい。 日野原先生も週に2回はステーキを食べていました。
フレイル、体力が落ちたとか、食が細くなったと感じる人がいると思いますが、このようなことが続くと健康障害を起こしてしまう、
サルコペニア、加齢により筋肉量が少なくなって筋力、身体機能の低下、転びやすく成ったり、躓いたりして骨折して寝たきりになる原因にもなります。 栄養の十分な摂取、体力の維持、運動が大切になります。
父が開業医で、95歳まで仕事をしていまして、母は料理が好きで、この道に入ったのかなと思います。
父は誰かが風邪をひくと鍋で部屋を暖かくして、すき焼きを食べてすぐに寝かせて薬、注射は一切なかったです、食事で治すということをしていました。
山王病院では舌の超えた患者さんが多くいたので料亭の懐石料理の店に行って2年間勉強したり、洋食の料理を勉強するために講習会に参加したりしました。 有吉佐和子さんからカレーの味を褒められた記憶があります
茂恵会半蔵門病院では手塚治虫さんからはにこにこして美味しいと言っていただきました。
ある末期がんの人が来て、主治医は食べられるはずだということで、バナナミルクを召し上がりますかと言ったらうなずいて、それがおいしくて、それがきっかけでどんどん流動食からおかゆ、普通食になり一か月ぐらいで元気になって退院されました。
材料別、調理法別にカードを作って、料理のカードが私が出る頃には1000枚以上になったと思います。
集大成が「一品料理500選、治療食への展開」で医学書専門の出版社から出させていただきました。 一品一品に病気の5種類に対してコメントをしていました。
予防医療ができる専門家としても活躍。 病気になってから食を正すということでは遅いのではないかと痛感して、予防医学の面から健康食とはどういうことかということをやりたいと思って、いろいろな媒体を通して啓蒙して、起業して現在に至りました。
生活習慣病予防のためのサロンで、一日2000キロカロリーがどんなものか、テーマに即したレクチャーをして、料理のデモストレーションをして、それを味わっていただきます。
一番大切なことは御出汁をしっかりとるということです。(塩、糖をうまく調節できる)
ゴルフをやっていて30年ぐらいになり、コンペをやっていて昨年で60回で終了しましたが、参加者は平均すると40名程度です。(出版社、医師、銀行、広告代理店、看護師・・・・) 会話を通して友好関係を持つというウエートが高かったです。
食事力は人間の基礎的な能力の一つと考えています。
食事力は100年を想定して、気力、体力を維持するために食事、食行動を自己管理することを言います。 まず大事なことは一日に何をどのくらい食べたらいいか目標を持つことです。
栄養計算はめんどくさいので4つ食品群を使って説明しています。
一群には卵、牛乳、乳製品、二群は魚介類、肉類、豆類、三群には体の調子を良くするビタミン、ミネラル、食物繊維で、野菜類、芋類、果物、四群には穀類、ご飯、パン、甘いもの、油もの という風に4つのグループにわけます。
この中から上手に朝、昼、晩の食事を組み合わせて摂る、それがバランスの摂れた食事になります。 野菜の摂り方が少ないということがありますので野菜はしっかり摂っていただきたい。
定刻に朝、昼、晩の食事を摂ることも大事です。
食事は栄養補給と共に休息の場でもあるということも知っていただきたい。
家族、友人と楽しく食べることも大切です。
手作りの食事を心がけることも大事だと思います。
健康寿命を食事面で実践するということも大切だと思います。