2017年12月13日水曜日

小林由佳(乳がんブラジャー製作者)    ・片胸が無くてもお洒落を諦めない!

小林由佳(乳がんブラジャー製作者)    ・片胸が無くてもお洒落を諦めない!
39歳 小林さんは3年前に乳がんが発覚、医師からは2,3年以内に再発、転移しやすいタイプのがんと伝えられ、右胸の全摘手術を受けます。
その後離婚を経験、闘病生活の中で鬱状態になった時もありましたが、乳がん患者だからわかると、乳がん患者専用のブラジャーを製作する会社を立ちあげます。
片胸がなくても胸を張って生きていこうと呼びかける小林さんに伺いました。

私自身右胸の全摘手術をして、その傷が当たっていたかったりとかあって、下着で困った経験からこういったブラジャーを作っています。
普通のブラジャーを付けるとパットを入れて生活するが、パットが徐々に飛び出してくるんです。
うちはレモン型のパットを作って患者さんに渡しています、パットはS,M,Lで展開していますが、それの中間もあるのでそれぞれに工夫もしています。
がんになっていない人は色々選べるが、乳がんになると地味な下着しか選べなくて、不公平だと思って自分で作るようになりました。

乳がんが判った時は、胸がブラジャーに収まらなくなってきて、右だけが大きくなって病院に行きました。
不思議だなと思ってから3カ月後に病院に行きました。
腫瘍が4cm位になっていました。
最初病院から良性と言われて、念の為細胞診をしたら病院から電話が来て悪性だと言われました。
頭が真っ白になってしまいました。
主人に報告しないといけないと思ったが、大事な会議があると言うことでラインで報告しました。
主人との関係がうまくいかなくなってしまって離婚しました。
片胸が無くなってしまったことで、女性であるのに女性で無くなったという自分自身にたいする自信が無くなったことが大きかったと思います。
抗がん剤を強めに打ってもらったことで、生理も止まってしまって、良い細胞も壊してしまって、卵巣の機能も低下してしまって子供を産めない状況になってしまいました。
そうなることになるとは判らず治療をしました。

医師に話したら抗がん剤の為に生理が止まっているとの話だった、それを前に聞いていれば卵子を凍結して取っておく方法も可能だったとは思います。
友人からは胸がなくても命があるから大丈夫と言われたが、でも胸は無いんだよなと、立場の違いを感じました。(友人には子供がいたし、自分は子供が産めない身体になってしまった)
離婚後実家に戻って、暫く引きこもりになってしまいました。
インターネットで乳がんの患者が集まるグループを見つけまして、そこに入ったのが変わるターニングポイントだったと思います。
グループには300人ぐらいいました。
好きな人ができたが、胸がないというハードルが出来てしまい、自分自身に自信が無くなってしまって、恋愛にたいして前向きにできないのだがどう思いますか、という内容を投稿しました。
もっと重い患者の人がいるのに、と言うような反感の内容もありました。

数人から温かいメッセージを頂き、凄い励みになりました。
或る方からは自分の命を日々燃やして生きていると言うような状況の中で、温かいメッセージを頂きました。(その方はそんなに重症だとは知らなかった。)
その方は私にメッセージを送った2カ月後に亡くなってしまいました。
悲しみに暮れましたが、私にしてくれたことを今度は私が何かしようと思いました。
下着に困ってしまっていて下着を調べて行くほど、機能はいいが可愛くないものが多いと言うことと、輝くことをあきらめてほしくないと言うことがありました。
結婚式の時のブライダルインナー、美に対してのこだわりがある。

カウンセリングをして、現状困っている事を全部話を聞かせていただいて、その方に合った下着を選んで着けてもらって、加工して出すようにしています。
患者さんに寄り添ってあげることが言葉をかけるのではなくて、そばにいてあげることだと思います。
乳がんの患者さんは胸をカバーしたいので、洋服の上に洋服をみたいな感じできたりしますが、Tシャツ1枚、シャツ1枚、身体のラインが出るドレスを着ることが嬉しいみたいなので、一つ一つ解決してきたのが良かったと思います。
乳がんブラジャーのファッションショーを今年の夏に札幌で開催。
私自身も参加して下着を付けて歩きました。
前向きに生きていることを見ていただきたくて、歩かせていただきました。
患者にとって希望の星だと言われて、先導して歩いていけるような存在になっていけたらいいなあと思います。
会社を立ち上げて両親が凄く応援してくれて、母は私が子供が産めなくなったことに対して、「あなたは今乳がんの患者さんのために下着を作ると言う仕事をやることに決めたのだから、あなたが社会に遺伝子を残しなさい」と言ってくれたのが励みになっています。