2017年12月21日木曜日

菊本照子(ケニア・マトマイニ孤児院院長) ・アフリカの大地に生きる(2)

菊本照子(ケニア・マトマイニ孤児院院長) ・アフリカの大地に生きる(2)
目の前にいる困窮状態に陥った子供たちに、手を差し伸べる意味で、孤児院の存在があるが、本当はそういう子供達を路上に追いやったりするその根本要因は貧困層の女性達で、14、15歳で母親になってしまう女性が沢山いて、子供達は面倒を見てもらえないから路上にという悪循環が今でも続いている。
シングルマザーを支える、自分の家族を支えてゆく手伝いができたらより良くなると思っていたので、孤児院をやって10年たった時に、助成金もいただいたので女性の職業訓練する処を建てて、そのひとつが今ではフェルト工房と言うことで残っています。
羊の原毛を購入して、手を加えて染色したりしてアフリカの動物たちの人形に仕上げて行くもの作り工房を作りました。(色んなものをやった結果これが残った。)

14、15歳で母親になってしまう女性は子供の育て方も知らない。
職業訓練をする時にはスラムの周りの人が面倒見たりそばに建てた託児所で対応したりしました。
最終的には稼げる人に育ってゆく。
日本だけでなく、ほかの海外にも送っています。
作った人の名前が書いてあって自動的に給料に繋がります。
立派な給料(2万円以上)をもらう人もいて、人数は少ないですが自分の家族を養っています。(周りにいい影響を与えています)
色んな方の知恵を頂きながらやって来ました。
今は総勢21人です。
下手な人からどんどん伸びて行った人もいます。
売上高払いなので辞めて行った人もいますし、その前の加工の単純作業に加わった人もいます。

或る方からフェルト針を使って動物を作るヒントを頂きました。
作ってみたら売れて、ピンクのキリンをある人が作ったらこれはかわいいと言うことになり色んな色の動物が出来て来ました。
デザインもいろいろ工夫して色んなものが生まれつつあります。
1カ月で500~600個作ります。(約1日一人1体です。)
最初は物乞い的な人が段々ものを作っていくうちに感覚的にも斬新なものが生まれて褒められて、収入につながって行くことによりとっても嬉しいことで、そして生活を支えて行く。
貧しくっても誇りを持って生きていると言うこと、色んな向こうのエピソードを語ることによっていい意味でのインパクトにはなっていると思います。
物として価値があると見ていただいていると思います。
地域にもいい影響を与えていると思います。
風土、政治的なことも変わっていないと思うが、ちょっとした刺激を与えるとチャンスがあると伸びて行く人がいると言うことを知ったことは私にとっては大きな目を開く、わたしにとっても成長の大きな糧にもなりました。
人々の目を見ることが変わってきたと言うことで社会そのものは変わらないが、そういうものを見るチャンスに恵まれていると言うことで幸いだと思います。

皆の持っている能力を引き出すチャンスがなかった。
一緒に何かをしながら歩んでゆく、長い年月でようやく判った事があります。
チャンスを作る役目が私の仕事の一つでもあります。
日本人の物差しで相手を見ると言うことは多々ありました、それは反省です。
日本では水道をひねると水が出てくる、そういったことは当然ですが、当然ではない国が多くあって人々は1日かけて水を汲みに行くのが今でもあるわけです。
日本は本当に恵まれていて、それを有難いと思わないことは残念と思って、そういう目で日々の生活を送っています。
自分たちの生き方をちょっと違う目で見てみると言うことは学びのチャンスを得ると言うことになると思います。
日本は基本的に人様の眼を気にして生きている社会、ケニアはあまり気にしない社会、
向こうから学ぶべきものもたくさんあると思います。

ワンガリ・マータイさん (ケニアのノーベル平和賞者)は人権問題、環境分野の活動をしているがグリーンベルトムーブメント(身の回りに木を植えようと言う活動)を進める。
最近、気候変動を皆が言います。
植林啓蒙を行ってきた人たちがいたが実現されなかったが、段々広まって来ている。
砂漠化は大きな問題です。
足元の土が劣化していき、作物が段々できなくなってきていると言うことは、今でも起きています、木の伐採も続いています。
木を植えようと植林活動をやってきています、大きなテーマです。
最初からやって来ました。
サバンナの土地が森になり、今後も木を植えること、私なりのグリーンベルトムーブメントの活動を続けていきたいと思っています。
木が伐採されて炭になったり、木材にして送られたりして、どんどん森が少なくなって行く土地柄なので水も無くなって来る。
植林活動は次の世代に伝える大きなメッセージだと思っている。
植林の時の水は雨水を逃さないように、工夫利用して木を育てていくようにしています。

テロの集団の影響、今年選挙があったが、いつ何か起こるか分からないと言う治安の問題はあります。
安全な国とはいえないので、今日一日を大事にと言うことは心得ています。
マラリアには今のところなっていないです。
2013年に大きなショッピングモールに無差別射撃があり色んな方が亡くなりましたが、その場にいたらということもありました。
私の国籍は日本人です。
普段はこんなににこにこしていなくて机を叩いたりしていますが、苦が九、楽が一の生活、それでよしと思ってその一に出会うととっても嬉しいし、次の一歩を踏み出すエネルギーになっています。
違う歴史、文化、植民地だったこと、伝統が違う、その中から気づくことがある。
日本の自分の尺度で計ろうとしていたという反省があって、厭なことの中にも面白いことがある。
自然、動物なども新発見がありドキドキわくわくします。
多様性に富んでいるのが魅力的で、色んな人々の生き方を今でも学び続けています。