2017年1月7日土曜日

永井伸和(不法滞在者を支援する)・ “外国人収容所”の実態から見えること

永井伸和(不法滞在者を支援する)・ “外国人収容所”の実態から見えること
大阪在住 42歳、日本国内には難民申請、出稼ぎ労働等様々な理由でやって来て不法滞在することになった外国人が6万3000人いると言われています。
永井さんはそうした外国人が収容されている国の施設の劣悪な環境や、施設から仮に出された人達の生活実態等を調べ支援を続けています。
そうした活動にはどんな意味が有るのか伺いました。

不法滞在している外国人を収容している施設が全国に17箇所あり、1000人ほどが収容されている。
在留資格がないと外国人は不法滞在となり、送還するための理由が有るかどうか取り調べ、強制送還すると決定されて、送還するまでの間を収容する施設です。
私が見られるのは面会場所のみですが、2~4人部屋に鍵を掛けられて閉じ込められて、5時間だけ共有のスペースがあり、電話を掛けたり、シャワーを、したりすることができます。
ハンガーストライキが2回あり 44名が5日間、14名が2週間から長い人で24日間行いました。
(水分、塩分のみ可)
長期間の収容を辞めてほしいと言う事でした。(2年ぐらい収容される。)
拘禁症状が出てきて、2~6ヶ月経つと体が衰弱してゆく事になる。
医療の要請にたいして対応が遅いとも言われている。
自殺未遂も結構あります。(大阪では2名自殺未遂をしている)
イラン人の難民で外にも出れないし、先行きのめどが立たなくて体調もよくなくて悩んでいた。

強制送還の対象者だが帰れない(3つに分類される)
①難民申請者(政治的、宗教的、民族的迫害をうける)、難民として認定してほしいと言う事で政府に認定されると、政府は保護しなければならないと言う形になっている、
②日本に長く滞在(80~90年代に出稼ぎに来た人々、観光ビザで来たがそのまま仕事を続けた)
3K、建築現場等は日本人の人が厭がり、イラン、バングラディッシュ、フィリピンの人達が真面目にやってくれると言う事で雇う方も歓迎していた。
③最近多い、技能実習生、(中国、ベトナムなど)中小の工場で働くが、来る前の条件とは違うと言う事で逃げる人が多くて、技術移転、国際貢献、学んでもらって日本が貢献しますよということだが、実習先から逃げてしまうと不法滞在となる。
収容施設の状況に関しては、求めているのは体調を崩して死んでしまうかも知れないのでと言う事で診察をしてほしい、狭い所に閉じ込められているので、長くなった人は出所させてほしい、といった内容。
人権を尊重してほしいと言う事もあります。

2008~2009年に掛けて隣りの街に住んでいた家族が入管出頭して、親は不法入国で日本に入り子供は日本で生まれ育って日本語しか話せない。
在留を認めてほしいと言う事で放送などもされたが、強制送還すると言う事だった。
子供だけ日本に残り、両親はフィリピンに帰国することになった。
家族が住んでいた町で日本から出て行けとか聞くに耐えない様なデモを行った。(ヘイトスピーチ)
そういったことを見て聞いてショックを受けて入管に関わる支援活動を始めるきっかけになりました。
自分自身も、小学生のころに同じ学校の子に心ない言葉を投げつけると言う様なこともあって、相手は在日朝鮮人だった。
これを背負わなくてはいけないと思って、取り組まなければ行けないのかなあと思っています。
自分が侵害したい側の強い立場になった時に、出来れば直したいなあと思って、その人と関われたらいいと思います。
大学では歴史の中で日本での優生思想など(優秀な民族を作るために悪い素質を持っている人は子供を産んではいけない)を学びました。
ナチスが障害者を虐殺、ユダヤ人を虐殺した、という事が有りましたが、日本でも強制的に行う事が有ったんです。
生きてゆくと言う権利は保障する中で生きていけたらいいと言う風に思っていますが、実際はそうなっていなくて、そういったものを無くしていけたら住み良い社会になるのではないかと思っています。

ミャンマーの人が亡くなったと言う事で経緯を調べたことが有ります。
2013年の事件、昼過ぎに泡を吹いて倒れて、仲間が病院に連れて行ってほしいと要望したが、職員が1時間近く放置してしまって、救急搬送が遅れて、5日後に亡くなりました。
くも膜下出血という診断でした。
診療許可されないということは山ほどあります。
難民申請中は出所は許されないので、長く収容が続いて行くということはあります。
キャパが有るので許可を得て出所する制度が有ります。(一時的に収容を解く)
しかし就労はできない、保証人保証金が必要、国民健康保険に入れない。
カメルーンの方が亡くなったが、お金が無くて病院には行けなくて亡くなってしまった。
ギリギリの状況で暮らしています。
2015年末の時点で仮放免者が3600人。(法務省発表)

施設の中では透明性がほしい、医療の改善の提言もしています。
収容の期限を切ることが大事と思います。
仮放免された人の支援は二つしかない。
①送還する。
②ビザを与える。
違反ではありますが、自分の身を守るために難民として逃げて来た方なので、日本は難民認定数が少ない。
2015年が7000人申請して27人、2014年が5000人申請して11人です。
緒外国と比べて極端に少なくて、2014年ドイツでは1万1000人、イギリスが9500人、フランスが9000人。
不法状態におく事で利益を得てきたのは、安い労働力を得てきた企業、日本社会であり、社会全体が負わなければいけないと思います。(相互に責任が有ると思います)
テロのイメージが先行していて、外から訳の判らない人達が暴力を持ちこんで来る報道があったりするが、テロを慎重に考えた時に、私達の社会が生み出しているのではないかなと、考えてみることをした方がいいと思います。
どん底の人を支援していかないといけないと思っています。
どういう状況になっても自分が生きているということで、それ自体が尊重されると言う社会にしないと誰にとっても生きにくい社会になってゆくと思います。
本当は支援しない状況が一番いいわけです。