2017年1月4日水曜日

竹山 浩(盆栽職人)     ・四季を手元に

竹山 浩(盆栽職人)     ・四季を手元に
クールジャパンの代表としていまや世界から注目されている盆栽、竹山さんは欅、楓、梅、桜等四季の移ろいを楽しむ雑木盆栽の第一人者で、75歳。
雑木盆栽の大家といわれた父竹山房造さんのもとで修業を始めたのは 20歳の時。
大病を患った父の技を途絶えさせてはいけないと、父が築いたさいたま市大宮盆栽村にある盆栽園の二代目を継ぐ覚悟を決めたと言う事です。
以来、半世紀以上にわたって盆栽を作り続けています。

盆栽は大きく分けると、
①針葉樹松柏盆栽 (五葉松、黒松、蝦夷松とかの常緑樹の針葉樹)
②それ以外が雑木盆栽、(四季の変化が有るもの)
a、葉、枝を楽しむもの(楓、欅、紅葉など)
b、花を楽しむもの
c、実を楽しむもの

鉢植えは、ビニールポット、プラスチックの鉢など紅葉、梅、桜等、木作りはあまり気にしないで、それほど手を加えない。
盆栽は、木に合う鉢を使って、植えこんで、選定、針金を加えたりして、鉢の中に本格的な盆栽に仕立ててゆく。
子供のころから盆栽と一緒に育ったが、中学、高校になると、昆虫採集が好きだったので、山に行って蝶の採集をして、自然保護官になりたいと思っていました。
標本は約100箱ぐらいはあります。
高校3年の秋ごろ、父親が大病を患って、半年盆栽にかかわれなくなって、毎日の作業を母親と一緒に手伝っていましたが、盆栽をやろうと決心しました。
父親の元で修行に入りました。
夜、寄せ植え(父親が得意としていた)をやりました。
雑木では数本~数十本、奥行きを出したり、高低、太さも違うので自分の頭に描いたものに仕上がらないと、バラっと壊して 一からやり直す姿を見ていました。

父は松が主流の針葉樹松柏盆栽と同じように雑木盆栽を確立しました。
父は盆栽が好きでしたが、盆栽園ではなかったので郵便局に勤めていました。
勤めながら懇意にしていた盆栽園に通ってしていた様で、自分で盆栽で身を立てようと仕入れをして始まりました。
松柏類にたいして、半分の値段で出来たので雑木を作ろうと言う気持ちになっていろいろ研究した様で、木の太い細い、大小、長短を組みあわせて盆上に景色を作る作法も編み出した様です。
松柏盆栽と同格に育て上げました。
それには普段の木作り、枝作りが有ったと思います。
枝別れ、理想は二つ、三又は駄目だとよく言われました。
全体的な枝のバランスを取る。
修行は厳しかったが休みになると優しかった。
65歳で父は亡くなりましたが、晩年は同じ趣味(私は蝶、父はかみ切り虫)を一緒に楽しみました。

欅、まっすぐのびて半円形に枝がのびてゆくので、箒をさかさまにしたような感じです。
箒樹形が欅の樹形としては一番普通に見られる樹形、10cmぐらいでもそうします。
欅は種から作るのが多いです、自然に箒樹形になっていきますが、片方が太くなったりしますので調節はします。
葉が落ちるのも有りますが、椿等の木もあります。
木の中でも欅が好きで、冬の葉を落とした繊細な枝の柔らかな味わいが好きです。
それには培養管理が大切です。(肥料、病気など)
種類によって芽の出る時期が違うので、芽摘みを種類によってやってゆきます。
虫も木によって違っていますが、アブラムシはいろいろな木に付きます。
早い段階で見つける必要が有りますが、趣味の昆虫採集の見る目が有ったので、早い段階での発見ができます。
くちなしなど一晩で葉を喰われてしまう事もあります。
手をかけないでいると枝が暴れてしまう事が有る、樹芯部は成長が早いので、伸びすぎると元に戻すのには時間がかかります。
手間がかかりますが、その手間を楽しむことも有ります。

盆栽講習会にいろいろ呼ばれていきました。(30代前半ごろから)
大阪の万博の会場の日本庭園に入れ替えをしながら半年間展示しました。
後半にかけて大変な人気になりました、それが盆栽ブームのきっかけになりました。
1972年 沖縄が復帰して沖縄の人が盆栽協会に相談して、2年後に沖縄にも日本盆栽協会の支部が出来ました。
父も沖縄の盆栽協会設立にかかわりました。(父はその3年後に亡くなる)
その後私がバトンタッチして沖縄盆栽協会に関わって行きました。
沖縄では磯山椒 白い小さな花が咲き盆栽仕立てにはいいです。
ハリツルマサキ 沖縄独特の木、浜紫檀(はましたん)(松柏類に劣らない木だが寒さに弱い)
沖縄が復帰して日本の樹枝が増え、盆栽の幅が広がりました。

南アフリカのケープタウンに行って来て、どの程度の盆栽が有るのかと思ったが、立派なものもあり、その土地の木を使った樹形の盆栽も有りました。
欧米では米の盆栽の歴史は古いが日本に習えという感じが多いです。
中国は盆栽の発生の地ですが、中国も独特の樹形が見られます。
日本では一つの石に木を付けるのが通例ですが、中国では石を組み合わせて島の様にする方法が有ります。
吹き流し風の樹形(風に依り一方向に枝がなびく形)の大作が有ります。
海外では女性の方が多いのではないかと感じます、子供もやっています。
皆で集まって盆栽談義をするとか楽しみ方が違います。
日本の盆栽を見たいと言う人が多くなって、日本人より多いのではないかと思うほど多くなりました。
さいたま市に盆栽美術館が出来て6年近くにもなり海外にも発信しています。
世界盆栽大会、デモストレーターとしてやりますが、メインが4名、私は寄せ植えを担当することになっています。
楓を使ってやりますが、開催が4月27~30日、葉が出た後なので、普通はやらないが、冬の状態に戻してやる準備をしています。
日本では習おうとする人は今は少なくなってきましたが、海外からは逆に増えています。
将来を見据えて、盆栽アカデミーをスタートしました。
雑木盆栽の良さは四季の変化、これに尽きると思います。