緑川賢司(NPO全日本製造業コマ大戦協会理事長) ・町工場をつなぐ“コマ大戦
49歳、横浜の町工場で 20歳から働き始め、今は木型製作会社を経営しています。
これまで30年近く沢山の町工場とかかわって来て、日本のもの作り集団と呼ばれる中小企業の衰退してゆく姿を目の当たりにして心を痛めていました。
町の工場が潰れるとその技術も無くなってしまう。
これを何とかしたいと思いついたのが、昔よく遊んだ喧嘩コマ、最先端の技術を駆使して自分のコマを作り戦い合う、そして日本一を決定するコマ大戦です。
第一回大会を2012年に開催して以来、参加者が増え5年間で全国から2000の町工場が参加するまでになりました。
コマ大戦協会理事長と横浜に有る中小企業の社長、二つの顔。
木型製作は材料は木ですが、天然ではなく人工木材で、船、車などの(模型)木型を作っています。
今、10名働いています、会社は15年目になります。
リストラにあって、殆どの町工場は再建が不可能に近くて、技術が途絶えてしまう事が非常にもったいないと思って、業界全体をもりあげる方法は何かないかと思って考えていましたが、たまたま取り上げたのがコマ大戦という取り組みでした。
或る企業が飛行機の部品の展示会(フランス)に出品すると言う事で、ピ-アールするために小さな駒をつくって、来場者にプレゼントしていて、話題になった。
こういったコマならば日本のどんな工場でも作れるだろうという事で、閃いてフェイスブックに投稿したら、10人ぐらいがすぐに手を上げてくれて、これはイベントになると言う事で第一回を開催する運びとなりました。(2012年2月)
21チームが参加することになり、そこにNHK、新聞社などが目を向けてくれました。
コマを作る所から取材していただいて、本戦も取材していただきニュースとして流して頂き、反響がすごかったです。
駒は小指の爪位の大きさです。
心技隊というチームが有り、ルールをどうするか、どう言ったイベントにするかを投げかけました。
大きさは2cm以内の大きさ、2回続けて勝たないと勝ち抜けをさせないようにしようと言う事にしました。
指で回す、土俵が25cmの円形ですり鉢状になっています。
先に止まるか、土俵から出されたら負けです。
重量は制限が有りません。
トーナメント方式で、負けたら没収され、優勝者がその日のコマを総取りする仕組みです。
パシフィコ横浜で4つのブースを借りて行いました。(そのうちの2ブースでコマ大戦をしました)
最初は3チームが一緒に投げ入れると言う事を行いました。(今はやっていませんが)
その後トーナメント方式にしました。
最初の年はフランスの飛行機の部品の展示会に出展したチームが優勝しました。
大会は大成功でした。
2013年2月、第二回大会が行われました。
少年時代はガンダムがはやっていて、模型を作ることを経験していたので、木型を作る会社に就職しました。
会社が閉鎖してしまい、リストラに遭いました。
横の連携もなくても、営業マンがいなくても喰えた時代もありましたが、仕事量が少なくなっていって閉鎖に至りました。
或る企業経営者に相談しに行ったら、うちに来ないかといわれ50万円出してもいいと言われた。
もし君を雇ったとしたら若い芽を潰すかもしれないといわれて、もし会社を起こしたとしたら、同じように地域のリーダーと同じ土俵に上がれて、同じように活躍できる、という風に或る種勝手に勘違いして受け取って、賭けてみようと会社を作りました。(2002年に3人で会社を起こす)
営業の方法も判らず、ホームページを活用しました。
2008年にはリーマンショックがありましたが、その時は影響はあまりありませんでしたが、大震災では注文は減りました。
情報発信収集と連携、連帯の意識を持っていたので、売り上げが落ち込まなかった理由だと思います。
品質をより良くという面は持っていました。
最初3社あった取引先が1年後には31社になり、10年後には3000社になりました。
製造業全体でも何かできないかなっと思ってやったのがコマ大戦に繋がっていきました。
会社が無くなって技術がゼロになると言うことは、日本に取ってどれだけダメージが有るのか、付加価値を付けて売ることで経済が回っていたが、付加価値を付けて売る製造業が無くなってしまうのは国力の低下だと思って、町工場の技術を残すための土壌をどうつくるのか我々も考えているが、行政も考えて頂きたい。
第二回目は予選を行うほど、参加チーム(200チーム)が増えて、日本を7ブロックに分けて予選を行いました。
町工場で職人同士が繋がることはなかったが、コマ大戦をすることによって、横の繋がりが出来てきたと思います。
私の会社は木型屋なので土俵を作らせて貰う事にしました。
2013年から2年おいて、世界コマ大戦を目指そうとしました。
第二回コマ大戦が終わった後に、準備を進め始めました。
コマの形は同じものは一つもありません。
軽いコマは相手の廻転をもらい続けることができます、その時は左でまわして相手の廻転をもらってやるので意外と強いです。
バネで出来たコマもあります。
NPO法人になって頂き年会費をいただき協会の運営費にしたり、大会のスポンサーとしてサポートしていただいたりして運営しています。
今は会員は40~50位です。
ボランティアで全て今までやってきましたが、NPO法人になって助成金なども頂きやすくなったので、出張した旅費を出そうとかと思っています。
2015年2月に世界大会を行いました。
タイ、ベトナム、インドネシア、韓国、アメリカ、ボリビアからも来ました。
ボリビアは補助金等が無いために、来られないとの事で、日本のある女性が募金を集めて、渡航費60万円(2人分)を集めて二人を呼ぶ事になりました。
コマ大戦をすることによって人の出会いが生まれて、仕事が生まれる、仕事の融通、コマの販売とか把握しきれないぐらいの量が仕事として生まれています。
年齢層が広がって、コマを作るところから老人ホームに伺ったりしています。
子供コマ大戦、戦って負けると泣いてしまう子などもいて、親は良い体験をさせてもらったと喜んで貰っています。
高校生コマ大戦、去年11月に4年目になり、35校111チームが来て、数年したらコマ甲子園になるのかなあと期待しています。
工業高校生が強くて負けない様なレベルになっています。
2017年4月 3回目の日本全国大会が有ります。(予選は終了している 16チームが本戦に出場)