岡田芳郎(元広告ジャーナリスト77歳) 定年人生を心豊かに |
1934年東京都生まれ、電通入社、CI室長、電通総研監査役を経て1998年に退職 |
横井也有(やゆう) 楽隠居の進め 古い文体に触れた おけら伝(自分に対する戒めの言葉) おけらはいろんなことが出来るのだけれどもみんな満足にはできない |
跳ぶんだけどうまく跳べない 泳ぐんだけどうまくは泳げない 走るんだけどうまくは走れない 等々 |
ここに一人の老人がいます この老人は詩を作るんだけど詩になっていない 歌を歌うんだけど歌らしくない 書き物はするんだけど出来が良くない |
横井也有は42歳のときにこの本を書いているが翌年尾張藩の寺社奉行になる 油ののりきっている時にかいたもの(自分を厳しく見つめる) |
「うずらごろも」俳句の文集を集めた物 26歳~亡くなるまで書いたもの 草庵に残されていた |
大田南畝がこれを読んで面白いと思い 蔦屋重三郎 版元から出版された けら翁伝 |
以下の4つの事が老人が生きてゆくには大事なことなんだと言っている |
①心が和らいでいる(ストレスがない) ②何事も自然の成り行きに任せて焦らない ③環境に安んじてゆったりと暮らす(自分の現状を受け入れる) |
④一つの事に凝り固まらない (余り思いこまないで柔軟に行動する) |
気持ちよく(清く)忙しいのはいい事だ(目的を見つけてトライしてゆく) |
当時の寿命は50~60歳 年老いて恥多し |
第一線から退いた人は以下の4つを考えるべきではないか |
①人生は有限だ(だからやりたい事を今やるんだ 今を気持ちよく暮らす 周りを大事にする) ②自分で幕をひく |
自分で幕を引くにはある程度自分に力が残ってるときに引かないと引けない 余力で次の道に進む ③自分の役割を常に開発する必要がある |
傍観者にならないで自分が自分の人生ドラマの主役なのだから自分が登場人物として活躍する そういうドラマなのだ どんなことでもいいから自分で動く |
④自閉しない 外の物をなんか取り入れる仕組み(仕掛け)を持つ 第一線から退いた人はこの4つを考えるべきではないか |
岡田さんは定年になってから 本を出版 それをするためには沢山の取材をした 取材することによって自分の好奇心を満たす 人と会う 旅行しなければできない |
横井也有は名門の家に生まれたからこそだと思いますが、尾張藩と云う家がらとか横井家の 家長としてのいつも立場をわきまえて生きていかなければいけないと言う |
束縛というかそういうものから早く逃れて、一切の束縛の無い言わば虫けらのように成って行きたい、 自然のなかに生きたい |
横井の考え方は人の世は小さな世の中である 自然 虫とか草花とか獣とか自然の現象(雨とか風とか) 大きな世界である 大きな世界の中の一つとなりながら |
自ら「無」 ゼロになってゆく そのようなものが彼の求めた境地なのではないか |
粋な人 器は形がある 形の中に(自分の形に)従えようとする 袋と云うのは風呂敷もそうだが形がない 中身に従って形が出来る 「虚実の自由自在」 |
松尾芭蕉が「虚に居て実を行うべし」 嘘の世界の中に真実がある それが俳句だよと云っている 俳句を作る時にその中には虚がある でもそれが真実だ |
俳句と云うのは本当の事を本当にある事をそのまま俳句にすれば良い俳句になると云う訳ではない その中に真実といったら抽象的ですけれども 嘘があることによって |
本当以上に本当になる それが本当の俳句だと言っている |
良い俳句と云うのは本当にその事があったかどうかは実は関係ない 感動する俳句があるが感動する俳句と云うのはそこに実があったからですよ (真実 人に訴えるものがあったから) |
人に訴えるえうものがありと云う事は虚というものがそこにあることによって真実を見つけ出すと 言う事です そこが表現と云う技術ですね |
「夏草や つわものどもが 夢のあと」 むせかえるような夏草の中で幻覚のようにつわものの 叫びとか甲冑の姿があるが芭蕉のイマジネーションの世界 なにもない草原に |
行った時に人の空しさ、を感じる そこにドラマが生れてくるわけです |
「やがて死ぬ 景色は見えず 蝉の声」 違う次元の世界を見る |
横井は52~82歳まで庵で過ごす 粗衣粗食 風雅に生きる 町人とはちょっと違う 高級官僚は教養をもっていた 中国、古典、等々 |
定年後に勉強している |
「老いは忘れる方がいいんだけれども、でも忘れてはいけない」 →老いてゆくと言う事は考えない 方がいい 忘れて生きてしまってるのがいいんだ |
だからいつまでも生き生きと若々しく生きていければそれはいいことなんだ ただ一方自分は実際には年を取って行く訳だから,老いてゆくんだと云う事は忘れてはいけない |
「さくらさくら ひとひとさくら いないひと」 |