2016年12月19日月曜日

杉井ひとみ(徳島の盲導犬を育てる会)・命の音を守りたい

杉井ひとみ(徳島の盲導犬を育てる会事務局長) ・命の音を守りたい
昨年 10月徳島県で視覚障害者の山橋さん(50歳)が盲導犬と共にバックしてきたトラックにはねられ、死亡する痛ましい事故が起きました。
この事故がきっかけとなり視覚障害者が安全に生活できる交通環境の整備が大きく進みました。
徳島県では全国で初めてとなる、トラック等がバックする際の警報音を義務付ける条例ができました。
又国土交通省は走行音が静かなハイブリッド車等に周囲に接近を知らせる装置の取り付けを義務付けることを決めました。
事故で亡くなった山橋さんの友人であり、徳島の盲導犬を育てる会の事務局長、杉井さんは事故の後、視覚障害者の安全を訴える活動を続けてきました。

事故を聞いた時、とにかく現場に行かなくてはと思いました、いまだに彼が亡くなったとは受け入れられません。
山橋さんは病院に勤務していて、通勤途中だった。
歩道のない道で右前方からトラックがバックして方向転換をしようとしてひかれてしまった。
盲導犬が気がついて避けようとした、という鑑識からの報告でした。
山橋さんは前進してくるのか、バックしてくるのか判らなかったと思います。
バックしてくる音が聞こえていたら命まで落とさなかったと思います。
視覚障害者は歩いている時に音を頼りにしていますが、前から来ているのかどうか分からないため、前進してきているのであれば、運転者が気付いてくれると思います。
バック音は近隣の人からうるさいと言う事で、切られていたと言う事でした。
視覚障害者にとっては歩く情報源なので、恐ろしい状況となる訳です。

知事さんは1週間で警察庁に出向いて、視覚障害者の音問題について要望書を提出して、県議会もまず条例化をしようという動きが有りました。
トラック業者に音を鳴らしましょうとは、事故の二日後には発令されました。
心に訴えかけるものにしようと私達は考えました。
山橋さんのパネル展を行いました、(50か所)、県外からも要望が有りパネルを貸しました。
山橋さんは交通安全にもかかわっていました。
山橋さんの母親が手紙を製作、それを講演会等で読みました。

「息子衛二は同乗していた自動車事故で意識不明の重体となり、3カ月の昏睡状態から目が覚めた時は視力を失っていました、絶望の中から立ち直れたのは盲導犬のお陰です・・・あの事故の日は特別な朝でヴァルデスの10歳の誕生日で、引退を1週間後に控えていました。
ヴァルデスに特別なお肉を与え頭を撫でてやりました。・・・それから30分とたたないうちに事故の知らせを聞きました。・・・衛二はヴァルデスを心配しただろうと思いました。
ヴァルデスは即死でした。
逃げようと思えば助かっていたのに、最後まで衛二のそばを離れなかった。
・・・加害者のことを思うと今でも怒りに震えます。
でも加害者にも家族がいてその母親も悲しい思いをさせていると思うと心が痛みます。
・・・どうぞ皆さんもいつも貴方の事を心配している母親がいることを思いだしてください。
・・・人を傷つけても、傷つけられても母は悲しいのです。
・・・この事故をきっかけに視覚障害者は音が頼りで大切な情報源であると言う事に気付いてもらえました。
・・・警報音は命を守るために必要な音です。
・・・変わっていかないと二人の死が無駄になります。
これ以上の犠牲者が出ない様に、交通事故が亡くなるように祈っています。」

山橋さんとは25年ぐらいの付き合いが有り、いろいろ相談をしたりしました。
子供が盲導犬を飼いたいと言い出しました。
パピーウォーカー募集の記事が有り飛び付きました。
生後2カ月ぐらいの子犬を預かって、人間関係とを築けるようなボランティアです。
山橋さんは19歳の時に事故にあって、自分の気持ちを変えていこうと冗談を言う様になったそうです。
当時、盲導犬が活躍できる環境ではなかったので啓発活動がほとんどでしたが、盲導犬の育成に力を入れたいという事で、なにをしなくてはいけないかということは、任せるという事で仲間を増やして行って、今の状況になってきました。
小学校に山橋さんと行って、障害がある人に対しての理解をしてもらうために、事故のこと、視覚障害の事、盲導犬のことなどを話しました。
クイズでいろいろ音の大切さを知ってもらったりもしました。
月に2回は必ず小学校に行っていました。(山橋さんは有給を全部使って)
盲導犬は安らぎを与えてくれる。

徳島県は歩道は幹線道路しか無くて、狭い道路が多くて、歩くには苦労します。
交通機関は便数も少なくて不便です。
ホームからの転落、周りに人が多くいる都会でどうして起きてしまったのかなあと思います。
警報音が義務化になる様に活動していて、理解してもらえるように、ポスターを作って全国に配布していこうという活動をしています。
13枚の種類が有ります。
「貴方の声が命を救う」、そうったことをポスターにしました。
親切なおせっかいになってほしいと思います。

山橋さんの事故をきっかけに、国土交通省は走行音が静かなハイブリッド車等に周囲に接近を知らせる装置の取り付けを義務付けることを決めました。(10月)
徳島県では全国で初めてとなる、トラックなどがバックする際の警報音を義務付ける条例ができました。
あの事故は世界の交通環境を変えるきっかけになったと思います。