楓友子(ステッキアーティスト) ・素敵(ステッキ)な杖で歩きませんか?
足の不自由な人が外出するときに、手放せないのがステッキ、その杖の従来の暗いイメージを覆すカラフルでおしゃれなステッキを作って喜ばれている若い女性がいます。
ステッキアーティストの楓友子(ふゆこ)さん、大学時代に交通事故で重症を負い、杖なしでは歩けなくなりました。
従来の杖で外出すると、かわいそうと同情されるのにいたたまれず、自分でおしゃれな杖を作ったところ、評判が評判を呼んで、とうとうステッキ作りが仕事になってしまいました。
足の不自由な人達に家の中に閉じこもらず、素敵(ステッキ)な杖で歩きませんかと呼びかける楓友子さんにうかがいました。
木製ですが、これはかなり軽いです。
7年前、交通事故に遭い、それから杖を使う様になりました。
車同士の正面衝突で腰の骨を骨折してしまい、脊髄神経を損傷して、右足に不自由が残っていて、それ以来杖を使う生活が始まりました。
頭も打って気がついたらベッドのうえで、一つでも違っていたら死んでしまっていたと医者に言われました。
交通事故の前に軽いうつ病をして、自殺未遂もしました。
その中で交通事故に遭い、実際に死を目の当たりにして、生きている事って何と素晴らしいことだろうと、逆に気付いて、事故にあったことによって、考えが変わりました。
入院は100日ほどでした。
大学4年生の夏のことでした、就職先は決まっていましたが、歩けるようになるのか判ら無い状態だったが、人事担当者が来てくれて、待っているのでリハビリに励むようにと言われました。
その後その会社に就職しました。
初めての東京での生活では満員電車の通勤は大変でした。
2年目の夏に、原因不明で歩けなくなったのが何日かあり、ショックでした。
人の持っている時間は有限なんだと知りました、歩く時間も有限なんだと知りました。
歩ける有限の幸せな時間を目一杯楽しもうと考えるようになりました。
事故以降は困難に当たってもポジティブに考える様になりました。
医療器具的なステッキを使っていましたが、或る日会社から帰る時にひじの輪っかの部分が折れている事に気付いて、街でステッキを買わなくてはいけなくなりました。
買う場所も判らず、百貨店の介護用品売り場にあることがインターネットで調べて行くと、30本位あり、介護用品を買わなくてはいけないことにショックを受けました。
杖はどれが一番ましか、という風な選択肢しかなかった。
ストラップとかリボンを付けたりしていたが、或るとき、杖ってそんなものしかないのね、かわいそうといわれてショックだった。
かわいい杖を作ろうと思った。
デザイン、工芸とかは一切していなかったので、どういう工具を使えばいいか判らず、試行錯誤を繰り返しました。
出来上って、それを持って出掛けた時が嬉しかったです。
周りの反応も変わって、かわいそうという周りの想いが、杖をどこで買ったのかという風に変わった。
ブログに写真を出して、欲しいというメッセージや、街中での声等で、段々と杖で悩んでいる人がいることが判り、作ってほしいという依頼があり、これを機に自分も仕事として始めてみようと決心をしました。
製作自体は4~7日程度です。
オーダーメイドの場合、お客さんの顔姿、好きな洋服、等を聞いて情報を集めて、それにあうイメージを描いてデザインしステッキを作ります。
カタログの中から選んでもらったりもします。(10種類 それに色のバリエーション)
装飾を取り変えたりできるようにも工夫もしています。
都内に2店舗ありそこにサンプルを置いています。
価格は1万5000円から5万円ぐらいまでです。
およそ200本ぐらいは使われています。
特に嬉しい時は出掛けるのが楽しみになったといわれることです。
ファッションの一部としてステッキを楽しんでいただけるような状態を作って行きたいと思っているので、介護用品売り場ではなく、靴、バックと同じように杖を買えるようにして行きたいと思っています、
ファッションショー(東京コレクション)で私の杖を使っていただきました。
海外のメディアも取り上げてくれました。
この夏ロンドンに一人で行ってきました、デザインを勉強してくることが目的でした。
私が杖を付いていても生活に苦労することはほとんどなかったです、電車の中でも席をさっと譲ってくれました。
建物は意外と段差があるが、当然のようにベビーカーを持ってくれたり、心のバリアーフリーが凄いです。
日本でもぜひ学んで頂きたいと思うところがたくさんあります。
だれしもが明日100%生きている保証はなく、一日一日、後悔無く生きたいと思うので、それが行動に表れているのかなと思います。
もっとおしゃれな杖を一杯だして行きたいし、もっと皆さんに手に取ってもらいやすい様な折りたたみステッキとか、作ってみたいと思います。
歩くのを助けるための杖が、杖が可愛くないから歩かないということは本末転倒なので、この杖のためだったらリハビリ頑張ろうという様な希望になる杖にして行きたいです。