2015年12月18日金曜日

高橋秀治(ロゴス点字図書館館長) ・点字とともに歩む

高橋秀治(ロゴス点字図書館館長) ・点字とともに歩む
73歳 網膜の病気で右目の視力を失った高橋さんは盲学校を卒業した後、点字を出版する施設等で点字を中心に仕事を続けて来ました。
1993年にロゴス点字図書館の前身である、カトリック点字図書館に転職、考える図書館をテーマに点字図書館の運営を続けてきました。
一方で高橋さんは選挙での情報格差は問題だとして、これまで6回の国政選挙で点字広報の発行を中心になって続けてきました。
高橋さんが今危惧しているのは点字離れです。
中途で失明した中に点字の習得を嫌がる傾向が出てきていると言います。
点字とともに歩んできた高橋さんの人生、半生を振り返りながら、点字の持つ表現の可能性等について伺いました。

点字図書は7900冊、録音図書は3万5000卷です。
厚いので90枚ぐらいが適当で、90枚を5~6分で読み取ります。(触読)
CD図書 1枚に最大限50時間が入る。
視覚障害者は6~7割が高齢者で、かなり点字が読みにくいという事で音訳の方に行ってしまいます。
考える図書館 
どうしてこんなつらい目に会うのだろうと考えるので、どうしたら生きる意味があるのだという事にぶつかり、人生には十分に生きる意味があり、前向きに生きる願いを込めて、考えるヒントを与えてくれるような本をどんどん作って、希望のある明るいものにしてもらいたいと言う意味での図書館運営をしたいという事です。
職員は10名、50~60名のボランティアの人が点字を打ってくれたり、録音したりして協力してもらっています。
人件費は東京都から補助金を頂いているが、自分達が他にやりたいと言うことの資金は自分たちで稼がなければならない。

1歳の時に右目にガンができて片方の眼球を取ってしまいました、左目は弱視です。
父親も目が見えなくて、親の意見もあり、中学からは盲学校に入りました。
周りの人に資料を点字で打ってあげたりするぐらいはできるようになりました。
時間はかかりましたが。
按摩、針灸の免許は取ったが、大阪の大きな施設があり、出版で人を集めているという事で行きました。
点字の奥深さを改めて知って、ある種の恐ろしさは感じました。
理科、地理とか一つ一つやっていかなければ行けなくて、間違った字を使ってはいけないので緊張しました。
外来語、英語など縮字もあり、見た目よりも奥深い仕事でした。

4年ほどいて、又東京に戻ってきて、点字出版社に入りました。
点字図書館にも勤務するようになる。
製版の仕事もしたかったがそこには行けなくて、点字の本の貸し出し掛かりに行きました。
2年後、東京ヘレンケラー協会があり、そこで製版者がいないので、本間一夫先生にお願いしてそこには20年ぐらいいました。
色々な本を出版して楽しかったです。
製版機は足でペダルを踏んで、指でキーを押して、目は原本を見るという仕事なので結構疲れる。
友達と一緒に社会福祉に関する事が知りたくて、夜間の大学に行って、最初の頃木田?先生、中村先生に教えてもらっていたが、全共闘の波が学校にも押し寄せてきて授業にならなくて、後半は残念だったが卒業証書はもらえました。

行政は自立して自分の力でやりなさいと言うが、聞こえはいいが難しい。
1993年にロゴス点字図書館の前身である、カトリック点字図書館に転職する。
前の館長の橋本宗明さんが11歳上の文京盲学校の高等部で一緒だったが、カトリック点字図書館の館長になり、借金が多くてみんなの給料が払えない状態で力を貸してほしいという事で、手伝いに行く事になる。
日本図書館協会とか、公的なところから仕事を貰って少しづつ返して行き、多少信用ができてずっと置かして貰っている。(当時の額で300万円ぐらい)
平成16年、橋本さんが72歳で辞めてそのあとを継ぎました。
国政選挙の時などに選挙公報が配布されるが、点字版はほんのごく一部で展開されていたが、これは情報の差別だと思って、運動を開始しました。
選挙管理員会では期間が短いので点訳時間が無いだろうとか、法律にも点字版は出せという項目は無いという事を盾に取って出来ないという事で断ってきて、我々として働きかけをしてスタートしました。

最初は我々が預かった発行部数は9000部で、実積を積んでいくうちに半分以上の都道府県から注文が来るようになりましたので、或る程度の理解はできたのかなあと思います。
読み方の統一等(にほん、にっぽんとか色々)、調整をして何とか軌道に乗せる事が出来ました。
告示前に原稿を欲しいというのですが、書き直しがあったりして時間の調整が非常に厳しいです。
全国で点字選挙公報 6万部です、手帳を持っている人は32万人で、まだ問題があります。
最高裁の国民審査があるが 最初は1日、2日前にしか原稿をもらえなかったが5日前に原稿を貰えるようになった。
声による選挙公報は? 
平成16年から3回目の国政選挙から録音部門と拡大文字の2つ媒体が参加するようになりました。
CDはごく一部、これからは伸びてゆくと思います。

点字離れ、9割がテープかCD 1割が点字となっている。(図書館の貸し出し)
幼児失明は少なくなってきて、高齢での失明が増えてきていて、点字での対応が難しくなってきている。
パソコンが普及したお陰で、視覚障害者でも音で表現できるようになってきた。
電子化が進んで点字がどこまで付いてゆくのか、はっきりしたことが言えなくなってきてしまった。
文字は自己表現だと思うので、書いてお互いが交換し合うことは当然のことだと思うが、点字がどういう風になるのか、大変気になるところです。
点字をしっかり根付かさないといけないと思います。