渡辺文学(タバコ問題情報誌編集長) ・ノンスモーカーもスモーカーも救いたい
77歳 渡辺さんは39歳の頃、1日60本のたばこを吸って居たんだそうです。
煙草の害についてのニュースを見たのを機にして禁煙をされました。
その後煙草の煙に悩まされている人と煙草を辞めたい人を救いたいと考えて禁煙運動をスタートします。
禁煙に関する情報誌をほぼ毎月発行していますが、家族の反対や資金不足等数々の苦難に直面したという事です。
渡辺さんはそれらを乗り越えて情報誌は今年で26年目を迎えました。
今後も生涯をかけて禁煙運動を続けるという渡辺に伺いました。
情報誌は、禁煙運動の報告とか、禁煙運動をしている医療施設の取り組み、体験談とか、等でA4サイズに8ページに 纏めている。
発行部数は1000部で購読者は、学校の先生、医者、弁護士、企業の経営者、一般の主婦など幅広く読んでもらっている。
禁煙運動を地元でいろいろ活動されている方が多い。
スモークフリーキャラバン いろんな団体とともに、全国各地を回る。
2010年に神奈川県で受動喫煙防止条例が出来て、兵庫県でも作りたいという動きが有り、東海道スモークフリーキャラバンと銘を打って、静岡を皮切りに、兵庫県までキャラバンする。
県知事、議会に受動喫煙防止条例要望書をもって出掛けました。 全国に展開。
厚生労働省が作った健康増進法、2005年に煙草規制枠組み条約(国際条約)の中でたばこに対する意識が進んだ。
3年間回って、地元の自治体に報告する。
大学の野球部の時代に19歳の時にたばこを吸い始めた。
1日60本を吸う様になる。(最後の数年間)
たばこも車も必要悪だと思いながら仕事をしていたが、スピード違反で捕まり免許停止になる。
その夜NHKでイギリスの国立医師会が1本吸うと、5分30秒寿命が縮まりますと言う放送があり、60本だと10年間寿命が短くなる事になり愕然とする。
1977年5月6日(放送を見た日)に断煙に踏み切る。
煙草をくわえて、この煙草に火を付けなければいいと思って、箱に戻すことを繰り返し、3カ月ぐらいそんなことをした。
疑似喫煙を煙草現物でやっていた。
他に煙草を吸いたくなったときには、深呼吸、歯を磨いたり、面白い本を読んだりビデオを見たりして気分転換をした。
辞めて、寝起きが良くなり、食事がおいしくなり、健康に良くなった。
お金がひと月 1万円の節約になった。
国際会議に会員のカンパで出かけて、海外の交流、情報を貰って国内に役立てることができたので非常に良かった。
煙草が無くてもストレスが無くなるという事はよくわかった、思い込みだったと思う。
世の中が段々変わってくるのが皆と実感できる楽しさ、面白さが、辞めて良かったと思う最大の実感です。
コピーライターの中田みどりさんが嫌煙権という絵本作りをやっていた。
1975年に「嫌煙権」という言葉を知った。(そのころはまだ煙草を吸っていた)
1978年2月18日 嫌煙権確立を目指す会が作られて、提唱者の中田さんから今日の司会進行をやってよと言われて、それがライフワークになるとは思わなかった。
1978年は喫煙率が男性は44.7% 女性は10%程度。
新幹線のこだま号に1車両しか禁煙車両は無かったし、病院の待合室は禁煙ではなかった。
嫌煙権に対する反響は手紙等が多くあり、この運動は期待されているなと痛感しました。
最初国会議員に訴えていこうと、国会議員にアンケートをやりました。
8名の議員の方が賛同していただいた。
当時の衆議院議員の登坂重次郎さんが公害特別委員会で厚生省に対してして、国立病院と療養所の待合室を禁煙にしてほしいと、要望して、五月に禁煙にする。
国が禁煙権を認めたという報道もあった。
運動がどんどん広がってゆく。
息の長い運動にしないといけないと思った。
1985年に煙草問題情報センターを設立、この時から煙草問題を解決する運動で、生計を立てようと決意。
家族からは反対されるが、妻を説得して継続する意思を固めた。
日本の遅れた状況を何とかしたいと思った。
1988年WHOから禁煙運動賞を受賞、同賞受賞者はカナダの厚生大臣、アメリカの公衆衛生局長官、予防癌学研究所の平山雄所長だった。
1987年に第6回世界会議が日本で行われて、国内の団体との連携をして連絡役を行ったのが評価されたのかと思う。
ニコチン 依存性薬物は非常に強いので、ニコチン依存症を脱する方法もいろいろ開発されてきているので、スモーカーが辞めやすい社会環境が出ていたのではないかと思う。
要望書をもって行ったりするときに、1990年代は相手方もきちんと聞いてもらえるようになった。
禁煙、分煙がどんどん進んでいった。
タバコ問題情報誌は会員の会費、カンパで成り立っているが、なかなか厳しい状況の中で、やっているのでサポートを頂きながらなんとか26年間続いている。
公害問題でいろいろ取り組んだ関係で言うと、行政の壁、民間企業の壁が厚いが、煙草については都庁、国技館、会社、野球場、競技場等も禁煙になる。
仲間の方の協働でそういう社会を作り上げているという、面白さ、眼に見えて自分たちの運動の答えが出てきているという事が、長続きさせた大きな原因だと思う。
現在の喫煙率は成人喫煙者率 男性が32.2% 女性が8.2% 平均では19.3%
煙草に対する正しい情報も伝わってきたので自発的に辞めてきたので、日本も漸く先進国並みの社会環境になってきたのではないかと思う。
一番酷いのはパチンコ屋などでしょうか?
飲食店等はもっと喫煙規制をすべきだと思う。
先進国 は10数% (男女合わせて) 北欧3国は随分少なくなってきている。
2020年東京オリンピックへの運動は?
2000年以降 IOC、WHOで合意して受動喫煙防止条例を作るという事で、喫煙大国の中国北京でも受動喫煙防止条例はできたので、2020年までには受動喫煙防止条例を制定してほしいと思っている。
受動喫煙防止条例が制定されると、違反した場合には罰則規定のあるものを作ってほしいと思う。
マナー、モラルだけでは守れないと思う。
私自身が周りに対して健康被害を与えていた過去もあり、じくじたる思いがあるので、一人でも多く加害者に、被害者にならないように正しい情報を知った上で、国や自治体が法律、条例をきちんと作った上で、煙草の煙の解決策を模索して頂きたいと思いながら運動に取り組んでいます。
煙草の煙に悩まされない、煙草を辞めたいと思っている人が辞めやすい社会を作っていきたいと思っている。