2021年8月1日日曜日

フジコ・ヘミング(ピアニスト)     ・心の鐘(カンパネラ)を鳴らし続けて

 フジコ・ヘミング(ピアニスト)     ・心の鐘(カンパネラ)を鳴らし続けて

フジコ・ヘミングさんは日本人の母とスウェーデン人の父との間にドイツで生まれました。 その後母の祖国である日本で育ち、ピアニストである母の厳しいレッスンを受け、青山学院高等部在学中にデビュー、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)を卒業後、28歳の時にドイツ、ベルリンに留学しました。   母からのわずかな仕送りに耐える苦しい生活に耐えていよいよ本格的なデビューという時に、風邪をこじらせて耳が聞こえなくなり、その後は治療と音楽教師としての生活に明け暮れます。    母の死後帰国、NHKのドキュメンタリー番組に取り上げられたのをきっかけにピアニストとして再デビューを果たしました。   様々な困難を乗り越え、現在も精力的に音楽活動を続けるフジコ・ヘミングさんに伺いました。

母親はピアニストの大月投網子、幼いころからピアノの特訓を受けました。  なんで日本に帰って来たかというと、弟は俳優(大月ウルフ)だったので、学校を売りに出した時に母が買ってダンサーとか合唱団とかいろんな人が借りにきてお金を儲けて、母が死んだときにそれを弟が自分のものだと言い出して、ドイツから帰ってきました。  家庭裁判所で争ったら半分ずつわけなさいという事とになり、弟もがらっと変わって親切になりました。

曽祖父がスウェーデンで犬猫病院の院長をしていて、私も犬猫が好きで若い時も犬猫が居ました。   現在アメリカ、フランス、ベルリン、京都と併せて5軒あります。  父が建築家だったので建物には興味があり古い家を見ると欲しくなってしまいます。   日本人はもっと文化財として残してほしいです。   日本では勝手に壊してしまうが、ドイツでは自分の家でも壊すことはできない。   気に食わなければ引っ越ししなさいと、そのお金はくれるけど、木一本も切ってはいけない。  日本ではもったいない家がどんどん壊されてゆく。  

弟は昨年亡くなりましたが、良いところも悪いところもいっぱいありました。 奥さんがお寺の和尚さんの娘さんですごくいい人でした。  俳優としては売れませんでしたが、幸せな一生だったと思います。

コロナ禍ですが、うんざりするほど音楽会は多かったです。  ほかで駄目になったところを私に押し付けてきました。  7月は10回、6月はもっとありました。  

青山学院緑岡尋常小学校(現:青山学院初等部)3年生の時にラジオに生出演し、校長先生から「フジコさん 天才」と言われて嬉しかった。 いまだに忘れられないです。  母からは「あほう」と言われていて、40歳ぐらいまではそう思って居ました。  ストックホルムで先生になる試験で1位になり、あまり馬鹿ではないなあと思いました。

母は男運がなくてピアノがあれば生活が何とかなるという事でピアノの先生になりなさいという事で教えてくれました。  

私はいつも恋をしてきました。  現在も50代に指揮者と恋をしていますが、何を考えているのかわからないこともあって振ってしまおうかなと思ったりもします。  だまされて家まで取られたこともあります。  いろいいろな人にぼーっとしますが、すぐどこかに行っちゃって会う事もなくなるので何も起きないが、いろいろな男と関係していると悪口を言う人がいるがとんでもないことですよ。  

私は一人で毎日練習しますけど、出来れば4時間ぐっらい弾きたいが、全く気を入れないで弾きます。  演奏会の時には自分のいいように気を入れて弾きますが、そのたびに違います。

*エチュード集第一番 「エオリアンハープ」  作曲:ショパン             (楽曲全体を通じて奏でられる分散和音の音色が、自然に吹くによって音を出す弦楽器の一種であるエオリアン・ハープ(Aeolian Harp)を連想させることから、「エオリアン・ハープ」と名付けたのはシューマンと言われている。)

あまり大きくないホールのほうが好きです。   ヨーロッパのほうが響きがいいですね、湿気がないから、日本は湿気があるから。   自分で弾いていると音響がお客にどのように伝わっているのか、全くわかりません。   

手は大きくて太くてピアノを弾くために生まれて来たような手です。  音響は頭と心から来ると或るイタリアの大家から言われました。  それは隠すことができない、すぐ人間性が表れてくる。   体力は落ちてきたけれど、いろんなところが少しうまくなってきている。  

ピアノが私にくれたものはどういうものかと言う質問に対しては、最近たくさんの音楽会があって、お金が入って来るから野良猫やかわいそうな人を助ける事が出来て、それが良かったなあと思います。  聞くのが好きで演奏会はずいぶん行きました、特にオーケストラの演奏会は大好きで行きました。  シュバイツアーが本に書いていましが、「この世の艱難辛苦から逃れる方法は二つあって、猫と音楽である」と、私にぴったり合っている。  猫を抱いて撫でていると痛みも消えていきます。  音楽を聴きながら猫を撫でて居たら最高です。

私は信仰を持っていたので、この世で認められなくても、あの世でもっと良いことがあると信じてました。   人間は生まれてきて誰にでも罪があります。  完全に清らかな人はいないけど、それを長い人生の中で段々清めてゆく、そのために私たちは生きているんだと思います。   皆さんが正直に清らかに生きてゆくことを務めてください。  すごく難しいですが。  段々と歳をとるごとに悪いことはなくなったと思います。