2021年8月10日火曜日

山口凌(高校3年生)          ・【戦争・平和インタビュー】大伯父の無念を継承する

 山口凌(高校3年生)      ・【戦争・平和インタビュー】大伯父の無念を継承する

熊本県立八代高校3年生、沖縄で戦死した祖母の兄(大伯父)を捜すとともに、その足跡をたどっています。  その活動は戦争の記憶を継承し同世代へ伝える取り組みへと広がりを見せています。   大叔父を通じて山口さんは戦争や平和への考えをどう深めて行ったのかを、伺いました。

僕が小学6年生の頃、祖母と終戦特別番組を見ていて、祖母の兄(大伯父)本田政義が沖縄戦で戦死したことを、祖母が言いました。  遺骨も遺品も残っていないという事を話したので、二人を僕が会わせなければいけないのかなあとの思いから調べ始めました。   兎に角遺骨を祖母の元に帰してあげたいと思いました。  

大叔父は昭和16年に18歳の時に出征しました。   昭和20年5月8日に22歳で沖縄で戦死しました。  インターネットで調べる方法からまず調べ始めました。  軍歴証明書という書類があって、大叔父は陸軍だったので、熊本県庁にあることが判り、申請をしてまず入手しました。  A4の2ページだが大叔父の場合は、入営、独立歩兵隊第15大隊配属、沖縄本島において戦死という たった3つだけでした。  独立歩兵隊第15大隊について調べ始めました。  主に中国で戦っていて、沖縄戦の前年の夏に沖縄に転戦してきたことがわかりました。  それから1年後に、陣中日誌とかの部隊の活動記録が見つかりました。   沖縄戦の前年の2月と昭和20年の1月、この二つの月の部隊の動きが判りました。    大叔父の名前が出てきて嬉しかったです。  祖母に見せたら涙を流して喜びました。  一般的な業務内容だったので、もっと大叔父の人生全体がわかるように調べて行きたいと思いました。  独立歩兵隊第15大隊の元将校の方が本を書いていて、偶然見つけて、〇月〇日米軍とどこで交戦した、どこで何人戦死した、誰が戦死したとか、書かれていました。

読み返すたびに戦場の様子が生々しいものに変わって行って、沖縄戦の壮絶さを感じました。   自分をそこに置き換えて、自分の思いと大叔父の思いを想像しながら、実際に書いていきました。   新聞記事に遺骨収集の活動が載っていて、南埜安男さんに連絡して遺骨収集に参加させてほしいといいました。  昨年初めて沖縄に行って遺骨収集に参加させてもらいました。   沖縄戦最後の激戦地と言われる糸満市の岬のガマ(壕)で活動しました。  当時のものがそこら中に散乱しているところでした。  ガマ(壕)は思っていた以上に狭かったです。   小指の先の1cm程度の小骨を見つけることが出来ました。  戦争を二度としてはいけない、戦争が起きないように僕らが新たに活動していって、戦争の記憶を伝えていかなければいけないと、いう風なことを感じました。

大叔父が戦死した場所であろうという場所は、傾斜がきつくて遺骨収集されていない場所で歯がゆい思いをしました。  周辺の小道を歩き大叔父が見たであろう景色を見ましたが、涙が出てきました。   遺骨が戻るだけが目的ではないんだなと、そういう戦争があったんだという記憶を伝えることが一番、遺骨収集よりも重要じゃないかなと思いました。

遺骨取集してきたこと、沖縄の現状を友達に話しました。   関心を示さないような人もいまいたが何回も話すうちに徐々に関心を持ってくれた友達もいました。  輪が広がっていったことは良かったと思います。    今年3月、全国の高校生1万4000人が「未来に向けた課題解決を考える」コンクールに出場、同世代に戦争の記憶を継承する必要性を訴えて、最優秀賞に選ばれました。  平和を作ることにはまず学ぶことから始めないといけない、これからの未来を作ってゆくのは自分たちであって、そのためには平和教育とかがどれだけ必要なのか、その重要性などを訴えました。  同世代の高校生からも平和活動の熱意が伝わって良かったと言ってくれた人が多かったです。  

記憶を受け継ぐこと、継承する事の重要性を改めて認識しました。  伝えたことを考えてもらって、何で平和がいいのかとか、なんで戦争がだめなのかという事の自分なりの考えを持ってもらいたいなあと思います。   日本では戦争体験を語り継ぐために残すという活動は一番重要になって来ると思います。   戦争体験者が少なくなってゆく中で、聞く人も少なくなってゆくので、いかに聞く人を増やすか、平和、戦争について考える機会を設ける、これが今の日本には必要だと思います。

それぞれ身近にある戦争の爪痕を知って、考えてゆくことは戦争を考えるうえでも意味のあることかなあと思います。  今を生きる私たちがこれからを作り、且つ最後に本当に戦争を経験した人の話を聞くことのできる世代の分岐点なので、如何に戦争をしない国にするために、今動いていかなければいけないという風に思っています。