2021年8月22日日曜日

荻野恭子(料理研究家)           ・【美味しい仕事人】料理で世界旅行を

荻野恭子(料理研究家)           ・【美味しい仕事人】料理で世界旅行を

これまで65か国以上を旅し、家庭料理を中心に調査して来ました。  現地のレシピや食習慣そのルーツを探ってゆくと、そこには気候風土と共存するための生活の知恵が見えてくるそうです。  東京で料理教室を主宰する荻野さん、世界の主婦から学んだレシピと共に各国各地域緒の食文化を伝えることで、世界の人々との相互理解に役立てていきたいと言います。

初めて海外に行ったのは20歳ぐらいでハワイでした。  65か国以上は行っていると思います。   1か国に何十回も行って研究したりしているので、渡航回数と言われるとわかりません。   旧ソビエト領15か国も何回となく行きました。   生活の知恵を求めてきたので、ホームステーをして料理を習ったり、習慣を教えてもらったりしてきました。   ロシアでは冬が半年なので野菜も塩漬けにしたり、乳酸発酵したり、煮込んだり、ジャムにしたり保存の知恵が凝縮しています。   だから主婦のもてなし、心遣いが上手です。   上手に保存食を使って短時間に品数も多く作ります。   自然の摂理に沿って生きるという事が生きる上の大切なことなんですね。 

行く国への目的をもって旅をしないといけないと思います。   行っているうちにこちらがその土地の言語を覚えるよりも、こちらが日本語を教えた方が早いという事が判り、そのようにしたり、筆談をしたりもしました。   計量カップを持って行って測ったりしていたら、こんなのわからないの料理研究家なのと言われてしまいました。   それからは大体これぐらいとノートに書いていきました。   家庭料理は計量してという事ではなく、大体でいいと思います。  

アメリカから始まってヨーロッパ、ベトナム、タイなどへ20代のころは行っていました。 30代はロシアへ頻繁に行っていました。    中学の担任の先生にロシア料理をごちそうしてもらって、物凄く新鮮でした。   それでロシアに行くようになり本を出すまでに20年ぐらいかかりました。   ピロシキ(東欧料理の惣菜パン)でもロシアの東と西では大分違います。  シベリアの方は揚げたりしますが、西の方は焼いたりします。        ボルシチ(東ヨーロッパと北アジアで一般的な酸味のあるスープ)はビーツですが、シベリア側だとトマトスープみたいな感じです。    

ハンガリーのブタペストのレストランで習いに行ったのですが、最初こんなおばちゃんでは出来るわけないだろうという事で見られたようで、鳥を一羽持ってきてさばいてくれという事でさばいたら吃驚していました。  それからいろいろ教えてくれるようになりました。  鳥を煮ているとアクが出てきますが、日本では当然アクを取り除くわけですが、アクも味のうちの一つなので取り除かなくてもいいといわれて、そういう考え方もあるのかと思いました。     

両親が下町の浅草で天ぷら屋をやっていて、つい食いしん坊になって小学校1年生で料理をやるようになりました。   マッチでガスに火をつけるのもやっていました。     祖母が漬物(塩漬け、ぬか漬け)を作っていて、刻んでご飯の上に乗せてお茶漬けにして食べるのが大好きでした。    料理の大学に行って卒業後は勤めながら稽古三昧でした。27歳で料理教室を開くようになりました。  日本料理、西洋料理、中華料理を学校に行って学んでいたので、それなりにやっていました。   現在は各国の料理を教えながら、現地の音楽を流して、衣装も現地の物をという風に少しでも現地のことが楽しめればと思ってやっています。   

世界に出ると、こんなちっぽけなことと思うようになり、カリカリしていたことがこんなことでカリカリしていなくてよかったんだと、考え方がグローバル化してゆきますし、体調管理がすごく大切になりますので、自分の体内リズムを整えることが普段から大切になります。  旬の食材をバランスよく食べる、休むこと、働くこと、この三つのバランスをとることが大切だと思います。   最初はその国のベストシーズンに行くことが大事だと思います。  目的をもって行くことも大事だと思います。    塩と水と素材、現地の食材で作るのがおいしい料理だと思います。  文化を知ると知らないのでは大きく違ってくると思います。