田中昭雄(国立小山工業高等専門学校 准教授)・ロボコン30年
正式名称は「アイディア全国対決高等専門学校ロボットコンテスト」30回を迎えました。
今では高専のほかに学生ロボコンという大学生、高専など参加枠を広げた大会が有ってロボコンも何種類も行われているが、そのスタートと言ってもいい「高専ロボコン」、NHKでも毎年放送行っていてもっとも歴史のあるロボコンです。
異なる競技課題が毎年与えられて、例えばお互いのロボットやゴールにくっついている風船をいかに早く割るか、又別の年は障害物を交わしながら敵陣にいかに早く箱を積み上げるか、その年その年の課題に対してアイディア満載のロボットを製作しその成果を競うと言う大会です。
先月おこなわれた30回大会のタイトルは「大江戸ロボット忍法帳」と言うタイトルでした。
25年にわたって学生に指導している国立小山工業高等専門学校 准教授 田中さんに伺いました。
第一回は乾電池カースピードレース、昭和63年 全国で12校参加。
35mを60kg以上の人を一人載せて乾電池2個を動力源に早く走ってゴールに行くと言う決まりでした。
もの作りの喜びを教えようと言うことで当時東京工業大学の森先生が授業で始めたことを知り始めたが、1回で終わると思ったら、2回目からが今のロボットコンテストになりました。
小山高専を卒業し、大学を卒業して小山高専に戻ってきたが、93年の大会から高専ロボコンの指導教員としてかかわるようになりました。(第6回)
高専では最終学年は研究テーマが与えられてテーマを発表します。
前回の大会は57校、62キャンパス、124チームとなる。
4月にルールが発表となります。
昨年末の大会ではロボット自体に風船を付け、相手陣地にも風船がありいかに早く相手の風船を割るかを競う。
ルール設定が重要です。
ロボット同士がぶつかり合うので、どうやってうまく進行するかなど、ルール設定が難しい。
チャンバラなのでアームをロボットに付けるが刀の裁き方などアイディアのポイントになります。
壊れないように耐久性、信頼性などが重要になります。
秘密道具の設定もありいかに面白い道具でいかに相手の風船を割るか、そこの部分に期待しました。
大きさと重量だけが決まっています。
4月にテーマが発表された後に、6月の終わりが第1回目のアイディアシートの提出があり、その1カ月半位の間に学生の間でアイディアを出し合って、10~20のアイディアが出てきますが、アイディアを絞っていきます。
前回はバトミントンのシャトルの形状した飛び道具を当てるとか、ムチをロボットが振り回すとかを考えました。
ブーメランを使った処もありましたが、難しいと思いますが、良く挑戦したと思います。
デザイン賞もあります、勝つことも大事だがデザインで楽しませるとか、各校色々な挑戦をしています。
3,4年生あたりが設計を担当します。
イメージした通りには動かないとかいろいろ問題が起きるので、図面を修正して作り直したりして行きます。
これでいいのかとか迷いもあったりしますが、時間との関係が勝負になってきます。
地区予選があり、テストランが前日にあり、そこで他校のロボットを見て吃驚します。
他校のロボットの動きを観察して作戦を練ります。
決勝までに4~5回の戦いがあります。
壊れたりするので次の試合までに調整します。
小山高専ではメンダコをデザインしましたが、見せたい為には勝たないといけないのでその辺のバランスが難しい。
ロボットの製作活動はクラブ活動になります。(授業では出来ない)
授業では出来ないいろいろな経験をするので自分たちで勉強し加工したりするので、授業よりも一生懸命やっているんじゃないかと思います。
設計も3次元CADで図面も描きますが、会社に入っても使えるソフトなので勉強になっていると思います。
チームワーク力が高専ロボコンでは重要になります。
形になって無線操縦して動くと、先ずやったと言う気持ちになります。
会場に持ち込んでトラブルが色々あったりします。
空気の動き、照明などでトラブルをすることもあります。(飛び道具、センサーとか)
戦っているときにも予期しない色々なトラブルがあります。
何ヶ月も時間をかけて試合に負けて泣いてしまう学生もいます。
全国大会も5回勝たないと優勝できない。
ぶつかり合いでどう試合展開するのか判らないので、大変です。
ほかに技術賞、デザイン賞、アイデア賞、アイデア倒れ賞などがあるがロボコン大賞を何処の高専も狙っています。
優勝がロボコン大賞と言うわけではない。
大分高専が倒れてもすぐ起き上がって風船割りをする、ロボコン大賞をもらった。
長岡高専のブーメランがアイデア倒れ賞を貰うことになりました。(もっと当たればロボコン大賞になっていたのではないかと思いました)
遊びの部分が有ると言うことが第一回からずーっとあります。
発想力等会社に入っても研究開発の仕事では力になって来ると思います。
ロボットの性能、制御技術、アイデアなども多彩になって、今後のロボコンがどんなものが出てくるのか期待があります。
今後の日本のもの作りの世界で活躍してもらいたいと思います。
学生のもの作り大好きということは今も昔も変わっていません。
チームがまとまらない様な時期には厳しく指導する時もあります。
でもやっていて楽しいです、授業中には見せない処を見ることが出来ます。
真剣にやるから色々なところが見えて来ます。