2012年6月14日木曜日

大村智(北里研究所76歳)     ・2億人を熱帯病から守った科学者



大村智(北里研究所76歳)  2億人を熱帯病から守った科学者(イベルメクチンとの出会いについて)
(おおむら さとし、1935年7月12日 - )は、日本の天然物有機化学者。北里大学名誉教授。
薬学博士(東京大学、1968年)。
微生物の生産する有用な天然有機化合物の探索研究を続け、これまでに類のない450種を超える新規化合物を発見した
夜間高校から研究者に 転じた1974年(昭和49年) 伊豆半島の土壌から採取した土壌の中から牛や馬の中から寄生虫をほぼ100%駆除する物質を発見した。
イベルメクチンと名付けた。  
この薬は犬の病気でおなじみの フィラリア症を退治しただけではなく、人間の熱帯寄生虫病で進行すると盲目になるオンコセルカ症に劇的にきくことも判りました。  
アフリカでは2つの熱帯病を撲滅寸前にまで追いやっています

オンコセルカ症とは→アフリカとか中南米で蔓延しているフェラリアの病気。  
ぶよが媒介する フィラリアが大きく育ってきますと 幼虫を一杯産む 其れが皮膚に入ったり
眼に入ったりすると 目が見えなくなったりしてしまう。  
80万人ぐらいはかつてはいた 殆ど最近は無くなった。  
1988年から本格的にイベルメクチンを使ってこの病気を撲滅しようという運動がWHOの指導のもとに始まる。     
ぶよがオンコセルカ症を感染している人の血を吸う時 血と一緒にぶよの身体の中に入ってくる 
それが別の人を刺すと其れが20cm、30cmぐらいに大きくなる。
人の身体の中で15~16年生きている訳ですよ。  
雌が何百万という小さなミクロフェラリアというんですが、産むわけです、其れが悪さするわけです。
ミクロフェラリアが皮膚に来たり、目に入ったりして 凄く痒くなる 眼は見えなくなる。 
イベルメクチンを使用するようになってから1988年から 2020年ごろまでには撲滅できるのではないかと予想できるようになった。  
イベルメクチンをはミクロフェラリアを殺してしまう、ミクロフェラリアが人の身体の中に居なくなる状態を作り出すことができるのがイベルメクチンです。  
予防と治療に使える。 
失明した人は救済はできないが 或る地域ではほぼ100%無くなっている。  
現在投与された人の数は8500万人、年に1回飲むだけでいい。 

これがこの薬の驚くべき効果です。   
其の人がフェラリアに掛かっていても他に移すことが無くなる、移す人がいなくなれば患者は段々減ってくるので撲滅出来るだろうと思われている。    
凄い薬です 
発見場所→伊東市河奈のゴルフ場近辺の土壌から採取して北里研究所で分離している訳です(それまでも世界中の土を調査した) メルクと共同研究した。  
アベルメクチンという天然のものを さらに有効に成る様に化学的に処理をする。  
水素を2つ付けるだけで効果が上がる、其れをイベルメクチンという。
元々は動物用に開発した薬で1981年に動物用に売りだされて 犬、羊、牛、馬等に瞬く間に使われる様になった。  
  
2年で動物薬 売上NO1に躍り出る。  
途中でひとにも使えることが判ってきた。  
WHOとかが拘わってきて1988年に本格的に使用するようになる 医者の関与が無くてもいい薬
一つの部落に700~800名いるがそこの長に伝えて展開するだけで良い。   
ガーナに私は行ったが、子供を学校に連れていくために大きな木の処に人が集まっていたが、そこに集まっていた大人の人達は眼の見えない人だった。
働き盛りで眼の見えない人は働く事ができないので、農業ができないが、今日使われている薬で目が見えなくなる人がいなくなってきて、今では経済的にも良くなってきている。
患者と話をしたときに、薬を飲んでかゆみは無くなった。 
そして自分は眼は見えないが、子供に移すことが無く、子供の目が悪くなることが無いのは非常に嬉しいと語った。
1800万人が虫を持っているが この薬を使って、眼の見えなくなる人はいなくなる。
神様が授けてくれたような発見だった、有効な薬を作る微生物は一つしかない、静岡県伊東市内のゴルフ場近くで採取した土壌から発見された新種の放線菌ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」というこの菌しか作れない。 

世界中でまだ他では発見できていない。
この菌は分けて、菌核を持っています。
2~3gの土の中から発見した。
微生物を上手に分離する方法が伝統的に力があり、それと発生系統を組んだから出来たんです。
1年間に50億~60億円かけて開発してきたわけです。
1975年に菌を発見して 学会で発表したのが1979年 1981年に動物薬として発売した。   
私がいなかったら菌の発見はなかったが、多くの人々の係わりがあり、できたもの
「求めていなければ 授からない」 勅使河原蒼風のことば  
見付けよう見つけようと思っているから偶然にも見つかる、総合的な人間力ですよ。  
1億人の人に無償で薬を提供しているが、人類の歴史の中で最大のプレゼンテーションです。
或るニューヨークタイムスマガジンの新聞記者が書いているが、数多くの専門家たちがこの薬を人が使える様に持って行って、成功したというのは20世紀最大の発見だと書いている。
皆の力が総合されてこの薬になって行ったが、オリジンは私どもです。
      
土の中に微生物は1億個いる。   
一つずつ菌を抽出して菌を培養して活性が有るかどうか調べてゆく根気のいる仕事です。
動物のお腹の中には虫が一杯いて、餌を与えても太らない、飼料効率が悪い。 
それを解消しようと最初考えて取り組んだ。  
お腹の中の虫がいなくなり、競争馬等の艶が良くなる。
副作用が少量なので無い、疥癬(かいせん)→ダニによって身体に発疹が出る病気だが 
イベルメクチンで一回飲むだけで治ってしまう、皮膚科領域の医療革命だと言われる。
西アフリカ、中央アフリカトータルで20数カ国で使われ、西アフリカではほぼ撲滅状態です。
抜群の効果があり、ほかの19カ国で行われ、其れが最終段階に来ています。
中南米は元もとはなかったが、運ばれてきて、かつては感染していたが、現在は薬の為に無くなってきた。
リンパ系フェラリア症は 83カ国 1億2000万人が感染している。  蚊によって感染。 
リンパ液の流れをストップしてしまうので足が腫れて皮膚が感染しやすくなる。
足が膨らんで履くものが履けない。(3倍ぐらいに膨らむ
この病気にも効く、アルベンダゾールと一緒に飲むことによって治り、この病気の方が先に撲滅できるかもしれないと言われている。 
2億5000万人の人が使用している。
昔は熱帯地方、砂漠から持ってくるとか出来ましたが、今はできなくなって、日本のいろんなところから土を持ってきて研究しています。
分類でいうと族で言うと13族見付けている(種でいえば50種) 25種類が農薬 動物薬 人の薬
研究用薬として使われている。
 
私は農家の生まれ 長男  後を継ぐのが当たり前の世界だった。  
勉強しないでスポーツ 等やっていた。  
親が大学に行かせてくれると言うので、急に猛烈に勉強して山梨大学に受かった。  
どうせ中学、高校の先生になるぐらいだからと思って、大学に入ってもスキーだとかに没頭する。  
不景気の時代で就職口が無いので、都立高校の夜間の先生になる。  
昼間仕事をして、生徒が手に油を付けた状態で勉強に来る姿(手を洗う時間も無く)を見て感動する。
一体俺はなにしてきたんだろうかと反省する、もう一度勉強しなおそうと決意しました。  
研究の方が面白くなって、東京教育大学、東京理科大学に行って、山梨に帰って発酵生産学科(葡萄酒の研究)に入った。
微生物の勉強もできたために良かった、科学と微生物の研究をしたいと思った。 
北里研究所に入る(大学出てから7年経った)

最初北里研究所の歴史から勉強した。   
学者と言うのは研究して自己満足しているようでは駄目だと、なるべく実地に応用して世の中の役に立つべきだと 北里先生の考えだった。
北里先生は世の中に貢献しようと考えた、破傷菌の純粋培養と破傷風の予防を考えた。
血清療法を開発する。  
歴史を勉強すると明日が読めてくる、歴史は明日を語る。    
歴史を勉強して研究所の存在意義が判る。
人に役に立つというものを見付ける、工業的に使う薬を6つは見付けた。 
7つを見付けてやろうと思ったのが部屋を構えた1,973年 アメリカから帰った年でした。

八木澤 守正先生から 少し世の中を見てきた方がいいとサジェスションを貰ってアメリカに出掛けて 廻って留学を決意する。
手紙をだしたがマックス・ティシュラー先生から真っ先に返事の手紙が来るが、他からも5通来る。他にくらべて年俸が半分も無いが、安いところには何かあると思って行った。 
其の先生はあっという間に、アメリカの化学会の会長になってしまう
忙しいので先生がやってきた仕事を任され、学生の面倒を見てくれ、金はどんどん使ってもいいと言われて、1年間アメリカに居るが、日本から帰って来いと言われる