2012年6月18日月曜日

川本三郎(評論家)       ・挫折への共感 文学と映画を追いかけて 2


川本三郎(評論家)     挫折への共感 文学と映画を追いかけて  2
現在、食事は自分で作っている 3食全部とは言えないが  家事の大変さを改めて判った
永井荷風  戦後の暮らしでは単身生活の大変さを味わう 
近代日記文学の最高峰  『断腸亭日乗』
永井荷風の文学は老人文学 若いうちは良さが判らなかった 
45歳過ぎたころから始めてこれは良いなあと思った 
断腸亭日乗は漢文交じりの文章 これがいい  漢語の使い方が見事  
永井荷風論は好色文学の文脈で書かれるといわれている

『断腸亭日乗』を読むと如何に東京の街を愛しているか ということ 東京の街を実によく歩いて書いている   人と人との関係もさることながら
永井荷風という人と東京の街との関係 それを描きたかった 
好色の作家と言うよりも都市の作家としての永井荷風の面を強調したかった
女性の読書は少なかった 近藤富江さんとかはいたが一般的には好色作家と言う事で読者が少なかった
段々女性に読まれる様になった 

日本の社会はどんどん一人暮らしが増えている 
全世帯の1/3が単身者(去年の国勢調査)  永井荷風は単身者の見本
単身者の生き方、ライフスタイルと言うものを我々は学びたい面はあると思う  
街歩きを出来たのは一人暮らしであったから  一人暮らしの気楽さ
映画が私は好きで 映画館に行ってみないと次に何を上映するか判らないので映画館にぶらぶら歩いた 本格的に街を歩くようになったのは45歳を過ぎてから
古い建物が段々無くなって行ったし 西東京には川が無い 隅田川を歩く  
大正時代の作家は隅田川べりを舞台にしているものが多い
(佐藤春夫 永井荷風  芥川龍之介 谷崎潤一郎 )  美しい街(佐藤春夫) 水の風景 水の東京というものに惹かれて歩いた

林芙美子  門司の生れ 女学校を卒業して東京に上京して女性で一人暮らしをしながら働くという当時としては余りない生活スタイルだった
永井荷風は高見の見物的(空いた街を見る目が通行人的)に対し 林芙美子は実際に住んでいる状況 東京の街を転々としてした
林芙美子は料理の好きな作家だった
 最後に下落合に立派な屋敷を作る 背の低い人だったのでそれに合わせて台所を作った
昭和30年代に当時新宿南口の方にどや街があってそこに若い女性では考えられないがそこに林芙美子は泊っって朝 食堂に行って労働者と一緒にどんぶり飯を食べているくだりがあるが、その描写が好きですね  
   
「マイバックページ」 新聞社の記者として出発した  ジャーナリスト  学芸部に行きたいと言ったが、政治記者になったがそれが挫折の要因ですね
1971年~2年にかけて新左翼運動のなかで 朝霞自衛官殺害事件での犯人と深く通じ会う部分があって 其の取材の過程で証拠品を譲り受けるという事になって、取材源の取得と言う事でそれを守りきって 会社を罷免される
(浦和地裁にて懲役10ヶ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた)  
今はどうとらえているか→原罪みたいなもの  あの時どうしたら良かったのか 犯人の名前を言わなかったのが警察に狙われたという事ですが、結果的にあの犯人はいい加減な男だったことが判るわけですが そういう情報を踏まえ後で考えれば あの時警察に協力するのが正しかったと思うんですよね
 
あの時点ではそれができなかった じゃあどうすればいいのかと言う事が今でも判っていない 犯人への共感(社会を変える)と取材源の取得を守る との複雑な葛藤があった   
天下国家のことは語らない方向に決意(大逆事件との関連を想い)  
文学者の中には文学が無かったら犯罪者になった人もいたかもしれない
文は人なり  文章と言うのは結局其の人が背負ってきた人生 生きかたを還元するものでしかない 
其の人が抱えてきた人生というものが背後に有るんですね  
そういうことが今頃になってようやく気が付くようになりました
映画に関する批評 大半の映画評論は作品の出来不出来について語っている   
映画を見下ろすようにして何点何点と評価するそういうふうにはしたくなかった
昔の映画が好きに成ってきている
  
祖父母が生きていた時代当り(明治、大正、昭和)までの歴史が好き 
東京は大きな被害を2度受けている 破壊を経験した街はついこないだの風景が懐かしい  ノスタルジーの世界
京都は歴史を感じる都市ではあるが東京はそれは無く記憶の都市  
向田邦子 女性の目で日常的な些細なことを大事にしてゆく人  私もその様なタイプ
谷崎潤一郎の「細雪」 だけを論じたものが中断している  芦屋を中心とした関西の物語  
今まで東京のものしか書いてなかった 
細雪を通して関西文化と言うものにちょっと触れてみたいという風に思っています  
何とか単行本に纏めたい
映画監督 成瀬 巳喜男  林芙美子が好きな監督   成瀬論をきちんと書いてみたい 
一人暮らしなので体力と健康がなにより一番だと思っているので 節酒に心がけているが