永山久夫(食文化史研究家) ・【美味しい仕事人】長寿食を求めて
日本の伝統的な食文化を研究、古代食から各時代ごとの食事を復元する第一人。 大河ドラマで描かれる時代の食膳を復元します。 そこから見出された食の知恵を「チコちゃんに叱られる」などでも紹介しています。 永山さんのライフワークは長寿食、全国に住む100歳以上の長寿者を訪ね、その食事など長生きの秘訣を探ってきました。 89歳になる永山さんにお話を伺いました。
日本食の歴史を研究してきましたが、実に長寿に役に立つような食べ方なんです。 魏志倭人伝にも、倭人は大変長生きだと、「生菜」 菜はおかずという意味もあるので、生のおかず、魚、貝類の今で言ったら刺身みたいなものを食べるのが大好きだった、という事が中国の文章から出てきます。 後漢書倭伝にも「倭人は100歳に至るものも甚だ多し」と書いてあります。 現在日本には100歳以上が8万人いますが、そういう傾向は当時からあったわけです。 後漢書倭伝には「菜茹」、すなわち野菜スープを飲んでいたと、書いています。 ポリフェノール、ビタミンとか沢山摂れます。 免役力が上がって病気に対して強くなる。 和食を代表する刺身とみそ汁が2000年前にできていた。 それをずーっと食べてきた日本人は長寿国であるという事です。
NHK大河ドラマの「独眼竜正宗」「春日の局」などで、その時代の食膳を再現しています。 栄養価の高いものを丸薬にしていました。 家光は拒食で体が弱かったので「七色飯」を作ってどれか食べてくれるだろう言うことで、7種類を作りました。 だんだん食べるようになって元気になって立派な将軍になりました。 それが春日の局だったんですね。
江戸、明治、大正、昭和と時代の流れのなかで、外国と交渉するようになって、いろいろ入ってきましたが、概ね順調にいって、女性が87歳、男性が81歳と平均寿命が延びてきてトップクラスです。 日本食のたった一つの欠点は肉が少なかったんです。 戦後肉類を食べるようになって一気にバランスが取れてしまいました。 年をとればとるほど肉を食べたほうがいいです。 平成30年度に文化庁長官賞を受けました。 受賞内容は和食文化の研究だと思います。 食べ物で免疫力を強くする。 納豆など発酵食品は腸内環境を整える力がありますから、人間の免疫細胞の70%は腸内にあるといわれています。 腸をよくするには発酵食品を食べて微生物が、いろんな菌をとって腸内環境を整える。 もう一つは植物繊維をとることです。 戦国時代までは玄米を食べていました。 玄米は一晩水に寝かして朝炊くんですが、発芽しようという働きが出てくる。 ビタミンB1がたくさん含まれています。 笑うとナチュラルキラー細胞が増えます。
長寿の方にお会いして調査しましたが、①よく笑って明るい、くよくよしない。 ②好きな食べ物がまぐろの刺身でした。 ③肉料理も好き。 ④みそ汁が好きで豆腐の味噌汁を好む人が一番多かった。 ⑤季節の果物が好き。 ⑥卵が好き。 ⑦人と話すのが好き。(好奇心) ⑧梅干を食べる。(唾液がたくさん出て食べやすくなる。) ⑨縁側に出て日向ぼっこをしている。(ビタミンDを作る。) ⑩お茶を飲み、お茶菓子はあんこものが多い。
これからは世界中が高齢化社会を迎える時代になるので、日本がお手本を示すことになると思う。 脳の中にセロトニン(幸せホルモン)が発生すると、血管の緊張を調節する物質、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするほか、生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与する。
「ながいきたべます」を食べて長生きしましょうと言っています。 な=納豆 が=ガンマーカロテンの野菜 い=命長らえる発芽玄米 き=キャベツ た=卵 べ=ベストはにんにく ま=まぐろ す=すりごま
平均寿命と健康寿命を一緒にしてもらいたい。 現在は10歳ぐらいの差がある。
私は子供のころは体が弱かったです。 医学書を読んで何を食べたらいいかとか、歴史、民俗学などを研究しました。 その後天海(100歳以上の長命であったと言われる。)を調べて長寿食に関心を持ちました。 「90歳ソング」を作りました。 楽しく暮らすという事は大事なことだと思います。 絵もやっています。 沖縄などは明かるい方が圧倒的に多いです。 よく踊るし、太陽に当たる時間も多いと思います。
生涯アクションです、生きている限り働く、楽しい人生を送る、持ち時間を楽しむためにもセロトニン(幸せホルモン)が一番大事です。 鰹節にはたくさんあります。 幸せな人は長生きする、病気にならない、幸せな人は人に好かれる、人を幸せにする、そういう生き方をしてほしいなあと思います。