2020年11月16日月曜日

小山豊(津軽三味線奏者)        ・【にっぽんの音】

小山豊(津軽三味線奏者)        ・【にっぽんの音】 

幼少より津軽三味線小山流宗家(祖父)小山貢翁に師事。日本最大流派の1つである小山流の三代目として、国内・海外で演奏活動を行っている。   さまざまなアーティストとの共演や、洋楽器とのライブ活動など民謡を軸に活動。

「さわり」は進化の過程でついてきたもので一の糸(太い糸)の下にあずまざわりと言って、ねじを回す突起がありますが、さわりを付けてゆくと、ビーンと言う効果がつきます。 厚みがつく。   さわりを付けたほうが音が伸びます。  うちの初代が付けたという説もあります。 

500年ぐらいの歴史のあるなかで津軽三味線は一番新しい楽器て150~200年と言われています。 もともとは新潟の瞽女(ごぜ)さん(「盲御前(めくらごぜん)」という敬称に由来する日本の女性の盲人芸能者)だったりにルーツがあり、津軽の人々が生き抜くために楽器を改良していって奏法も変えていった。   譜面はないです。

伴奏するという事から始まって、津軽民謡では歌手が神様で、歌手がいかに歌いやすくするか、すべて三味線が背負っている。  歌の中に邪魔はできないので、前奏、間奏部分を派手にやっていこうという風になってきて、もともとは伴奏の楽器です。

民謡を主軸にしたアレンジアルバムを夏に出しました。

*「江差三下り(えさしさんさがり)」 アレンジ:松浦 晃久  

江差追分の民謡の元歌と言われています。 北海道江差はニシン漁が栄えたところです。 

歌い手ベースになっていて、チェロとピアノが入っています。 「間」がとっても難しいです。  若い時には間が怖かったです。 同じ曲でも間によって違ってきます。

練習方法をかえたりして余韻の向こう側が聞こえたので、ここを大事にすると間がいい感じになるなあと思いました。

音数におぼれた若い頃もありましたが、どんどん要らない音をなくしてゆくことでスペースを作って行く。

民謡の魅力に気付いたのはつい最近数年です。  民謡は古典ではなく時代時代で変化してゆくべきもの、生活にあってゆくものが僕の中では民謡だと思ったので、そういうもの、今の民謡を表現したいというのが今回のアルバムの発端です。

沖縄の民謡は残っていますね。  民謡は凄く浅いという側面もあり、深いところもあります。

*「津軽サンテリア節」 

キューバで出会った、アフリカ・ナイジェリアの部族の儀式から伝わった、現地の儀式の音楽「サンテリア」と色々な民謡をミックスさせて、曲の前半では海の神様、後半では火の神様のことを唄っている。

日本の音とは、僕の中では生活音、風の音、雨の音、砂利を踏む音、虫の音、そういったものが総合的に表現出来るのが日本の音だと思っています。 

*「時雨」  作曲:小山豊  ピアノ:林正樹

生活に密着していることが民謡の一番大切な部分だと思っているので、三味線がガンガン鳴っているのももちろん否定する訳ではないですが、僕の作りたい民謡は日常に溶け込むようなものです。だからあまり三味線が前に出なくてもいいと思っています。