2020年3月4日水曜日

佐々木勝年(NPO理事長)        ・「もったいない精神で建築を変える」

佐々木勝年(NPO理事長)        ・「もったいない精神で建築を変える」
佐々木さんは1944年千葉県生まれ、法政大学大学院で経済学を学び会社勤務の後1980年にマーケティングや地域開発、事業戦略を手がける会社を設立しました。
20年後の2000年に大学教授や一級建築士らと特定非営利活動法人NPO持続建築を立ち上げ、今日まで活動を続けています。
自然環境と社会環境がバランスよく調和し快適な生活が持続出来るような建築を基本理念に様々な事業を展開しています。
住宅やビルの建築では30年から50年で建て替えるスクラップ&ビルド方式ではなく、もったいない精神で出来るだけ長持ちする方式を推奨しています。

「中小建物の100年建築物語」というセミナーを昨年11月に開催しました。
まだ使える建物を改修して使って行こうという事なんです。
木造建築は大体30年で寿命が来ているのではないか、コンクリートの建物だと大体60年ぐらいで寿命が来ると考えているわけです。
こういう建築物に対してもう一度再検討すべきではないかと考えました。
もったいない精神をベースにして発想の転換を図っていかなくてはいけない。
中古ビルの建物を改修して診断して一生懸命メンテをやってできるだけ長く伸ばして、建物の改修をして建物の価値を高めて行くという方法がありうると考えたんです。
4事例あったんですが、その中の一つ、健康マンションの事例。
小さな事業所ビルです。
レイアウトの変更、従来事務所と屋上バルコニースペースがあったんですが、その中に一部張り出すようにバッファー空間、使用領域が曖昧なスペースを作って、レイアウトの変更をしました。
使い続ける100年改修 
電気配線、配管が露出する様な形にして何が問題かが判る様にする。
杉の木材を床材として使いました。
壁と天井は漆喰塗装。

35歳で会社を立ち上げました。
事業領域は①事業の開発、建物の開発、②農業の分野での農業の経営関係③マーケティングとか事業計画を作ってゆく。
リゾート開発とか進めてゆくうちに、環境の問題が大きく立ちはだかってきました。
環境を守り環境を作ってゆく、環境創業というよな立場で考えてゆくべきではないかと思いました。
開発との両立も十分ありうるのではないかと思いました。
農業でも同じような環境の問題(農薬とか)が解決すべき問題としてあるように思いました。
2000年にNPOを作ったときには、秋田県の大潟村に新しい環境の新村を作り上げようという構想を村の方から委託されました。
その時に東大の名誉教授の高橋先生が環境持続という形と建築、構造物というものを一致させて、自然環境と人工的な環境、社会環境とバランスよく調和して持続的に快適な生活が営むような建築、環境持続建築ということを目的に発足することができました。

自然再生エネルギーを利用して最終的にはZEHの開発を行いました。
(ZEH ゼッチ とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。 住まいの断熱性・省エネ性能を上げること、そして太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅)
病院のエネルギー消費分析、21世紀はどういう住まい方とか、などのセミナー事業など多様なことをやっています。
我々の大きな特徴とするものが二つあって
①セミナー事業
②ワークショップ 子どもたちと遊ぶ住環境教育

①セミナー事業 
地域を支える拠点と施設環境作り、幼稚園や保育施設、高齢者施設、学校、病院とか診療所こういったものが地域には不可欠なもので地域の特性を踏まえて作り出さなければいけない建物に入っていくんじゃないかと思います。。
高齢者施設、施設というものから住まいという考え方に替える方がいいという考え方があります。
最初にその考え方を提案したのが京都大学の外山先生でした。(ユニットケア
個室が一つの家になって生活している。

②ワークショップ 子どもたちと遊ぶ住環境教育
熱というものを中心に置きながら、冬に暖かい住宅、夏に涼しい住宅、ダンボールを使いながらいろんな工夫をして作ってみる。
暖かい家を維持するのにはどうしたらいいのか、涼しい家を作るのにはどうしたらいいのか、みんなと一緒に子どもたちと考えて行くというものです。
それぞれ温度湿度を計測する。
子どもたちはそれなりに考えてやっていきます。
どうしてて涼しいのかが判ってくるわけです。
病院は非常にエネルギーを消費します。
空調もしっかりかけるので、例えば1平米当たりどの程度エネルギーを消費しているのか算出します。
1平米当たりエネルギーをどのぐらい下げてゆくのか、目標ができてゆきます。
ある私立病院では2006年に比較して下げて来ています。
CTとか瞬間的に大量にエネルギーを使う装置もいろいろ増えてきているので、増加するという現状もあります。

圧倒的に多いのは古くなった4,5階程度の中小のビル群です、あとは住宅です。
それが街の表情や形を示してきている。
新しい顔を少し変えて作ってゆくという事が重要なことだと思います。
「中小建物の100年建築物語」というセミナーを昨年11月に開催しましたが、ビルのオーナーに参加していただきました。
改修も視野に入れなければいけないと思っています。
建築廃棄物が廃棄物の中で一番多いので、どのように減らしていったらいいのか、あらかじめ作ったり改修したりするときに考える必要があると思います。
資源循環型の社会のシステムというものを考えていかなければいけないんじゃないかと思います。
来年も「中小建物の100年建築物語」というセミナーを具体例を示しながら行いたいと思っています。
今までの成果の報告もしていきます。