2011年9月23日金曜日

隈 研吾            ・建築の魅力、都市の魅力2

隈 研吾  建築の魅力、都市の魅力
世界建築会議 9月27日から開催 建築の世界ではオリンピックといわれる大きなイベント
3年に一度開催される
世界から約1万人の人が集まってシンポジウムがあったり、コンペティションがあったりする 
国際フォーラムを中心に行われる 今年のテーマが「デザイン2050」
後40年先 1番創造力が湧くところ(10年先では短すぎ、100年先では想像できない) 
世界の学生たちの審査委員長をやることになる  都市計画なので大きいものなので
チームでおこなう

都市が抱えている問題は物凄く多く エネルギーをどうするか、地球温暖化、災害、
地方都市の産業、・・・政治家が悩んでいる問題は殆ど都市問題
デザインする人間が回答をだせないか それで予算とか後から付いてきてくれるのでは
 何とか光が見出せるのではないか
ただ斬新なものを作るだけでなく、防災、人の住みやすさ、コミュニケーションをとり 全て盛り込む
20世紀都市 自動車、産業→前提を変えてみようというのが、今回の趣旨 
ぴかぴか型の(中国の上海)未来都市ではなく、地味な未来都市を考えてみたい 
私自身、ポスト高度成長時代の建築家だと思っている 1990年代以降 沈滞というか
成熟期 成熟期の建築はどうあるべきか 高度成長期の真逆だと思っている

デザインもまだ高度成長期の惰性でやっている様な気がする それを逆転して 
一極集中→分散  成長→縮小 そういうものに合ったデザインとは何かを考えると 
素材もその場所場所の素材を使う 場所場所の職人さんを使う 面積が大きい事が
いい事でなく小さい事、高いのではなく低いのがいいのではないか・・・ 基本的考え
考えが変わった理由は→バブル崩壊 東京の仕事が一件もない 地方を歩きまわった
小さな建物をつくるようになる(東北、四国) これが日本の一番の財産なのではないかと思う
それで自分の建築のスタイルがガラッと変わった 自分にとって不況はチャンスだった 
(それまでは目立つ建築、大きな建築をめざした)

バブル崩壊が私の建築哲学の転換点になった  負ける建築(場所に建築が負ける 
高度成長期は建築が場所に勝、場所を破壊)、自然な建築
根津美術館 竹をふんだんに使っている 竹垣、 竹林 (50mの道がある)入るとほっと
する様な気持  日本独特の空間技術
竹の色の変化がいいと思う 建築も年をとるようなものがいい 
和紙の光の効果がいい 現代建築は上から下に向かって光の方向があるが和紙を使う
事で下から上に向かって柔らかな光を通す
建築で癒されたいと云う傾向が世界で広がりつつある(工業社会流の建築に疲れてきて
いるのでは) 日本が建築家が世界で求められている
コンクリートの建築は図面書くのも簡単 あんまりよくわからなくてもコクリートの建築は作れちゃう 
木造の建築はジョイント(梁、柱、壁等)が判っていないと図面が書けない

世界でいろいろ仕事をしていて日本の職人の技を持つ程の人には出合わない 
名職人と言われない人でも日本の職人は吃驚するほどの技を持っている
歌舞伎座 共同設計した あと2年弱で出来上がる   1951年に4代目の歌舞伎座が
出来て5代目はそれを踏襲して材料もできるだけ使って独特の空気観を作ってゆきたい
そのまま桃山様式 再現 (屋根のカーブ等) 後ろのビルは出来るだけ引っ込めて印象が
薄くなるように工夫(屏風のような壁)
楽屋 使っている人は質感で考える(設計者は平面図で考える) 床が柔らかなくなくては
いけない でないと疲れてしまう 
如何に楽屋から廊下、舞台まで床を柔らかくするかを考えた  役者との話し合いの中に
意見を取り入れて設計に取り入れている
建築と都市との関係→20世紀型の建築は場所を殺すような建築が多かったので場所を
生かす建築出来ないかなと思う

東京にはかつて地形の襞があったが、全部高層建築で無くなってしまった 
襞に合わせて神社、仏閣が有った それに合わせて文化があった それを掘り起こしたい
東京とは千の村 それが詰まって大都市のように見える 
村の個性をもう一回発見するような街作りをすべきではないか
長岡の市役所 木、和紙を使って 土間を作り 温かい市役所にしたい  
人間て質感の柔らかいものに集まる 囲炉裏端も温かいところに集まる
空間作りにおいて日本人て今まで世界に凄い影響を与えてきた  
日本の空間の技を売って行った方がいいと思う