2019年5月3日金曜日

大谷康子(バイオリニスト)        ・生まれ変わってもバイオリニストに

大谷康子(バイオリニスト)        ・生まれ変わってもバイオリニストに
今年デビュー44年を迎えました。
3歳でヴァイオリンを始めた大谷さん、東京芸術大学に進学後、プロとしての活動を始め国内外の多くのコンサートに臨んできました。
又東京シティー管弦楽団の首席コンサートマスターを経て、東京交響楽団のソロコンサートマスターに就任、在任期間は34年になりました。
3年前からはソリストとしての活動に専念、併せて音楽大学の教授や、TV番組の司会など多彩な活動を繰り広げています。
ヴァイオリンにかける情熱はどこから生まれているのか、そこにかける生き方とは、伺います。

このヴァイオリンは今から311年前1708年に作られた、ピエトロ・グァルネリと言うものです。
グァルネリと言うのはストラディバリウスとは双壁です。
このヴァイオリンの特徴は高い方の音は凄く艶やかな感じです。
低い方の音は豊かな非常に太い音です。
バイオリンが大好きで、ヴァイオリンさえあれば幸せと言う事と人に会うのが大好きです。
仙台で生まれましたが、お隣に東北大学の先生がいて、チェロをやっていて、母と一緒に発表会に連れて行ってもらいました。
その時のことは覚えていないですが、ヴァイオリンに反応してしまってあれを習いたいと言ってきかなかったと母が言っていました。(2歳8か月の事)
3歳で名古屋に引っ越して西崎信二先生に巡り合う事が出来ました。
西崎先生に出会えなかったら今の自分は無かったと思います。
創意工夫して子供にも判るように、とにかく熱心に教えて下さいました。
先生からは「努力に勝る天才なし」と小さいころから頭にたたみこまれました。
繰り返し繰り返し飽きないで根気よく続けることで、そのうちに出来て来ます。
そうすると嬉しいです、その時に本当に先生が褒めて下さったので、今では教える立場なので苦手な子でも進むように繰り返してできたら褒めるようにしています。

私は朝起きると先ずは直ぐにヴァイオリンに取り組むようにしていました。
ボーっとした状態でやると、そうすると実力が判るわけです。
東京芸術大学付属音楽高校を受験しようと思って、東京に行きました。
全国からライバルとしての多くの同じ年ごろの人が集まってきているわけです。
友達の演奏を聞くと言うのがとても勉強なりました。
先生の家に朝ついても4,5時頃になりました。
高校2年生の時に全国コンクールに出て1位になることができました。
周りはいい演奏だったと言いますが、弾いてはいるが、自分らしい表現ができていないような気がしました。
コンクールの前に「風と共にさりぬ」という映画を見に行ったんです。
観ている間に途中から自分がスカーレット・オハラになってしまって、その後ご飯もなかなか通らず辛くてそれが1カ月続きました。
やっとコンクールのことに頭が行くようになって、演奏したら優勝出来てみなさんから表現力の大きい演奏だったと言われました。
後になってそれは「風と共に去りぬ」で疑似恋愛をして、なりきって辛い思いをしたりしたから、その感情が演奏に影響したものと思いました。
表現に変わった瞬間だったと後で思いました。
テクニックだけでは音楽にならないと言う事が判るわけです。

東京芸術大学に進むことになりました。
友達、先輩の方々との交流もあり音楽の世界が広がりました。
プロとしての演奏会の仕事も頂きました。
2年生の時には学校の授業に支障がない程度に10~20回位行っていました。
音楽鑑賞教室の団体の中でコンサートマスターもやりましたがコンチェルトもやって、生徒が目を輝かせて聞いてくれて、嬉しかったです。
学校の先生方が子供たちに静かに聞きなさいとか、拍手の練習もしていて、それは判るが、抑えると子供たちは萎えてしまうので、感じる心も抑えちゃう事にもなると思って、自然にしておいてくれた方がいいと思いました。
その時にはまだ若くて言えなかったが、今はそうしています。
大町陽一郎先生の力添えもあってヨーロッパのあちこちに連れて行ってもらいました。
音楽は世界の共通語だと思います。
ヨーロッパでも認められて音楽で世界中の人達と仲良くなりたいと思いました。
東京シティーフィルで首席コンサートマスター持させていただいてその後東京交響楽団のソロコンサートマスターもさせてもらって、併せると34年間もコンサートマスターをさせていただきました。

コンサートマスターはリードをする時もあるが、素晴らしい指揮者の時にはあまり仕事はしません。(ほとんどが素晴らしい指揮者ですが)
指揮者に目がいかないでコンサートマスターばかり見ていて、コンサートマスターの身振りが大きいと怪しい指揮者だと思って頂いたても・・・。
音でキャッチボールをしているので、様子を見ながらやっています。
終盤に舞台から降りて客が見えないようなルートで1階の客席の一番後ろまで走ってアンコールで扉を開けてそこで弾いたりします。
舞台から遠いいと、聞こえずらい、見えにくい、近くだと微妙な音、指の動きまでも見えるので感動してもらうと音楽が好きになってくれると思うので、40年近くやっています。
本当にヴァイオリンに出会ってよかったと思います。
今が本当に音楽人生の青春だと思っています。
表現することが楽しくて楽しくてしょうがありません。