2019年5月11日土曜日

笹畑美佐子(「スマイルシード」代表)   ・【人ありて、街は生き】親子で安心、おいしいメニューを

笹畑美佐子(アレルギー対応子ども食堂「スマイルシード」代表)   ・【人ありて、街は生き】親子で安心、おいしいメニューを
去年の春滋賀県の守山市でユニークな食堂が立ち上がりました。
食物アレルギーのある子供達の為の子供食堂です。
自宅の調理はもちろん給食や外食、保育園や幼稚園の行事などあらゆる場面で食材のチェックは欠かせません。
色々な制約の中で外出するのが億劫になって孤立してしまうという人もいると言います。
そんな親子の為に医師や調理師、管理栄養士などのグループが夏祭りハロウインなど、季節ごとに安全で楽しいメニューを考えようと言う訳です。
設立を呼び掛けたメンバーの一人、笹畑さん54歳は自身も食物アレルギーの息子さんを育ててきました。

大豆の醤油ではなくエンドウ豆の醤油を使って、片栗粉でしているので小麦粉アレルギーにも対応しています。(子供達のクリスマス食事会の食事の一部)
コタミネーション(食品を製造する際に、原材料としては使用していないにもかかわらず、特定原材料等が意図せずして最終加工食品にコンタミネーションしてしまう場合がある)が怖いので食事会の前日に徹底した掃除と洗浄を行っています。
調理台が特に危ないので3回は洗浄してから使用します。
食器も独自で購入したものを一般と分けて使用しています。
特定原材料7品目があり、卵、乳、小麦、エビ、カニ、蕎麦、ラッカセイは義務表示になっています。
推奨表示と言う20品目があります、肉、魚、ナッツ類、果物があり、メーカーさんに任せている表示があります。
加工食品ではハムなどもあります。
ケーキの元、小麦粉を使用しているので、米粉をスポンジにつかっているものがあるのでそれを使っています。
アレルギー源が含まれていないか、食物アレルギーのひとは命にかかわるので表示チェックをしています。

アレルギーにも色々タイプがあります。(約5種)
食事型症状が一番多いです。
8~9割の方が皮膚症状、じんましんとか赤くなったり、かゆくなったりします。
全身に蚊に刺されたようなぶつぶつが出現する人もいます。
その後にお腹が痛くなったり嘔吐、下痢、呼吸器症状、目がかゆくなったりします。
アナフィラキシー、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が体内に入ることにより、複数の臓器や全身に症状が起こり、生命に危険が及ぶ過敏反応のことです。 その中でも血圧低下や意識障害を伴う状態をアナフィラキシーショックと呼んでいます。

ソーセージの繋ぎに小麦が入っていて、救急車に運ばれたこともありました。
食物アレルギーに対する理解もすこしづつ社会に広がってきています。
ちょっとした量でもコタミネーションが起きてしまうので、アレルギー研修を年に一度でもしてもらって意識を持ってもらう事は大事だと思っています。
私の子は18歳になりますが、食事症状ではなくて、特殊型でしたので、原因物質を食べて激しい運動をすることによって症状が出たり出なかったりするものです。
幼稚園のころにその症状が発生しましたが、私自身が理解できていなくて、心臓が悪いのか内分泌かなあと思っていました。
4,5回目に救急車で運ばれた時に食物アレルギーだと思われると言われて、食物アレルギーに関する勉強を始めました。
その時は小麦粉ではないかと言われていました。
小学校に入ると食事後にサッカーをしたりするので、休憩時間は母親が管理してほしいとの事で、
学校に行って子供の様子を見て帰って来るようにしていました。
緊急で必要な場合はアナフィラキシーに対応する注射を打つキットがあります。

アレルギー対応子ども食堂「スマイルシード」立ち上げについて
務めている病院ではアレルギー教室を年に4回行っていますが、精神的課題、社会的な日常生活に関する質問が多くて医療の中でできる事が少ないと気がつきました。
アレルギーに関する学会で、病院外で何かできることをしていかなければいけないのではないかと言う事があり、子供食堂活動内容と言うものを滋賀県小児保健学会で聞きました。
アレルギーの子はお断り来るケースが多いと言う事を聞いて、アレルギー対応子ども食堂を作ったらそこでアレルギーの子が来て交流会が出来、母親の情報交換ができる場になると思って立ち上げました。
食物アレルギーの事を判ってもらっていないと誤解、偏見とかがおきて、次に出て行くのが億劫になったりして引きこもりになったりすることもあります。

「スマイルシード」立ち上げに関わった医師 楠隆さん。
2012年の東京都調布市の学校給食のアレルギー誤食による死亡事故があり、一気に危機意識が高まり県のアレルギー対策の事業が立ち上がり現在に至っています。
とにかく食べないこと、アナフィラキシーを起こした時に対応する事しかなかったが、
最近は症状を起こさない、ごく少量から食べ始めて行こうと言う方向に変わってきています。
皮膚からすこしづつ吸収させることで免疫の耐性を作ろうと開発中です。
抗抗IgEを併用する治療も工夫されているところですが、まだ研究段階です。
報告書では給食にしじみ、そこに粉チーズが含まれていて、食べさせない表示と言う事になっていたが、お代りをする段になって誤って彼女の手に渡ってしまった。
いくつかの条件が重なって対応を誤り命を落としてしまった。
「スマイルシード」では一人500円頂いています。
対応するには色々と金額がかかってしまうので了承いただいています。
食品メーカーさんから商品の提供があったり、メーカーさんの助成金制度を利用させていただいて運営しています。
滋賀県だけでなく近畿一円の医療機関で働くアレルギー専門看護師、管理栄養士、小児アレルギーエデュケーター(435名が資格を認定されている)のグループが「スマイルシード」を立ち上げる。

小、中、高校の生徒の4,5%に食物アレルギーがあるというデーターもあると言われる。
アレルゲンを除去した冷凍食品の開発をしていただければと思います。
「スマイルシード」のノウハウを提供していきたいと思っていますので、アレルギー対応の食堂を作っていただければと思っています。