2013年3月16日土曜日

鍵井靖章(水中写真家42歳)     ・被災地を励ます再生する海の姿

鍵井靖章さん(水中写真家)は15年にわたって世界各地の海で撮影を続けてきました
東日本大震災ではいち早く海に潜り、海の中の様子を記録してきました
震災から2年、このほど被災地の海の様子を写真集に纏めました

だんご魚海の底から見た震災と再生」 写真集 震災から3週間後に東北の海に潜ってそれから去年12月までのおよそ2年間の被災地の撮影された海の様子が映し出されている
瓦礫、魚 等  南の海で撮影されている事が多かった
南の海でサンゴ、マンタ、クジラ、クマノミ等を撮影していた
3週間後に潜った 4月3,4,5日のタイミングだった  週刊誌の依頼が有った 
まだだれも潜っていなかった  
どうしても行きたかった理由は 一番最初に報道される水中写真が引きずり込まれた瓦礫の写真だけが発表されるのが嫌だった

瓦礫の写真だけがイメージが先行して傷だらけの海底ですよだけの報道ではなくて、そこでも生き物たちが生きていますよというのを報告したかった
津波の海底でも生き物達はしっかり生き延びてますようという事を皆さんに伝えたかった
家がまるごと引きずり込まれていて、タンスとか、机とかがそのままの状態であった
海にいる事が忘れられるような光景であった(差し込む太陽が綺麗で印象的だった)
ちょっと移動するだけでいろんな瓦礫が目の前に現れてショックだった
2人で潜っていると恐怖は感じ無かったが、ちょっと一人になったときに、海底で独りぼっちになったときに、凄い恐怖が襲ってきた 怖くて怖くて、声を出して逃げたい気持ちになった
過去にそんな経験をしたことが無かった

水が重たかった 岩手県宮古市、大船渡市の海の中だった
吃驚するほど雲丹とかヒトデとか、動けないものはいるが、魚は全くいなかった
後で考えると、津波が来るので沖合に逃げたのかなと思った
震災直後は海の中で全くいなくて、命を全く感じなかった 瓦礫ばっかりで
赤い色をした「だんご魚」が見えた  大きさは親指の爪位の大きさ 顔が愛嬌が有る
おむすびに顔とくちを書いたような感じ  東北では1年中みられる魚  唯一出会えた魚だった
最後にこの魚を撮影できたことは、僕にとっては凄いきっかけというか、始まりになった
3週間後の海は心配の有る事がいろいろあったが、撮影しなければいけなかったんだと思った

だんご魚からの視点での写真集となった
岩手県の海は潜れない 密漁者とみなされる 
地元の人とのつながりが出来て水中写真を撮ることに協力的になってくれた
瓦礫の写真は興味を示さなかったが、生き物の写真については、とっても興味を持って喜んでくれた (食べる魚については特に興味をもったが、だんご魚については知らなかった)
大きな漁港は早い時期に瓦礫の撤去が早かったが、小さな漁港は中々進展していない
生き物はすこしずつ戻ってきている 水温が高くなると魚も活動的になってきて、あいあめ、かじかを見るようになった 最近は瓦礫(車だとか)
を利用して魚が住むようになった

あいかじかが卵を抱えている姿を見て嬉しかった(2012年2月頃)
漁師たちに写真を見せると喜んでくれた(宮古漁協が無償で船を出してくれた)
漁師の方に対して何かしてあげられないかと考えた
撮影するだけでなく、地元の方や、漁師のかたに報告する機会を持った
一人の漁師が どうして海草の写真がないのかと言われた
海の中にわかめ、こんぶがないと言う事は、アワビ、うににとっては昆布やわかめを食べて生きているので、アワビやウニが生きられないと言う事
 
翌日から良く見ると海草が生えてきている事を見つける(2012年1月頃)
海草という視点で見てみると、わかめの新芽が出てきている
岩肌に生えるのではなくて、瓦礫からも海草が生えていた(海の逞しさに感動する)
3月に同じところに潜ったら、新芽が伸びて1m近くになっていた
漁師さんに見せたいと思った(アワビ、うにの環境はしっかり再生されている)
この2年間で海に対する気持ちが随分と考えが変わった(地元の人達との交流が有って)
いままで岩手県は潜ることが出来ないので、岩手の海の中の写真は取れなかったが、いろいろと人の目に触れていない世界が有るのを知って、瓦礫ばかりではなくて、本来の海のなかの美しい姿をとりたいと思った

今までは南の海での世界 夢の中の世界 人間と密着していなかった海の写真を撮っていたと思う
震災の海の世界をとるようになって人間の生活と密着した写真をとる様になった
どうだ凄いだろうこの写真という様な感じだったが、震災後の写真は誰かの為になればと思うようになった(記録している事は何かの役に立つかもしれない)
最後の頃はだんご魚の産卵を取ろう思った  卵は2mm位 巣穴の大きさが直径1cm
被災地の海で命を撮りたいと思うようになった(おおきなエールになるのではないかと思った)
6月にだんご魚の産卵が有るというので長期滞在を決めた(産卵から孵化)
写真集にしてまとめたいと思うようになった

これまでの震災の写真集とは違った写真集を出そうと思った
東北の海のすべてを表している訳ではないので、再生が進んでいるようだが、すべてを表している訳ではないのでその点を理解してもらいたい
希望になるような写真集にしたかった
いろんな角度から見る事が出来るようになったと思う
この地球は人間しか生きているのではなく、あらゆる生物が生きている
今後は漁師さんにも注目して再生してゆく漁業の姿とかもレンズを向けて行きたいと思っている