2016年3月6日日曜日

保阪正康(ノンフィクション作家)   ・第26回 占領期のラジオ放送

保阪正康(ノンフィクション作家)   ・第26回 占領期のラジオ放送
NHKのラジオ放送ががらりと変わる。
軍事態勢の下で公報の役割を担わされていたが、占領期は解放されたが、アメリカの民主政策が国民に伝えるという役割を担わされる。
連合国総司令部からの干渉もある。
GHQの中にCIEという組織があり、民間情報教育局と訳されるが、教育、宗教、文化活動、そういうものに対して担当するセクションで、日本人のものの考え方、軍事から切り離された考え方を育てていこうと言うのがこの部局の役割だった。
ラジオもその役割を担わせられた。
自由度はかつては0%だったのが、70%程度が自由だったのではないか。

「真相はこうだ」 
昭和20年12月9日から開始、戦争の真相を知らないと言う事で、アメリカ側から見た真相を伝える。
台本はCIEの将校が作った、子供の質問に大人が答える形式。
大本営の放送発表を否定する。
10回で終了して、そのあと「真相箱」、「質問箱」、「インフォーメーション箱」が引き継ぐ。
戦争で人間関係がばらばらになり、消息が判らない事が多くて、元の人の関係に戻したいと言う事で、情報番組 「復員便り」、「訪ね人」、「引揚者の時間」等が放送される。
昭和21年7月1日から放送される。

教養番組のジャンル
 「私たちの言葉」 、「名演奏家の時間」、「街頭録音」、「放送討論会」などがある。
一般の人たちも放送に参加し始める。
昭和22年4月22日放送 「街頭録音」の中で青少年の不良化をどう防ぐかという事でガード下の娘達を紹介している。
一般の人たちの生きざまを紹介している。
ラジオ番組が学校で劇になったり、取り入れられたりしていた。
娯楽番組
「のど自慢」、「素人演芸会」、「話の泉」、「日曜娯楽版」、「二十の扉」等。
「話の泉」で突然和田信賢アナウンサーの死が告げられ、出演者のサトウハチローの自作の詩を披露する。
和田信賢の追悼番組
「和田信賢に捧ぐ」
「星がある。 風がある。 草がある。 臭いがある。 石がある。 塀がある。 屋根がある。
枝がある。  僕の投げた下駄がある。 
東を見ればかすかにかすかに明けてくる夜明けがある。 
けれど和田はない。 和田信賢はない。 ない  もういない。」 (101行の長い詩)
自身では涙で読めず、サトウハチローの詩を徳川夢声が代読する。
芸能番組 
朝の童謡、昼の歌謡曲、夜の浪曲迄ある。
「小鹿のバンビ」、「岸壁の母」、「清水次郎長 石松三十石船道中」を放送。

検閲
英訳してチェックを受けた。
「学校便り」の少女の作文にも検閲が入っていた。
傷痍軍人を慰問する所にもチェックが入っていたという。

ラジオドラマ
鐘の鳴る丘、三太物語、新諸国物語等。
新諸国物語は子供向け時代劇で、の白鳥党とのされこうべ党の時代を超えた戦いを描くシリーズドラマである。
笛吹童子」と「紅孔雀」の人気は特に高い。