2016年3月17日木曜日

秋元義彦(パン製造会社社長)   ・被災地へ!世界へ!缶詰パン

秋元義彦(パン製造会社社長)    ・被災地へ!世界へ!缶詰パン
63歳 栃木県那須塩原市で68年続くパンの製造会社を経営しています。
会社に隣接する店には、創業当初から一番人気の甘納豆パンをはじめ食パン、フランスパン、ドーナツ、ピザ等が並んでいます。
その一角に缶詰パンがあります。
このユニークな缶詰パンは秋元さんと被災地のつながりから生まれたもので、20年製造され続けています
缶詰パン誕生から今に至る道を伺います。

地震発生時から5年間続けて届けています。
仮設住宅に揚げたてのドーナツ、パンで作ったラスク等を届けています。
支援を始めた時は、パン、メーカーに依頼して牛乳、イチゴなどを集めるだけ集めて、震災直後は毎週の様に、仮設住宅に移るようになってからはほぼ、毎月現地に行って、台所が狭いのと、火事になってはいけないと言う事で、揚げものはしないという暗黙の了解があるので、私たちはドーナツなら揚げられると言う事で、プロジェクトが始まりました。
阪神淡路大震災の時に被災者の声をきっかけにパンの缶詰を作って防災備蓄食として発展させてきました。
自分たちの製品が災害現場で役に立つと言うことを目の当たりにして、出来る限り緊急な事故が起きた時に、お手伝いをして行こうと言うことが会社のポリシーになっています。
硬いパンではなくて柔らかいおいしいパンをとの要求があり、いろいろ工夫して作ったのが今のパンの缶詰の原点です。
カビが生え無くておいしいのと言うのはあい離反する事でしたので1年間掛かりました。

菌がついては駄目なので、無菌状態を保つ、酸化しない、紫外線から保護する、と言う事で缶詰なら出来ると思った。
いろいろ段階を踏んで現在の原点となる缶詰が出来ました。
缶の中に生地を入れて焼くと言うことに辿りつきました。
食べてもらうと面白いと言われたが、店に並べても売れなかった。
メディアの人たちがユニークな製品があると言う事で、世間に広がってゆきまして、中越地震の時に、自分たちで寄付をして、都内で缶詰パンを持っている自治体が送って、缶詰が学校に配られてその映像が映って、報道され生産が間に合わなくなった。
個人、会社、学校等での備蓄、の引き合いがあります。
年間300万缶弱生産しています。
約500ccの缶で350kカロリーで牛乳1本とで1食分に相当します。
いろいろな要望があり20種類あります。
イチゴ、レーズン、オレンジをジャムメーカーに作ってもらって、3年保証となっています。
400円前後で販売しています。

賞味期限がきたので処分してほしいと言われて、複雑な気持ちになりました。
処分しないでタイムリーに回収できないか考え、物流関係者、海外ボランティアの人達に問いかけて協力していただきて、問題が一つずつ解決してゆきました。
賞味期限3年のものを2年で下取り回収する事にして、NGOを通して世界に送る。
配った先で写真、レポートをお願いして、配られた状況が判る様にして、(義援の見える化)「救缶鳥」のプロジェクトが出来上がりました。
賞味期限5年という要望があるが、缶の保証期限が3年なので難しい。
「救缶鳥」
フィリピン台風、昨年3月サイクロンでの被害のバヌアツ共和国 (ニュージーランドの近く)、ケニア、ネパール等に送りました、今まで数十ヶ国になります。
缶を食器替りに出来ないかと思い、ダブルサイズ(2食分)を作り上げました。

学生時代パン屋以外の職種を選びたかった。
お婆さんから長男が跡を継ぐべきだとこんこんと諭されて継ぐ事にしました。
今は長男、次男、長女が会社を手伝ってくれているので、ホッとしています。
5年前の時に、何故役所が持っていないのか、隣の街、隣の県とは連携がしていないのが判った。
倉庫に民間の備蓄が有れば自分たちの判断で送れるのでNPOが4年前に立ちあがって、海外支援機構「We Can」が出来ました。
数か所ですが、県単位の備蓄が行われています。
パンの缶詰、水、毛布の備蓄が始まっています。
民間レベルで素早い対応が出来ると思っています。
パン屋の周辺事業で見返りを求めない、少し社会に対するお返しがソーシャルビジネスだと思います。
「救缶鳥」は参加する皆さんが主役です。
3のつく日にパンを買っていただけると売り上げの3.3%を貯めて置いて毎月の東北支援にも回しています。
2食分の缶が15缶セットになって、1万2400円になっています。
2年後、一部食べると、連絡を取り合って、次回購入する分を値引きできるようになっています。
「救缶鳥」で備蓄するならば、自分の為の備蓄が世界の貧しい国へ送るプロジェクトに参加することにもなります。
日本の優しさが伝わる様な活動になってほしいと思い、日本の国旗を箱に張って送るようにしています。
地方での焼き立てパンを宅配する事も行っています。
今年にアメリカで「救缶鳥」プロジェクトが出来て、賞味期限3年の物を2年後に回収すると言う事業を行いたいと思っています。
社会貢献できる備蓄の仕方がパンだけでなくてもいいので、このアイディアを自治体も、政府もやっていただければと思います。
「日々新た」 気持ちを新しく持っていたい。
出来るかもしれない、という仮説をたてるとできちゃうんですね。
仮説を立てて、日付けを付けてゆく。