2012年10月2日火曜日

大森和夫(国際交流研究所)    ・民間日中交流の24年 2


大森和夫(国際交流研究所72歳)     民間日中交流の24年 2
中国はベット生活なので1週間のホームステーして貰い、布団に寝て貰い日本食を食べて貰う
刺身、納豆等の体験をして貰う お風呂も浴槽に入る  中国ではシャワー  
初体験を一杯して貰う  日本語ですべて行う
帰りの御土産を何を買うか  100円ショップに連れて行くと喜んだ  ビニール傘が凄く喜ばれる  最近では所得が向上したのでカメラ等を買って帰るようになる
作文コンクール 29700通になる(15年)  最終審査は中国の大学教授にゆだねる  
内容が変化してきている  最初は(5年間)経済大国の日本からいろいろなことを学びたい  反日感情は作文には殆ど出て来なかった  
1992年に昭和天皇が訪中されて、日本国民が中国に対して多大な苦難を与えた一時期の不幸 があったと、発言が有ったことが大きく影響したと思うが、殆ど反日感情は無かった  

次の5年間は日本の閣僚の靖国参拝とか教科書問題とか元従軍慰安婦とか、歴史認識に絡む外交問題は表面化してきて、日本への不満がかなりでてきたが、その中で日本語学習を一生懸命しましょうという流れではあった  
2001年から7,8年間は一番反日感情が強くて、作文にも出てきていた  
当時の首相が靖国神社参拝をしたのが直接影響していた
当時の作文、私達は日本政府の中日友好の態度に疑問を持っている  
首相がしょっちゅう靖国参拝をすると云うのは中国の国民の心を深くキズを付け、中国の国民の心に暗い影を投げかけて中日友好の大きな妨げになっている と書いてある
(1等賞になった作品)
 
その後は現在までを含めて未来志向というか 明るい時期に入っていると思う  
日中で戦略的互恵関係が確認されて、と言う事で中国の学生もそういう方向で日本を見ている  その背景には中国経済が発展してきたことがある 
貿易額はここ40年間で300倍になったと言われている  
尖閣問題の反日デモもそのうちに収まると思っていると言っている
日本で何か起こるたびに、反日感情が出てくる、そのベースには戦争が常に横たわっている  日本人も中国に対して想いを馳せると言う事も必要
日本語を勉強する学生にアンケート調査 27000通回答有り 1999年  2001年  2005年 の3回  日本に対して親しみを感じるか
60%→48%に下がっている
  
日本政府、日本に対しては親しみを感じないが、日本人には親しみを感じる  
こういう比率が高い(60%以上は親しみを感じる
日本を知ることで憎しみや恨みが無くなった(日本語との出合い、先生、多くの人達) それが親しみや好意に変わったと言う学生が多いですね
民間交流の大事なところ  3つの感謝(中国の文化が日本に入ってきて定着、戦争賠償放棄、残留日本人孤児を温かく育ててくれた)1つの謝罪(過去に日本が中国を侵略したこと) を活動の原点にしている    信頼を肌で感じる

機関紙「日本」の発行が広く利用された  30ページ前後  これからもっと本格的な雑誌をつくろうとした、そのきっかけが新彊ウイグル地区のウルムチ職業大学の感想が届いた  
今使っている日本概況という教科書は随分古い 機関紙「日本」をクラスに一冊ずつもらいました 内容がとても豊富で 政治、生活習慣、風土、文学が 含まれています  
日本を知る上で大変役立ちます  良い教科書だなあと思いました  
「一衣帯水」  内陸の新彊と日本に虹の架け橋を作ってくれました  
7000通の感想が届いた(15年間)   
或る学校で9人の先生がいるが、一人も日本に来たことが無い  
新しい情報、等が入ってこない 日本の状況を日本人が書いた言葉で紹介する事がまだまだ必要   

知った上で教えるのと知らないで教えるのでは全然違う(例えばうな丼についてですら)  
今も知ってほしいし、古いものも知ってほしい  
可能な限り最新の情報も入れる(東日本大震災、最近の経済等)
北京の出版社から発行して貰い 郵送料がかからなくて済む  
校正が大変だが、費用は半分ぐらいは自己負担 個人のカンパ、企業からの援助で賄ってきた 一番多い時で1300万円 その半分は自分が負担する  24年間それをやってきた  
個人のカンパは予想外に大きかった  
可能な限り続けていきたいと思っている  国からはお金は一切出ない 
 
海外で日本語を勉強している人達は日本にとって貴重な人材です  
個人の人達には日本語で交流がいつでもだれでもできるんですという事を強調したい
これからの中国は  経済も豊かに成って お世話したり、お世話されたりの時代になって行ってほしい
中国の日本語学科の生徒の3/4は女性  その人達が日本語学科の先生に成ってゆく   
中国は共稼ぎが通常  定年まで働く
勉強の仕方も真剣、就職も真剣、 上層部に上がってゆくのも男性と同じ 
メールでの心の通い合い  スカイプ  インターネットでの交流   
ボランティアという言葉を一切使わない  
自分達の人生を豊かにしたいのが活動の半分を占めているように思う
(24年間やってきて凄く心が豊かになったと思う)
「友好」という言葉が使わなくてもいいような、ごく当たり前の付き合いになってくれればいいなあと思います