2025年5月6日火曜日

小谷みどり(シニア生活文化研究所 代表理事)・高齢者食堂に集い孤立を防ぐ

小谷みどり(シニア生活文化研究所 代表理事)・高齢者食堂に集い孤立を防ぐ

 子供食堂につづき、今広がり始めているのが高齢者食堂です。  東京新宿で開かれているのを主宰しているのは、高齢者問題を研究している小谷みどりさんです。  小谷さんは56歳。   行政からの補助に頼ることなく自らの資金で高齢者食堂を経営、運営しています。 月2回開かれる高齢者食堂には20人ほどの高齢者が集まり、それぞれの経験や情報をやり取りして孤立を防ぐ役割を担っています。  小谷さんが高齢者食堂にかける意味合い、そこから生まれるものは何か、伺いました。 

皆さんに食べやすい料理を考えています。  作る方も素人なので手の込んだ料理は出来ません。  玄米も寄付を頂いたりするので、家庭用精米機を購入して精米しています。  炊き立てのご飯は喜んでもらえています。  身の周りの話、病気の話なども出てきます。  世話をしている男性がギターを持ち出して参加者が歌を歌い始めました。 ビートルズメドレー(英語)でした。  

大学を卒豪後、生保系のシンクタンクに務めました。  自主研究が中心のところでした。   皆に共通する研究をしたいと思いました。  共通のことと言えば「死ぬ」という事しかないと思いました。   主に死生学を学びました。  日本だけではなくて海外に行って、生き死にの現場に入ろうと心がけてきました。   それぞれの国によって全然違うところがあります。   シンクタンクで研究しながら講演、大学の講師も並行して進めてきました。   元気な時だからこそ、自分が自立できなくなった後のことについて考えていただきたいなと思います。  

42歳の時に、朝起きたら心臓が止まって夫が亡くなっているのを発見しました。  結婚生活は12年でした。   大切な人と死別したその後の人生をどう生きるかという観点からも研究していかないといけないなと思いました。  明日も明後日もあるわけではないという事に気付きました。  今生きている時間を大切に、どう生きるのかという事を、私自身が考えて実践することが、亡くなった夫の死を無駄にしない事でもあるなと気付いて、配偶者と死に別れた人たちが、その人の分まで2倍人生を楽しむ会を作ってみたいと思いました。 

「没一の会」を立ち上げ、亡くなった人の分も、2倍人生を生きるぞと言う人たちの会です。  一人になってしまうと海外旅行が出来なくなるという事で、1年前にはニューヨークに行きました。(10人)   前向きに生きようという活動です。  「没一の会」は高齢者食堂にも大きくかかわっています。  調理、ギターで音楽を提供するとか、手伝ってもらっています。  

死生学を通してずーっと気になっていたのが孤立の問題でした。  一人暮らしの高齢者が増えています。  自立できなくなった時に誰に助けを求めるのか、問題になっていることを感じました。  多くの人は子供に迷惑をかけたくないというんです。  手間を迷惑と思わせない関係性を日頃から築いてゆく事は、凄く大事なことだと思います。   血縁だけではなくていろんな人に「助けて」と言える様な関係性を築くために高齢者食堂を作ってみたら、そこで自分の不安を話してみたら、皆不安に思っていたとか、困っていることを話してみたら、解決方法を誰かが知って居たり、自分の不安を和らげるような場を作りたいと思っていました。 

費用は全て私のお金で運営をしています。  数年前から東京都では高齢者食堂に対して補助する仕組みがスタートしましたが、同じ地域の高齢者が集わなければいけないという条件があります。   行政の補助も僅かで、自由な運営がしずらくなります。   米、野菜などを提供して下さる人も出てきます。  いろいろな側面で関わって頂いています。  

高齢者食堂がスタートしたのが去年に12月。  高齢者食堂の情報をお届けするという事にまだ壁があります。  全国に広がって行って貰えればうれしいと思います。  実践をするために研究していると言ったスタンスです。   学習支援、消防団もやっています。  地域の人たちとつながりを持つことも大事です。   

亡くなるとお金は持っていけないし、地位や名誉も持っていけない。  亡くなった方を見ると、その方がどんな方だったのかという事が凄くわかるんです。  それはやっぱり人との繋がりなんです。  人と人とが繋がるという事が凄く大事だと思います。  子供に迷惑をかけたくないから迷惑な死に方はしたくないと今の高齢者多くはおっしゃいますが、お互い様の社会を作ってゆくためには、人と人とがどうつながるのかという事を考えていきたいと思います。  迷惑と思わせない人間関係をつくる、どうやったらその関係性を繋げるかなという事を、これからも考えていきたいです。