2017年8月11日金曜日

小野山亮(日本国際ボランティアセンター)・市民が作るアフガンの平和

小野山亮(日本国際ボランティアセンターアフガニスタン事業統括)・市民が作るアフガンの平和
2001年9月に起きた同時多発テロ事件以来、アフガニスタンではさまざまな勢力いの間で紛争が続いています。
地域社会、家庭の中にも銃や武器が入り込んで状況はさらに悪くなっています。
世界の紛争地などで支援活動をしている、日本国際ボランティアセンターでは、2001年の10月からアフガニスタンで医療支援や保健活動を続けています。
小野山さんは20年にわたってNGO活動に携わっていて、現在はアフガニスタン事業の統括として平和な地域作りの仕事をしています。
小野山さんは力ではなく、話し合いに依って問題解決に導く、アフガニスタンピースアクションという運動を進めようとしています。

アフガニスタンの状況は9・11後、アメリカを中心とする外国の軍隊が現地にいて治安維持活動をしていたが、国内の事情等があって近年撤退している状況で、武装勢力のタリバンが拡大している状況で、国土の半分~7割で支配、戦闘が行われているといわれます。
別の武装集団ISの勢力の影響力も近年拡大している。
米軍を含めて国際勢力の軍事介入が又増やしている状況にあり、治安状況が悪化しています。
都市部での自爆行為とか爆発物を使った攻撃が非常に増えて居て、市民の死傷者数が最悪になってきている状況です。
都市部で起こったISの自爆攻撃で家族、親戚、事業地の村の方も巻き添えで亡くなっています。
緊急救援で9・11後すぐに入り、医療活動、教育活動を行ってきました。
アフガニスタンの東側が紛争が多い。(パキスタンとの国境沿い)
2012年に参加して、アフガニスタンの担当スタッフになりました。
支援団体は人の命を救う為、平和を作るためにはいっているので国によって区別したくはないが、日本人のイメージは中立、勤勉とか製品の質の高さとか評価が高いので、日本人への親近感、尊敬のようなものもしていただくこともあります。

40年ぐらい前、小学校の低学年の時代に、父が韓国に企業の一社員として派遣されて、日韓の問題がある中で、父も色んなこともあって最終的には韓国人の同僚と酒を楽しく飲み交わしているのを見て、国境は無いのではないかとか、戦争、民族とか過去両国間にあったということも気づくようになって、特に戦争の問題に関心をひかれました。
個人として平和を作ることが、国を離れて出来るのではないかと、父親の姿を見て考えるようになって始めたというような状況です。
大学でも戦争に関わる勉強をしましたが、実地、実務と理論は違うものがあることを後で思いました。
現場で起こっている事実は冷酷で厳しくもあり、がんばっても変わらない現実の壁もたくさんあるので、見聞きすることとは違うと思ってはいます。

アフガニスタンピースアクションの活動を始めたきっかけは、現地スタッフからの発案で出てきたものです。
日本人の駐在は難しい状況になっていて、日々の運営は現地スタッフが行っています。
発案した現地スタッフは力が全てを決めるとか、支配する状況を沢山見てきて、彼の父は村の長老の一人で武装勢力側が彼の父を殺そうとしたので、彼は父と一緒に家族でパキスタンに難民として逃れるという少年時代を過ごす。
力で稼ごうとして武装した警備員の仕事、銃撃戦に加わったりして青春時代を過ごした。
彼はアフガニスタンに戻った時に国軍に入ったが、米軍の活動、アフガニスタンの歴史を踏まえて、タリバンに入って米軍を打ち負かそうと思う。
日本国際ボランティアセンター(JVC)にたまたまドライバーとして入る。
変わるきっかけがあり、今のアフガニスタンピースアクションの活動を始めることになりました。
米軍による演習、攻撃によって村人が負傷、診療所の壁に被害が出たりした事件があり、私達は抗議、原因の説明を求めたりしていました。

そういったことを見てきているうちに、武器を持って戦うのではなく、彼は別のやり方があるのではないかと意識する様になったと言っています。
米軍の攻撃の証拠などを集めたり写真を撮ったりして、抗議活動をしました。
昔は銃をとっていた彼が、対話によって物事を解決するということを、団体の中で自分でも行う様になったという経緯があります。
彼は自分が変わってきた過程を、皆にも体験してほしいと言うふうに思ったみたいで、力には力で戦ってきた彼が対話で治めた体験と似たような事例を、日常生活のなかでもあるだろうとみんなに聞きだして発表して貰う、と云う活動を始めました。
集まって体験談を発表して、暴力を使わなくても解決する方法があるのかということをお互いに学び合うきっかけを作りました。

色々事件があると、力を使ってしまう環境があるのは間違いなくて、暴力を振るわない事例を見せることはリアルな問題としてあって、彼自身は出会った活動の中で変わったので、皆にも発表しあって学んでほしいと言う思いで始めたと聞いています。
彼の個人的な活動を団体として支援したいなあと思って、2年ぐらい前から形にしようとして今年の4月からお互いに報告し合うという実際の活動を始めました。
土地をめぐる争いがあり、武装勢力を引き入れようとしようと思ったが、長老たちが止めたという事例もあります。
暴力以外の解決手段があるということを学び合えればいいと思っています。
若者が我々の活動に加わってもらえればいいなあと思っていて、戦闘に向かう若者たちは増えているので、非暴力で解決したと云う事例があると知ってもらう事は非常に大事です。

若者達から女性グループ、地域指導者との話し合いへも始まっています。
日常生活の中での喧嘩をどう解決したのかと云う事例とか、小さなものが大きな暴力に繋がるとか、イラストなども作成中です。
リアルな事例はやはり活動していないとわからないこともあって、現場と繋がって一市民として現地の市民の活動、喜怒哀楽に触れることは大事な点と思っています。
日本人は公正な、誠実なイメージを持っていただいているので、そういった処を生かすことはできると思っています。