2017年8月31日木曜日

野際陽子(女優)           ・女優が語る私の人生

野際陽子(女優)     ・女優が語る私の人生
富山市出身、立教大学を卒業後、昭和33年にNHKアナウンサーとして勤務、その後
女優として「キーハンター」、冬彦さん現象を起こした「ずっとあなたが好きだった」、「ダブル・キッチン」等話題のドラマに数多く出演されました。
司会者やナレーターとしても活躍されました、今年6月13日に亡くなられました。
81歳でした。
平成22年8月に放送した「女優が語る私の人生」から。

「ゲゲゲの女房」のヒロインのおばあさんの役、ナレーションも担当。
ナレーションはアナウンサーであったことは余り強く出さないようにしています。
ドラマに添って溶け込んでいくように意識しています。
私はインタビューしているときは、NHKのアナウンサー時代に身についてしまった性(さが)というか、そういうものがどうしても抜けきれないものがあります。
4年間は相当濃密だったと思います。(昭和33~37年)
当時は女子学生の氷河期だった。
NHKのアナウンサーをやりながらも、詩の朗読とかそういう雰囲気のものをやりたいとは思っていました。
誘いがあって、女優の道に入りました。
昭和38年に「赤いダイヤ」に出演、その後フランスに1年行きました。(30歳)
とにかくフランスに行きたいという思いが強かった。(先のことは何とかなるだろうと思っていました)

フランスでの体験は私の無駄には成っていないと思います。
「キーハンター」昭和43年から5年続きました。
元フランス情報局の諜報部員、何カ国語も操ると云う役。
「スパイ大作戦」のベースが企画の中にあったようです。
フランスから帰るときに1着ぐらい買おうと思って、フランスでは全部ミニスカートだったので、ミニスカートを買いました。
ミニスカートをはいて帰ってきたら、その後あっと言う間にミニスカートになりました。(ミニスカートの第一号と言われているが)
母親役、姑役で新たな境地を見出す。
冬彦のドラマはあんなに反響があるとは思いませんでした。
佐野史郎演じる冬彦のお母さん役で、ちょっと怖いような役柄。
非の打ちどころがないと思っていた息子が嫁を貰ったらうまくいかなくなってしまった。
「冬彦さん」、「マザーーコンプレクス」が流行語になった。
息子を溺愛して息子に期待をかけてしまうお母さんは、全世界的にあるようです。

冬彦は変ですが、私は凄く素直に役をやっていたように思います。
「ダブル・キッチン」はコメディーですが、いくらなんでもこんな言葉は言わないと思いましたが。
しかし、周りを見渡すと居るんですね。
どんな人でもいる可能性があると言うつもりでいると、どんな役でもできるということにあの役で気が付きました。
嫁と姑の新しいホームドラマ、お互いに主張してあっさりすると云う、ドロドロ感は無かった。
あくまで息子の事を思って演じたつもりです。
私自身は嫁がいないし、娘ですから、私は小心者だと思っているので、ああいうところは全くないです。
言いたいと思ったことは一度自分の心の中で考えて、言っていいかどうか考えてから発言する方なので、何も考えないでポロっと云う人は不思議な気がするくらいなんです。
収録が終わると、とたんにあの役の事はほとんど切れてしまっていますから、うちにいるときは仕事の事は考えていないという感じでした。

生まれは富山のしないです。
3歳と10カ月で父と家族で東京に出てきて、杉並に住みました。
5人兄弟の長女で、初孫だったのでちやほやされて内弁慶でした。
親は忙しかったので一人遊びをしていました。
おばさんたちの着物を引っ張り出して来て、踊ったり、流行歌を歌ったりしていました。
叔母が琴をやっていたので琴をやってみたり、真似をしていました。
映画の中の主人公になりたいと思って、綺麗になりたいと思って、そちらの方に関心を持ちました。
いっとき女優になりたいと思っていましたが、母親から女優(高峰秀子)の写真を見せられて、女優とはこういう人だと言われ、駄目なんだと諦めました。
中学高校は立教女学院で6年間過ごしました。
男女平等、民主主義が入ってきて、海綿のように吸い取っていた時代でした。
制服もなかったし、禁止事項が無かったような思いがあり、映画も一人で行っても何にも言われませんでした。
つつましさ、しとやかさも失っていない少女時代だったと思います。

映画が好きだったので映画部つくって、日本映画、アメリカ映画など観て、段々とフランス映画も見るようになり、フランスにあこがれるようになりました。
本もフランスの本を読むようになりました。
大学時代はフランスの演劇もやるようになりました。
現在は、水彩で花を夢中で描いています。
自然のものと向かい合っているので、疲れないし、忠実に描こうと思ってやっています。
道端にも色んな花が咲いています。
じーっと見るので、本当に凝視するので、これってなんでこんなふうなんだろうとか発見があって面白いです。
これからは色々なおばあさん役をやっていきたいと思っています。