2017年8月3日木曜日

村田浩一(よこはま動物園ズーラシア園長)・動物たちが開く扉

村田浩一(よこはま動物園ズーラシア園長)・動物たちが開く扉
神戸出身 65歳、宮崎大学で獣医学を学んだ獣医師で、地元神戸の王子動物園で20年間勤務した後、日大で動物園学を教えるかたわら、2011年から横浜動物園ズーラシアの園長に就任しました。
動物園は単に動物を見せるだけではなく、動物と人が同じレベルで接し、自然界の仕組みを知り、人の生き方、地球環境の大切さを知ってほしいと言っています。

ズーラシアは愛称で、よこはま動物園です。
ズー=動物園 ライア(ユーラシア) 広い地球の動物たちを一日で見て回れる 、と云うようなイメージです。
人の暮らしと動物と、生息環境の3つを体感してもらうというコンセプトです。
楽しみながら学んでもらいたいと云う思いはあります。
明治時代に初めて動物園が出来たときに、明治天皇に大久保利通が博物館建設の義という意見書をあげるが、動物園は博物館付属でした。(植物園も同様です)
歩きながら、楽しみながら過ごしている間に知識が付く、そういうところなんだと、明治天皇に説明しているが、今世界中の動物園の目指しているところです。
動物から学ばなくてはいけないし、動物を通して自然、地球環境を守って行く、動物を保全してゆく、そう言うことを学ぶ場として動物園が存在している。
1999年4月にズーラシアが出来て、2011年にここに来ました。
理想の動物園が出来たとのうわさがあり、見に来た時は木もすくなかったりして一部砂漠のような状態で、大丈夫かと思ったが、今は当初建設した人たちの予想通り素晴らしい場所になっています。

ズーラシアは動物病院の規模も日本一です。(規模、人員、施設等)
繁殖センターがあり、希少種繁殖に関する研究をしています。
バク、カンムリシロムクを増やして、カンムリシロムクをバリ島の西部に140羽以上送っています。(野生に戻す協力)
希少種を増やすのは難易度が高い。
人間に依る開発、密猟などで減ってきています。
100年ぐらいかけて元に戻せるようにしようとしています、100年ぐらいたてばもう少し人間も賢くなり、自然を守るような方向に人は変わってきているだろうと、それまで希少な動物を何とか動物園で維持し続けようと云う考えに元づいています。
100年を設定したのは30年前です。
一番顕著なのが地球温暖化です、北極熊、ペンギン、クジラなどが影響を受けています。
そのうちに人間にも影響が及ぶと考えられています。

ホモサピエンスと云う動物の一種である人間が、他の動物の危機と同じような状態に陥ると云うのは生物多様性の危機の象徴のようなものです。
人間が変わらなければ地球の危機は救えないと思います。
人間が変わらないと環境も変わらないし、最終的に人間の生活自体が崩壊してゆくと云うことでしょうね。
地球温暖化で、海表面上昇し島が水没、気候変動等に対して人間はなかなか動かない。
重要なことは体で感じることだと思います。
動物園は絶えず進化ています。
ゴリラは従来オスメス1匹で飼っていましたが、社会性を持っているので集団で飼うようにしています。(自然の状態を動物園でも再現する)
心の健康まで補償する様にします。(ストレスから守ることが世界的な潮流になっている)
餌の与え方、餌を探して歩けるような仕組みなどを考えています。

雨、雷で繁殖行動がうながされると云うこともあります。(或る種のワニとか)
1年間同じ食事内容を全く同じ量を与えると云うことはやっていません、なるべく野生に近いものを手に入る範囲(出来るだけ四季に応じて)で与える様にしています。
動物園の4つの役割
①環境教育、保全教育 ②調査研究 ③保全(絶滅危機種の保全) ④レクレーション(人々の楽しみ、慰安)
人間の医者になりたいと思った時もあったが、北杜夫の本を読んで船医にあこがれ、そのうちに獣医の道に進みました。(40年以上前)
動物園にしばらく勤務するようになって、動物の医者になってよかったなあと思います。
動物の死因を突き止めるために解剖するが、臭いが染み付いてしまっていくら風呂に入っても消えなくて、通勤電車で誰だと大声をあげられたこともあります。
動物園で自然に触れて動物の生きざまを見て、自分のライフスタイルを見つめ直す、これが人間の生き方なんだろうかという再認識を抱くことが、地球環境への保全につながって行くと思います。