2017年7月27日木曜日

大場信義(全国ホタル研究会名誉会長)・ホタルのヒミツ(2)

大場信義(全国ホタル研究会名誉会長)・ホタルのヒミツ(2)
蛍の生態調査をやっていたりすると、次の年に行ったら無くなってしまったりして、群生地があっと驚くような光景で見えた場所がなくなっていると云う、そういう場面を何回か味わってすごくショックでした。
見れないと云うことでそれが一つのきっかけでした。
水質汚濁、河川改修が進んで行ってコンクリート化されて、住宅地が増えて蛍がどんどんいなくなってしまった。
ゲンジボタルを中心にしてこれをきっかけにして、岩戸川のところで蛍が消える寸前で大発生して、そのあと水質汚濁でいなくなってしまった。
地域の人たちが元の様に戻してほしいと市に陳情に行きました。
私も含めて論議を重ねて、河川形態を蛍が住めるような環境に入れ込んでいこうとしました。

行政が動いてくれて、一緒に論議を重ねて行き、改修が始まりました。
下水工事、コンクリート護岸に色々工夫して行って、10年、20年継続して、続けるうちに今は沢山の蛍が飛ぶようになりました。
そういう場所が横須賀で30か所ぐらいになりました。
地元の人が熱心になればなるほどこちらも動かされて支援したいと思いました。
そうすることが今までやってきた研究を市民のみなさんに還元する一つになって行くんじゃないかなあと思いました。
出来ることとできないことがあるので、現実的な対応は何かと云うことを話し合って、出来ることをやっていきます。
地域の人たちが主体になって行かない限りそこまではなかなかできない。
私のキーワードは継続です。
ドキドキワクワク、楽しさ、やる方がそう思っていないと継続できない。
市内だけでなく周辺に広がってきています。
自生する環境を作って行く、そのためには蛍のメッセージを聞くしかない。(辛抱強く)

蛍の光の揺らぎ、初めて見ても日本人のDNAに刻み込まれているというか、同じようなベースに立ってしまう。
蛍たちがこのままいったらどうなるの、私たちが消えたらあなた達は将来どうなると思っているのと、問いかけられているような気がします。
良い米が取れるところは水資源が豊かで、トンボがいたり蛍がいた。
経済は変化するが、日本人が培ってきた文化性の問題は営々と続いてきているので、これを失ったら日本人のステータスが無くなると思う。
わたしたちが心豊かに平和に生きるための、感性を子供たちにも伝えて行くそういう役割を担っている。
街興しにも必要だと思うが、観光資源として活用するのもいいと思うが、自生する様な中でやる分には良いが、度を越してはいけないと思います。
生物多様性ということもあるが、蛍の種の多様性ということもあり、同じ源氏蛍でも多様性を重要視しています。(なんでも蛍が増えればいいと云うことではない)

西は九州、東は青森県まで自分の目で見て蛍の記録を取って行きました。
西と東で光り方が違うことが判りました。
西日本はせっかち、約2秒に一回光る。(オスの光り方)
東日本では約4秒に一回光ります。
東日本に西日本から持ってきた蛍はそのまま変わらない。
東日本と西日本の文学性でも感性の違いがある。
蛍がいるところにはトンボ等いろいろいるので、それを包括して私たちは蛍の里作りを通して後ろを押してゆく、それが問われていると思っています。
西日本と東日本の違い、中部日本でフォッサマグナがあり、いろんな生き物の分布境界域になっていてバリアになっていて蛍でも同様だと思われる。
東日本と西日本の蛍の光り方の違いは、ある集団が東に広がって行き、フォッサマグナとか突然変異などで2秒発光が1回抑えられると4秒になる。
これは推論です。

増やそうと思ったときに西日本は集団が大きいので、手っ取り早くやるのには、西日本の蛍を持ってくればいいが、それは困ったことになる、一旦はいると元に戻すことはできなくなる。
元に戻そうと云う動きが多摩動物公園、世田谷区などで始まっています。
当時西日本の蛍を取り入れたが、昔のような蛍に戻したいと云う話が持ち上がって、東日本蛍の卵を取って増やしていって、西日本蛍を排除して行って、完全にというのは、今後の問題だと思います。
皇居外苑の蛍、皇居のお堀の水質が悪くてアオコが発生、大浄化作戦が始まり、そんななかで蛍が見つかり、極限定された場所に細々と残っていた。
環境省が遺伝子を調べてみたら、元々いた集団だということがわかった。
400年前の地図を見ると、東京湾が江戸城のすぐ近くまで広がっていて、バッファーとして湿地が沢山ありました。
湿地には水生生物、蛍など沢山いて、湿地を埋め立てて江戸城の築城に伴って新たなお堀に奇跡的な状況下で適応した、まさに奇跡としか思えない。(400年前)

その蛍の子孫が今も現存している、そういうことからプロジェクトは始まっている。
年間10匹ぐらいしか出てこない、絶滅的な危機。
来年か再来年 100匹でたら10匹とっても絶滅はしないと提言。
その年の5月に100匹近く出てくれた、奇跡に近い。(翌年はそんなに出ていない)
その中から採卵して、累代を続けて今は3000匹になりました。
2か所で生き飼い保全の実験をしているが、放したらでてくるがぬかよろこびできない。
来年引き継いでちゃんと出てくれるかどうか、モニタリングしないといけないと言っています。
千代田区での照明の問題など配慮して行く事は必要だと思います。
今後の蛍との付き合い方、蛍の言い分を聞いてゆくことが必要だと思います。
試行錯誤しながら蛍に聞いて付き合ってゆく事が必要です。