2017年7月20日木曜日

渡辺祥二(農業生産法人代表)     ・新しい発想で魅力ある農業を

渡辺祥二(農業生産法人代表)     ・新しい発想で魅力ある農業を
岐阜県出身、元々建設関係の仕事をしていました。
あるとき自然を守る農業の仕事をしたいと、思いたち作物を探していたところ、熱帯原産のドラゴンフルーツという珍しい果物に出会いました。
10数年前にこの植物の苗木を輸入して栽培に取り組み、今では果物として食べるほか、ジュースやジャムに加工して商品化に成功しました。
一方渡辺さんはヤギさん除草隊と云うものを組織して、ヤギを利用して緑地などの除草にあたり里山の保全や景観の保持に努めています。
これらのユニークな活動が認められて、今年の2月には第46回日本農業賞の食の架け橋の部の特別賞を受賞しました。

家畜ではなく益畜、昔からある言葉ですがもう一回復活させようとするのが今のとりくみです。(除草管理)
第46回日本農業賞の食の架け橋の部の特別賞を受賞。
農業に挑戦し始めた頃は冷ややかに見られていたが、10年余り継続して大きな賞を取れるまでになりましたが、評価が一転するのは明らかに時代の流れが変わったと云う印象の方が強いです。
高校大学でも農業は学んだことは無く、何をするんだろうなと云う目で見られていたのではないかと思います。
建設業の仕事を10年ちょっとやっていました。
当時公共工事の減少の時代で、不安を漠然と抱えていました。
農業用水、ため池、インフラ整備など農業の方々との接点はありました。
年何回も収穫できるもの、熱帯果樹に着目して、経験も一年のうちに何回かはできるので、アセロラ(フロリダスイーツ)にこだわってスタートしました。
アセロラの苗を買い付けに行ったときにドラゴンフルーツを知って、そこからドラゴンフルーツにはまって行きました。

今はドラゴンフルーツは3次ブームに成っています。
元々はサボテンの実です。
ドラゴンフルーツにも色々あり30品種があって、果肉の色、味も違うので、本来持っているポテンシャルをどう引き出すか、答えがないのでそういったところに魅かれました。
海外と日本では栽培環境が違うので、最初温度を上げないといけないのかなと思っていましたが、一番重要なのは5月6月太陽の光がどれだけ浴びれるかによって、蕾を出すタイミングとかがあると思っていて、冬場、収穫時期を考えて行くことによって案外いいものが出来るのではないかと思いました。
一番ネックになるのは冬場の温度ですが、重油を炊いていたが、温泉を使えばいいと地元の方からの助言もあって、是非やってみようと思いました。
ドラゴンフルーツは夜に花が咲くので、花を見に来る温泉観光客もいて、観光業とリンクする形になっていて、出荷先もなかったので観光客に食べてもらう仕組みをどう作っていくか、地域に循環できるような仕組み作りに心掛けました。
始めた当初、人脈もなかったし、資金もなかったし、その中でどうやるか、苦肉の策でした。

ハウス栽培なので梅雨の時期も問題ないです。
月下美人よりも1周り2周り大きくて、直径30cmある様な大輪を夜咲かせます。
花も営業ツールの一つでもあります。
ヤギを使った除草。
建設業時代公園なども作って森林の開発をやったりしていて、測量で入ってゆくと開発行為自体に対してあまりいい思いは無くて、その後の維持管理をしっかりしなくてはいけないと思っていた。
ベトナムに行った時に道路の土手に牛と牛飼いさんを見て、なんとなくいいなあとおもいました。
九州でヤギをレンタルすると云う話題を耳にしました。
ハウス脇の銀杏畑で高齢で面倒見れないと云うことで、ヤギが草を食べて除草管理ができるし、動物がいることで従業員が毎日元気かなと思って、仕事に来るのが楽しみになると言われて、それに魅かれて銀杏畑の管理を始めました。

2頭から7頭へと増えて行って、市の職員が草刈りをやっている光景を見て、ヤギでやってみようと実験が始まりました。
業務としてスタートしました。
ヤギさん除草隊として業務を遂行するためには、コストの管理もしっかりして行かないといけないと思いました。
人との比較計算が必要になり、岐阜大学の先生達と実証実験を始めて、一緒にやらせてもらっています。
大学、自治体と私達とで始めて、5年目になります。
食性が保たれるか、健康管理も見ていかないといけない。
現状人力よりも1/3削減できているが、安くなった分をコストをあげて農業
者の収入を増やすか、あるいはどこに投資するのか、地域全体を見た仕組みを作れないかやっています。

次の世代のためにも3/3でもいいのではないかと思っていて、焦点を当て直して、昔あったいい循環を今の形にどう展開するかが、次の世代を育てることに良いヒントになるのではないかと思います。
ヤギさんと学生のふれあい授業などもやったり、ヤギの堆肥を使ってヤギとともに耕作放棄地などの開墾してスイーツをと云うような活動もしています。
日本は学生がやる研究費をサポートする仕組みがないので、やれる範囲で研究費を出したり一緒にやったりしています。
地元の若い優秀な人たちが残る仕組みを作れるようにして行かないといけないし、現実に岐阜大学の学生が入ってくれています。
地域の子供は地域で育てると云う仕組みのことに対してヤギさん達はヒントを与えてくれていると思います
農業は夢があります、政府の云うような儲かる農業もありますが、お金ではなくて夢を
実現できる、夢に向かって突き進む様な人がいないといけない、そういった選択肢を提供する必要があると思います。
コミュニケーションさえ生まれれば、何とかなるような気がします。