2011年7月23日土曜日

浜村淳(タレント76歳)        ・浜村節ができるまで

浜村淳(タレント76歳) 浜村節ができるまで  
今も続く大阪の民放の朝のラジオ番組はなんと47年目。
その功績が認められ2011年に第37回放送文化基金賞を受賞しました。
立て板に水、75調の名調子。  関西弁のイントネーション で語られる独特の浜村節が
一昨年の春まで放送されていた,NHK大阪放送局のラジオ番組「関西土曜ホットタイム」の
ファンを引き付けます。
映画コーナーでは映画よりドラマチックと言われる映画解説が全国のファンを魅了しました。

昭和10年京都生まれ。 私を産んで60日後に父が上海に移転となってしまい父母とは別れて、叔母に育ててもらう 。  父親は書道と剣道が趣味で硬い人でした。
母親は歌が好きでした、父親の関係でしょっちゅう招待券が入るのでよく見に行っていました。
家は京都北区の鷹峯というところで、時代劇映画のロケーション撮影の本場で、3日に一度は
時代劇映画を撮りに来ていて、学校が終わると走って見にいきました。
市川歌右衛門、坂東妻三郎、嵐勘十郎、大河内伝次郎とか当時のスターを間近に見ていました。
子供のころは ラジオ、映画、芝居、蓄音器が娯楽であり、とにかくラジオの時代だった。  8歳のときに戦争が激しくなり、10歳で終戦。  
戦後のラジオの思い出となる番組としては、「鐘の鳴る丘」、「君の名は」、「武蔵」 徳川夢声の間の取り方が抜群にうまかった。 吉川英治さんの宮本武蔵は単なる剣豪ものではない、人間的な修行の小説であるという事で、夢声さんは乗り始めました。 
間の取り方と声の抑揚ですね。   司会者が徳川夢声さんに間とはどんなものかを聞いたが、生放送で1,2分経っても声が出ない。  司会者は冷や汗がでたが、無声さんが「ただいまのが間です」と言いました。  司会者は絶句したそうです。
「間とは魔である」と市川猿之助 さんは答えたそうです。  
 
同志社大学の放送部にはいる→ジャズ喫茶で司会(アルバイト)→渡辺プロダクションからスカウトされ同社に入る。
何か歌、音楽を始める前の理解を深めてもらうという事は 、その曲を聞こうじゃないかと
いう気落ちをおこさせるのに役に立つなあという事が判りました。
東京に来て「ザ・リクエストショー」の司会に抜擢されたり、ほか歌の司会をしました。   
歌の前に歌を理解(どのように作られたのかとか、その歌に関するエピソード等)してもらう事が大事だと判る。
歌謡ショーは7-5調がいいかなあとおぼろげに思いました。
NHKでは高橋圭三さん、宮田輝さん、藤倉修一さん、青木和雄さん、志村正順さんとか伝説
的なアナウンサーがたくさんいらっしゃいました。  その人たちを録音テープに取り繰り返し
聞きました。

渡辺プロダクションのとなりが東宝演芸場だった。 名人会ばっかりあり 
桂文楽古今亭志ん生三遊亭円生柳家小さん師匠等 伝説の名人の舞台を年中見られた
話芸が良かった、勉強になった。  
桂文楽は「エー」、とか「アー」とか絶対に言わない→師匠に楽屋裏で聞いたことがあるが、その師匠に三遊亭円馬という人がいる。   その人から教えてもらったと言っていました
お前に芸をつけるけれども、真っ赤なおはじきを手に握るよ お前が「エー」、「アー」と言う度に投げつける 一席話終わったら、周りは赤いおはじきで一杯だった
それが段々半分になり、1/4になり、10個になり、最後には無くなった。  そうして文楽は直した

当時 無声映画の弁士は7-5調でやっていたが、普通のしゃべりでやっていたのは、徳川夢声のみでした。
あの人は普通にしゃべっており、夢の中にいるよう聞こえ、頼りない、と客が云ったので芸名が 徳川夢声となった。
夢声は、映画はきっと近いうちに音が出るようになるので、弁士は職を失う、ほかでも使えるように普通のしゃべりで通した(他は7-5調)
これが成功し、ずっと仕事を出来るようになる。(司会、漫談、随筆、俳優など) 
歌謡界の司会者の変遷の代表者としては 宮尾隆さん→玉置宏さん  段々と臭みがなくなってスマートになった。

その後曲名しか言わなくなってしまい、それでは寂しいと云う事で、大阪の民放が全日本有線放送大賞を送る時に、総合司会をNHKを辞めたばかりの宮田輝さん、歌の紹介を私が担当した。(大阪のTV局 7-5調でやってほしいとの要望)
いろいろテープ等で歌を聞いて勉強する。  
実際7-5調でやって見ると歌手から雰囲気を作ってくれるので歌いやすいと好評だった
紹介内容は全部自分で作る。  
街角の標語は全部7-5調  歌舞伎の台詞も、俳句、短歌全て7-5調 です。

私の話方は字に書けば標準語、聞いてみると発音は関西弁・・・草分け
ゆっくりしゃべるように心がけている。   ラジオを一口で言うと説得のメディアですね。  TVは映像のメディア 、ラジオでは言葉で説得して、説得して聞く人の目の前に映象が浮かぶように持ってゆく ・・・特徴であり、魅力である。
10人聞いたら10人とも少しずつ思い浮かぶ映像が違う・・・これが楽しみだと思う。
淀川長治さんのしゃべりは高見の目線に立っていない。・・・これがすばらしい 
話す側としては、如何に判ってもらえるか、自分だけ判って話しているだけでは駄目で 
聞いている人、全ての人が判ってもらえるようにしゃべることが大事 です。