クリーニング店は八王子 全部で150軒
古いしみは作業に時間がかかる 職人の手仕事になってしまう
22歳で戦後直ぐ親の手伝いから始める
八王子は絹織物の産地 花柳界が繁盛 200人近い芸者が当時いた
芸者が宴にゆき、そこで酒とか醤油でしみを作り、その和服のしみ抜きから始まる
しみ抜きの研究会が出来上がり、全国に行くようになる
そこで先生は講義のみ、実技は私達だった
恥をかくといけないので、一生懸命どうしたらしみが抜けるのかを勉強した
京都の反物屋から白い布の反物を安く購入し、30cm角に切って、それにいろいろなしみを付け、1カ月ぐらいしてから、そのしみを抜く事を,いろいろやり、それが自信ににった
今でもその研究会は続けている
絹糸は1000本ぐらいの細かい糸が5~6本集まって、一本の絹糸になっている
絹織物のしみは細かいところに入り込んでしまう
ちょっと擦っただけで何本か切れてしまう
切れたところはちょっと角度を変えると他と微妙に違ってしまう
絹の織物は非常に難しい
汗のしみは乾いてしまうと判りずらい
3年ぐらいすると黄変してしまい目に見えてしまう(酸化する)
基本的にしみは水性(酒、醤油、ジュース等) と 油性(油が使ってあるもの)の 2種類に大別されるが、最近はいろいろ混ざっているものが多い
しみの種類が増えてきている(食物、および調味料の種類が増える)
又繊維の種類も増えてきている(ナイロン、レーヨン、ウレタン等)
しみを取る作業としては、まず素材が何で構成されているか、の確認が必要である
(タックに通常記載されているがタックを取ってしまう人がおりその時は困る)
ナイロン系統は難しい ある程度熱を加えなとしみは取れない
超音波洗浄は有効に使用している (昔はブラシで軽くこすったり、揉んだりしていた)
超音波洗浄は生地を傷めないで取る事が出来る
洗剤の調合もしみ抜きの効果を左右する
フランスからしみ抜きの方法を教えてほしいとの話が来た→フランスで日本人が和服を着て日本大使館のパーティーとかに出席して、しみを付けてしまい、フランスでも有名なクリーニング店に持って行ったが、和服を見ただけで難しい事が判り、シミ取りを拒否された事あり 店のアルス・アタリ?さん(女性)が、日本に来て私に技術を教えてほしいと云って来たので、その技術を教えた→フランスにて展開、非常に喜んでいる
お客さんに喜んでもらえるのは私らの使命だと思っている
最近、息子に家業は譲ったが、難しいしみが来るとニッコリ笑ってから始めるようになった
(しみを取る楽しみが自分にある)
絞りの高そうな着物がたんすにしまってあったが、雨にぬれたのかしみがあり25年以上たっているそうで、それが持ち込まれ直せないかも知れないと、ことわったが、着物がだめになってもいいからやってみてほしいと云われ、引き受ける
絞りが延びてしまうと元も子もないので テストに1カ月掛り、抜くのに2カ月掛ってしみ抜きをする
新品と同様にすることが出来た お客さんは大変喜ぶ
お客さんの喜ぶ姿を見ると、仕事の生き甲斐を感じる