石丸謙二郎(俳優) ・中高年こそ人生を楽しもう
NHK第一放送のラジオの「石丸謙二郎のやまカフェ」では山の情報や魅力を伝えています。 この番組の司会を務める石丸謙二郎さんは、登山を楽しみながらスキーやピアノなど多くの趣味を楽しんでいます。 石丸さんの山への思い、年齢を重ねてこその人生の楽しみ方を伺いました。
「石丸謙二郎のやまカフェ」は今年で8年になります。 でもまだしゃべり足りない。 いまは山に登らない人でも聞いてもらっています。 去年マッターホルンに登頂しました。 65歳になった時に登ってもいいんだという思いが湧きました。 準備をして飛行機を予約をしたりして、行こうと思ったらコロナになってしまった。 全部キャンセルして、5年後70歳になる時に、再度行こうと思って準備をしました。 マッターホルン(4478m)は一日で日帰りをしなければならないので、若くないと出来ない。 息が上がっても休みなしです。ヘルンリ小屋が3260mのところにあって、そこで一泊して朝の4時過ぎに、いきなりロープでクライミングをして登るようなことから始まります。
頂上までの標高差が1300mの半分の時点で2時間半を切らないと、そこで降ろされてしまう。 5時間で登って5時間で降りてこないといけない。 ようやく中間地点に行って休めるかと思ったらどんどん先に行きます。 なんとか頂上までたどり着けました。 高度順化するために何回も富士山に登り中途から2往復しました。 最初のうちは苦しかったが、段々慣れてくると呼吸法も覚えました。 マッターホルンの頂上は畳一畳ぐらいで、写真を撮って、宇宙に自分の首がズボっと抜けたような感じがしましました。 降りようとしたら上がってくる人がいて、すれ違いざまは物凄く気を使いました。 頂上にいられたのは1,2分でした。 降りる時が怖くて一番傾斜の強いところは80度ぐらいあります。 本来は降りて来てリフトで下るんですが、止ってしまっていて、それを見越して自転車を用意しておいて、夕陽を見ながら自転車で下って来ました。 ホテルに着いたのは夜の9時でした。
大学のころは毎週のように山に登っていました。 それから40年ぐらいになります。 僕は石橋を思いっきり叩いて渡る人ですね。 60歳からスキーを始めました。 70歳になってからスノーボードを始めました。 (今年始めて10回以上行っています。) ウインドサーフィンは37歳から始めました。 47歳からフリークライミング、65歳から絵(墨絵)を描き始め展覧会もやりました。 同じ時期にピアノも始めました。 街角ピアノがあるので行った時に弾くようにして、60か所で弾きました。 ピアノを弾くと自分の身体に返って来ます、それには吃驚しました。 又ピアノって一台一台違う事にも吃驚しました。 高いピアノを弾くことができる機会がありましたが、その時には4時間弾いていました。
歳を取って来ると時間が出来るので、トライできると思います。 ピアノも一曲しか弾けなかったのですが、2曲目、3曲目を挑戦しています。 出来ると思ているが手を出さないのが二つあって、そば打ちと陶器作りです。 はまったら大変なことになると思っています。 舞台、芝居だけだとストレスが溜まってしまうので、僕の中ではバランスがとれています。 遊びは真剣にやるから、遊びをする時には全部忘れる。 歳を重ねると山に対しては畏敬の念を抱く様になります。 (特に富士山など) やりたいと思う事が有ったらとりあえずやってみる。 駄目ならやめればいい。 今が一番若いから、富士山を逆にしたように、これから末広がりでいろんなことが出来ると思う。