2014年9月22日月曜日

相原恭子(作家・写真家)     ・私の心をとらえたドイツの魅力、京都の魅力(2)

相原恭子(作家・写真家)  私の心をとらえたドイツの魅力、京都の魅力(2)
京都の花街、を取材する事になる。
ヨーロッパで知り合った人から、英語のメールが転送されてきて、日本で住んでいる日本人で、写真も付けて、文章は英語で、と言う事で、芸者、舞妓など花街の話を書く人を探している、との事だった。
その2週間前に先斗町で加茂川踊りを見る機会があって、それに感動した。
是非やってみたいと思った。
一元さんお断りの世界だから写真なんか撮れるわけないと言われた。
或るとき知り合いの知り合いに、元先斗町の芸妓さんだったひとがいたので、電話をしてみなさいよ、と言われて電話をしたのが始まりです。
あさって浴衣会があるので、来ませんかと言われて出掛けた。

その後、つてがあって先斗町の一番のお茶屋さんで写真を撮らせていただく事になる。
美しい着物、美しい姿、美しいしぐさなんだと、吃驚した。
快い挨拶があり、それがその人を何倍も美しく見せているというのが第一印象でした。
2011年エストニアで写真展、講演会をやった時に、日本のイベントをするのでどうですかと言う事で、カタログを作ろうという事で写真集を作った。
舞妓、芸妓の着物が、帯が綺麗。 西陣の帯、京友禅、下駄とか、京都の伝統工芸品を身に着けている。
かんざしなども季節ごとに変わる、3月が菜の花になる、ヘアスタイルも最初は割れしのぶ、お姉さんになるとおふく髷になる。
季節によって、年齢によって、変わってくる。

京都の人は一度でき上った人間関係を、大事にしてくださることに感激した。
毎月の様に京都に行くようになった。
芸者は海外向け、日本向けに「京都、舞妓と芸妓の奥座敷」 心象を書く。(その翌年)
京都では花街(かがい)、東京では(はなまち)と言うが、と言うが当事者は言わない。
おかあさん 置き屋さんでも、お茶屋さんでも内輪ではおかみさんのことを、おかあさんと言う。
置き屋さんは暮らす場所 お茶屋さんはお座敷があって宴会をする所。
一番上がお姉さん、姉妹、見習い姉妹、いとこ見たいに血縁が無くてもファミリーの様に繋がってゆく女性社会。

祖母がおけいこ事が好きな人で、三味線、詩吟、お琴だとかそういうものを見ながら育った。
1歳のころに、父が図案の本を買ってきてくれて、それを毎日のように見ていた。
着物の図柄などもあり、そういった関係で、小さいころの思い出がよみがえってくる。
小学校のころからデザイナーになりたかったので、自分で帯、着物の生地で作ったドレスなどを展示したことがある。
魂が入ったもの、心が入ったものは美しくて感じることができる。
美を見出す気持ちって言うのが生活を豊かにするし、人生を豊かにすると思います。
花街の人達と知りあって、室内を見たり、着物を見たり、一流の料理屋さんに連れて行ってもらったりして、そういったものが手伝って、美意識を感じた。

おかみさんたち、舞妓と芸妓の打ち明け話、インタビュー 出来るようになったのは?
一緒にお茶を飲みに行ったときとか、雑談の中から聞いた事とか、もうちょっときちっと書こうと思った。
「京都の花街のおもてなしの技術」 2005年
一元さんの御断りの理由とかもありますけど、夕方入口に水を打って、床の間のお花、お客さんの30分前にはお香をたいてとか、そうした心配りは美しいと思う。
マニュアルの無いおもてなし、おもてなしができるように、中学をでた人が座り方お話の仕方とか、学び、仕込まれて、そうこうしているうちに、どうしたいか察するように、暗黙のうちに事が運んでゆくのは、とってもエレガントなことですね。
「あうんの呼吸」 仕込みさんに入った時から、一緒に生活している事が大きいと思う。
見て学べと言われる。
一元さんの御断りの理由 女所帯でどんな人だかわからない人を呼んで、いきなり宴会をされるのは、心配なので気心知れた人でないと困るという事と、人と人のつながりで長いおつきあいを大事にする、いきなり来てわーっと遊んでこないのは、どうしたんかいなと言う気持ちもあるという事、支払いはつけなので身元が判らないと困る、と言う事です。(秩序のある社会)

今はけじめ、礼儀作法を軽視するような雰囲気がある様に思う。
そういったものをきちんとするのはいいことだと思う。
ふすまを開ける、障子を開ける事、日常的に和の暮らしが無いのでピンとこないので、そういう事に慣れることが日本人として重要なことかもしれない。
仕込さんに入ると、中学生だった人が数カ月で着物をドンドン着れるようになる。
町の人、着付け教室に何年も通って着れる様に成らないようなこともあるので、私は自分でも着れる様に練習するようになった。
面接で受け入れるが、成績がいいとか、誉められて育った子は教育が難しい、間違えても、間違いましたというのは優等生は格好が悪いので隠そうとする、そういう子は延ばすのがなかなか難しい。
「聞くは一ときの恥」 一回一回クリアーして行ってデビューする。

お茶屋さんはお金持ちだけを相手にするのではなくて、長いお付き合いを凄く大切に思っているので、年に一回でもいいから、踊りの時にきて、楽屋見舞いをくれるとか、細い長いお付き合いが好まれる。
京都では、会社の何周年記念、法事、結婚式などに呼んで、華を添える。
海外にはないもので、日本伝統文化の詰まったもの、全てが日本の伝統文化。
街並みを大切にしてもらいたい。
モルガンお雪 京都の売れっ子芸妓で、大富豪に見染められてアメリカに渡り、フランスの社交界でもデビューして、そこで人気者になった。
英語、フランス語を勉強したが、言葉だけの問題ではなく、その人の雰囲気、付き合いの仕方、そういう事で華のある人だったのでしょう。
それがやはり日本のおもてなし、日本のお付き合いの作法とか、どこでも通じるんでしょうね。
自分と言うものがはっきりしていれば、受け入れてもらえるのではないかと思う。

京都と出会ってよかったことは着物を着る、三味線を習い始めた、日本を知った事、日本なりの教育等が良かった。
日本には昔からあったもので、続けてきただけだと、おかみさんたちは言っている。
作法、家庭教育なども、今残っていることに驚きを感じる。 自分の中にも取り込みたいと思う。
1000年以上続いた都には蓄積があると思う。 啓発されるものが多い。
ヨーロッパなども新しい目で見ることができる。(京都とヨーロッパは似ているところがある)
東京は横並びっぽいが、京都の人は色々意見を自由に述べるところがある。
ノーベル賞は京大が多い。 独創的。
伝統を大事にして、古いものと新しいものが共存している。
比較的、物事の本質を突く傾向がある。