鴻巣麻里香(ソーシャルワーカー) ・私とあなたを区別する境界線 “バウンダリー“とは?
鴻巣さんは1979年生まれ。 一橋大学大学院を修了後、ソーシャルワーカーとして精神科医療機関に勤務、東日本大震災の被災者、避難者支援を経て2015年福島県白河市に非営利団体「KAKEKOMI」を立ち上げ、地域に暮らす生きづらさを抱えた人たちの支援の携わっていましたが、鴻巣さんは人間関係のトラブルやもやもやの多くは、自分と相手との間にある心の境界線、バウンダリーを侵害したりされたりすることで生じると語ります。 自分や相手のバウンダリーを守るのにはどうしたらいいのか、子供と良好な関係を築くため気を付けたいことなどについて伺いました。
非営利団体「KAKEKOMI」 ミッションとしては社会的な孤立と言うものを防止しようという事です。 活動としては大きく分けて2つあります。 ①子供食堂 週に一回子供、大人を含めて一緒に食べましょうと居場所を作る事業。 ②貧困、暴力などから抜け出したいが難しい人たち(女性)を対象としたシェルターを運営しています。 2015年に子供食堂を作りました。 私自身子供の頃いじめを経験し母親(外国人)にも相談できずに、居場所がありませんでした。 困難から遠ざかることが出来なかった。 食へのいろいろな困難さがあったので、作ったわけです。 私は料理は大好きですが、私自身は余り作らず子供が作ったご飯を、大人がお金を出して食べるという、変った子供食堂です。 高校生のスタッフたちが中心になって料理をして、小さい子が絡んできたりします。
子育て中の母親にも気楽になれる場所があってもいいと思います。 良いことをする前に、害になることを辞める。 その子の容姿、体形などに一切コメントをしない。 許可なく身体に触らない。 性別で役割を押し付けない。 勝手に予定やルールを決めないなど。 小学生でダイエットをしたいとか、整形したいとかと言う声が珍しくないです。 身近な人たちから体形、容姿をからかわれるとかがきっけけになることがあります。 SNSとか広告が強く影響していると思います。
バウンダリーは自分と他者との間にひく、お互いを守るために越えてはならない存在する境界線のことです。 (心の境界線) 赤ちゃんが生まれてから段々と親との境界線が育まれて行きます。 それが段々広がって行き、それぞれとの中に境界線が少しづつ構築されて行きます。 バウンダリーの太さ、強度は一定ではないです。 バインダリーの調節機能が壊れてしまうと、自分に対して嫌な事いじわるなことを言ってきても、境界線が緩くなってしまうと、その人の言っていることを全部受け入れてしまい、自分は駄目なんだと落ち込んでしまう。 反論も出来なく、厭なこと受け入れてしまう。
無意識のうちに親が子供のバウンダリーを侵害していることは結構有ります。 大人の考える美醜の基準でジャッジしたり、子供の趣味を否定したり、意見を押し付けたり、子供に失敗を責めたり、いろいろあります。 つい心配から口出ししてしまう事は多いと思います。 親が道をしっかり整えた上を子供が順調に歩けたとしても、果たして子供自身は自分自身の力で歩って来たのか、誇れる様になるかどうか。 子供には躓いて欲しくないという思いは当然持っていますが、そのことばっかり力を注いだら、世の中の傾向が強まるだけで、変な世の中になってしまうので、その大人のエネルギーを何度躓いてもいいから、何度でもやり直しが出来るような世のなかにするにはどうしたらいいんだろうと、ちょっとそのエネルギーを持って行った方がみんながハッピーになれるのではないかと思います。
子供が秘密を持つことに対して、親が過度に不安になる時は子供との間に話してもらえないという溝が出来てしまっている。 その溝はたいていは大人の側に何かしらがある。 私の願い、私の不安、とかまずは別々のお皿に出すことから始める。 テーブルに並べてみんなで見る。 それが対話かなと思います。 子供の声を聞く。 最善の答えをみんなが探してゆく。 時間をかけてゆく。 夏休み明けは子供が心と身体の健康を崩すいろいろなリスクを持っています。 夏休みはきっかけで有り原因ではない。