山下由美(クレームコンサルタント) ・クレーム対応は人生のダイヤモンド
山下さんは昭和30年北海道生まれ。 高校卒業後北海道内の市役所に就職しました。 窓口で初めてクレームの対応をした時は、怖い思いをしたと言います。 そこで山下さんは相手いかける言葉を工夫したところ、不満を持って怒鳴る人が笑顔になるような体験をしました。 山下さんは50歳の時に市役所を退職、その後当時珍しかったクレームコンサルタントの仕事を始め、上京して企業や警察、医療機関などでクレーム対応に悩む人たちの指導を行ってきました。 山下さんは現在は宮崎県にお住まいで、出張やオンラインなどで指導を続けれています。
今は公務員の方を中心にやりたいと思っていて、いろいろな市役所に呼んでいただいて、仕事をしています。 2年間公務員だけをやってみようと思って去年から始めました。 時代によってクレームの内容が違てきています。(不満の出し方が違う。) 15年前はもっと思いやりがありました。 企業のクレーム対応に比べて、市役所ではサービスするものがないという事です。 最近は一筋縄ではいかない無い人が増えました。 本人の思い道理に解決しないといけない。 ネット社会になって、正しいものもあれば間違っているものもあるので鵜呑みにしてくる人もいます。 カスタマーハラスメントとクレームの違いは、どこでカスタマーハラスメントとジャッジするかです。 線引きをしないといけない。
18歳で市役所に就職して、最初一か月間インフォーメーションの部署に行きました。 或る時明らかに怒った顔で「てめー、税金で飯食っているくせに、何ボケっとしているんだ。」と怒鳴られました。 どう対応していいのかわからず、ずっと黙っていました。 25歳から心理学を勉強し始めました。 相手の心の中にあるストーリーを想像するという力です。 それが面白かったです。 クレームを言っている市民の方は、頭のなかにどんなストーリーがあるんだろう、どんな思いでここに来たんだろうと考えると、言っていることが 単にクレームに聞こえなくなる。 事柄がこの人にとってどういう事なんだろうと考える事が出来るようになりました。 こちらのかける言葉が違ってきました。 税金が高いと思って怒ってきている人に対しては「税金は高いですか。」と聞いてあげればいいんです。 その人の頭のなかはおかしいと思ってきているので、「おかしいですか。 調べていいですか。」と言って台帳を持ってくることができる。
一番最初の言葉が全てだと思っていて、何かを言った次の瞬間にこちらがかける言葉を兎に角気を付けていました。 どの一言をかけたらこの人は「そうだよ。」というかだけを考えていました。(話はほとんど聞いていなかったです。) 大切なのは内容ではなくて、相手の感情です。 相手に言葉をかけやすくなったのは35歳ぐらいからですね。(10年ぐらいは掛かった。) 笑って帰るようになりました。
両親と4つ下の知的障害の妹がいました。(兄がいたが19歳で亡くなりました。) 妹がいることで差別を受けたことが沢山ありました。 妹は知能的には3歳児ぐらいです。 新しい靴など履いて行っても汚い靴に取り換えられて帰ってきたりしました。 中学2年生の時にやっと親友が出来ました。 親友の妹が妹と一緒だったんです。 或る時に私に向かって「妹が知的障害だったという事を何でいわなかったのか。」と言われて、「妹が同じ学年にいる。 あんたみたいな人と付き合って、馬鹿が移ったらどうしてくれるのよ。」と言われてバシッと叩かれたことがりました。 その時、私の人生に問題なのかという事を始めて知りました。 妹のことに関して一番つらかったです。 父は障害者を別なところに囲って一生社会とは関わらないで幸せに暮らすことを望んでいました。
私は障害があろうがなかろうが、社会の中で一緒に生きてゆく方が大事だと思いました。 理解されないのは分け隔てして守ろうとしているからだと思いました。 共に暮らしていけばあれが出来ないとか、こういう子なんだと判れば、人間として付き合っていけるんじゃないかと思いました。 一緒に暮らしてゆける社会を作りたいと思いました。
30歳で結婚して40歳で子供が出来ました。 父がガンで余命いくばくも無い時でした。 まだお腹のなかにいる時に、父が「うつっていなければいいな。」と言いました。 差別を受けるような社会をなくすのが私の仕事だと思いました。 障害があるから受け入れられない、という事が無い学校を作りたかった。 そのためには公務員ではできないと思って止めちゃいました。 300坪の土地は買いました。 2007年にクレームコンサルタントとして独立しました。 東京に2012年に進出しました。 最初はクレームコンサルタントは私一人でした。 日本のクレーム対応はやり過ぎだと思います。 本当にこうしてほしいtピう事を先に言う事が大事です。 そうするとクレームを対応する人が凄く楽です。
2015年から数年は母親の介護(認知症)で北海道に戻っていました。 在宅介護の大変さを思い知りました。 ストレスを解消すtるためには、笑う事を捜していました。 一番助けになったのは、立川志の輔さんの落語でした。 周りの力添えも沢山あり仕事も始めることが出来ました。 妹は就職もして幸せに暮らしています。 プレイバックシアターをやっていて、言葉にできていない感情を出さなくてはいけない。 相手の心の中にあるストーリーを想像するときに、とても役に立っています。
クレーム対応が好きになると人生が輝きます。 実践してくれて上手くいって、喜んでくれるとこっちも嬉しくなります。 クレームはダイヤモンドの原石だと思っています。 クレームそのものはダイアモンドではないかもしれないが、クレーム対応をして「ありがとう。」と言って帰っていったら、受けたあなたが磨かれる。 若くても歳をとっていても「助けて。」と言えることは凄く大事なことだと思います。 困った時には「助けて。」と人に言ってみてください。 きっと周りの人は助けてくれると私は信じています。