冨田 勲(作曲家) ・響きを極める(1)
2013年平成25年に10月13日の「大人の生き方」に出演され自らの作品について語りました。
東京都出身で慶応大学在学中に作曲を始めました。
NHKの大河ドラマ、「花の生涯」、「勝海舟」、を始め「新日本紀行」などの番組のテーマ音楽を手掛けました。
1970年代から一早くシンセサイザーを取り入れ、1974年にはアルバム「月の光」が世界的なヒットとなりました。
富田さんが作曲家としてこだわってきた、音の響きとは何か、当時発表したばかりの新曲「イーハトーヴ交響曲」から話が始まります。
昭和27年NHKの仕事をして、それから60年以上になります。
最新の仕事がコンピューターで作られたキャラクターの初音ミクと宮澤賢治のコラボレーション。
「風の又三郎」を知ったのが小学校の3年生の時で、戦争がただよっていました。
宮澤賢治の不思議な世界にみんな取りつかれました。
宮澤賢治の世界を音楽で表現すると言う描き方は私にはできないし、あくまで子供の頃の童話の印象が今でも残っていて、特に「銀河鉄道」は衝撃でした。
宮澤賢治の世界を音楽で表現すると言う思いは、気持ちの中に住み付いていていずれ纏まった曲にしたいと言う思いは持ち続いて、この機会に奮起して書きました。
交響曲の中にプリマを設定しようと思ったが歌い手が現実には見つからなくて、キャラクターの初音ミクを思い浮かべました。
初音ミクは歌う表情も全て自在に動かせるので興味を持ちました。
コンサートの会場の真ん中に大きなスクリーンがあって、そこに初音ミクが登場して、オーケストラの演奏、指揮者に合わせて、踊り歌う。
指導すればうまくなるのでそこが面白いです。
ミクの動きには伝えてやらないとミクは動けない、違和感のない様な歌い方をしないと意味が無いのでそこをどうもっていくかです。
「あいうえお、かきくけこ」はいいが「さしすせそ」が至難の業なんです。(前後が難しい)
次の拍まで細かく分割しているんです。
テンポが遅くなったりすると思った様な音にならなくなってしまう、大変な技術です。
昭和27年頃、テープが高価だったので、生放送なので録音をやって無くて記録はないが、「今日の料理」(昭和32年)からテープを使い始めました。
その前はいちかばちかで毎回生演奏していました。
当時は作曲者が指揮をするのが常識でした。
「新日本紀行」のテーマ曲(音楽が流れる) 番組は昭和57年まで続く。
最初のホルンの音は蒸気機関車の出発前の汽笛です、雄たけびです。
レールの継ぎ目の音が一つのリズムになって、それが心地よい村祭りの太鼓の音の様に聞こえて、そんな感じのイメージがこの曲には有ります。
村祭りには拍子木の音があり、工夫して(非常階段を利用)響きの有る音にして、この音も取り入れ、それが評判になりました。
譜面よりも、音がどういう形になって出て、聞いてもらえる方の耳に届くか、ずーっとこだわっていました。
「今日の料理」のテーマ曲
小回りのきくスタジオが4つあって、そこで情報交換できるので、明日迄に「今日の料理」のテーマ曲を作ってくれと言う事でいかにおいしく食べれるかとの要望もあり、生演奏しているところに行き、いろいろ料理のイメージをして、屋上のプレハブの一角を借りてそこで出来てしまった。
「ジャングル大帝」のテーマ曲
手塚さんはマネージャーを通さないで、自分でいきなり電話をかけてきて、作曲をしてほしいとの事だった。
虫プロに打ち合わせに行ったが、打ち合わせの人がいっぱいいて、分刻みで私との打ち合わせは17分取ってありました。
打ち合わせ室は無くて通路でやりました。
雄大なスケールのテーマ曲を作ってほしいと言われました。
聞いてもらって喜んでもらえると思ったが、最初のレオの雄たけび 一オクターブあげたがそれに拘って、真夜中に電話がかかってきて、特殊なメロディーだと言われて、考えています、考えていています、と言って時間が無くなり、結局通すことが出来ました。