2015年10月27日火曜日

杉浦銀治(国際炭やき協力会会長) ・炭やきで里山を守る

杉浦銀治(国際炭やき協力会会長) ・炭やきで里山を守る
炭の研究を70間続けてこられた。
大正14年生まれ 昭和15年に当時の宮内省帝室林野局東京林業試験場に入省し、エネルギー資源の炭の研究に力を注いできました。
当時の炭の生産量は220万トン、それが昭和40年には60万トンに減り、平成3年には3万
トンに減少し、炭焼き釜も激減しました。
杉浦さんの研究等で炭を土壌にまくと、米や野菜などの農作物の取れ高が増し、しかも、美味しくなる事も判りました。
その上、里山や川や海にも良い影響を及ぼすようです。

杉浦は木からガソリンを取る研究をしろという事で研究するが、杉、ヒノキ、松は油を持っているのは当たり前だが、広葉樹を触媒を使って軽い油を取ろうという事で、昭和17年からガソリン代用油の研究をしました。
木の灰をタブレットにしてそれを350度に温めておいたところに、炭焼きのガスを通すと軽い油になるのです。
研究途中に召集令状が来て、名古屋の中部の部隊に入って、下関から釜山から天津、南京まで来て、南京から船で安慶で初年兵の教育を受ける。
予備士官学校に入って終戦になってくれて、無事博多に上陸する事が出来た。
元の職場に帰って炭の研究をすることになりました。
今は炭焼き釜はほとんど跡だけになってしまっている。
漆、金属、日本刀でも炭で磨くです。
研磨炭の研究をやる。

最近は畑に入れることで野菜などの味が良くなるなどいろんな分野で、特に一番簡単なのは大豆などは豆類に炭を入れて栽培すると根粒バクテリアは炭があると付きやすいので、凄く美味しく、米まで効果があり、岩手県で5年間冷害が続いた時に、炭を使った田んぼは豊作になってしまった。
味もまた良かった。
果物等にも効果がある。(いちじく、りんご、なしなど、 土壌消毒も兼ねる)
炭を床下、天井に置くと臭いが無くなる。(消臭効果 湿気防止等)
北海道を舞台に色々な研究をしました。
カラマツ 成長が良いので炭にして土壌改良、雪を溶かす、そのあと地の成長が良い。
松露の研究 松露菌を炭が培養する。
まつたけも炭を入れると収穫量も増える。
60歳で定年になり、JICAでケニア等、アフリカに行き炭の事を教えて、そのあとにも民間NPO団体で東南アジアに行って、炭焼きの事を教える。
日本の技術はレベルが高いので、釜の作り方、焼き方等を教える。

白炭は真っ赤にしたものを外に掻きだして、灰で消したもの。(高い温度で焼くので固く締まっている ウナギのかば焼き等)
黒炭は窯の中で消してしまう。(柔らかい、茶道はクヌギでないといけない)
東南アジアにもクヌギなどの植林を勧めました。
炭にでんぷん3%で団子にして乾かして、タドン作りも教えて、一番喜ばれました。
通訳はじめ仲間ができて人生の最高の喜びでもあり感謝しています。
岸本定吉先生が国際炭やき協力会を作ろうという事で、作って現在12名位です。
教えてもらったことも色々あり、韓国では竹の塩を教えて貰いましたが、とても美味しい。
塩を竹筒に入れて、炭釜の中で焼いて、焼くと塩だけが残って外の成分が全部塩の中に移行して、それを9回行い、最後に温度が1000度ぐらいに上げると、紫水晶の様な綺麗な結晶した塩ができるんです。

里山はクヌギを植えて、もう一度自分の山を見直したらいいのではないかと思っている。
林業も考えないといけないと思う。
奥多摩の日の出町で炭焼きをやっている。
移動式の釜を使用して、間伐材は1日で焼いてしまって移動できる。
煙も木作液を取って臭い消し、土壌改良等いろいろな用途があります。
竹藪を炭に作ろうというのが流行っていて、その炭を土壌改良に使うが、うまくいっている。
故郷は愛知県安城市で、段戸山という山があって、そこに三河炭焼き塾を作って200人ぐらいいます。
鍛冶屋 たたらを子供達に教えている、海岸にいって磁石で砂鉄を集めて、炭と混ぜて最後は刀になるが、その研究をしています。
炭に関する博物館を作れたらいいなあと思っています。
炭はこんなに素晴らしいものだという事を実証してきたので、楽しくて嫌ということはなかった。
ウナギの養殖も炭を使って泥臭さを無くしてしまうとか、色々あります。
漆を磨く研磨炭の研究とか、まだ残っている分野がたくさんあり、特に水処理、水田にもっと炭を入れると水が浄化されてご飯がおいしく炊ける。
木を大事にするということは食物を大事にすることにつながる。
炭でご飯がおいしく炊けたり、海苔、ウナギのかば焼きなど、石油と違って炭自体が水を持っていないので、炭の良さを熟知しながら次の発展に向けてもらいたいというのが願いです。