2015年2月12日木曜日

柴田知彦・いづみ(建築家)     ・「まち」を創る建築をめざして(2)

柴田知彦・いづみ(建築家)    ・「まち」を創る建築をめざして(2)
私たちが若いころの建築は、都市と言うのを大きなテーマに取り上げていた。
戦後の復興と絡んでいるし、都市化がどんどん進んで都市化が集中する。
そんな中で都市とはどうあるべきか、といったことが非常に皆さんの主要なテーマの身になって行った。
建築家が都市像を発表するが、考えだけで終わってしまって、無力化する。
都市は人の顔が見えない、街は色々な活動をする単位、なじみが有り可能性を考えた。
町(行政区画)、街(ここち良さとか、楽しさ作りでどう考えるか)が主流だったが「まち」(ソフトが入っている) 行政が単に何か作りましょうではなく、住民、子供達の声などを含めてどんなことをして行きましょうかと、言う事を生かしたものが「まち」作りという風に考えている。

知彦: 滋賀にいって、自分たちでまちを創っているぞとの思いに対し、刺激を受けた。
東京でも自分たちの活動で環境を変えられるという事を近江の地から学んだ。
いづみ: 1995年阪神淡路大震災の時に、滋賀県立大学が出来て、一都市に行った。
地方都市の良さがわかっていないことが有って、私が話すと凄く輝く目で話を聞いて下さる。
それをやってみようという事になる。 
地域で活動して、地域のことを考えて、そのあとに地球の事を考えて、最後に社会を動かす、そういう様な事になるのが「まち」作りになると思っている。
彦根花菖蒲通りには 3武将 石田三成 島左近 大谷名部 のゆるキャラがいる。
ゆるキャラが地域を大事に盛り上げていってくれて、その効果が非常に大きい。
身近かなものを大事にして、身近なできるものから活動してゆく。

知彦: 焼野原になっても、或る高い文化と高い生活水準を持っていたので、それを取り戻すことは或る意味早い。
都市が注目されて、都市を蘇えらそうと建築界は邁進するが、美しい街というとパリを連想するが、其れは間違っていると思う。
パリができたのは巨大な権力のもとに独占企業の様な、オスマンというパリ市長が大ナタを振るう。
今の中国と同じ。
日本は違う、巨大な権力で姿を一つにまとめるというのは無理、巨大な権力でというようなことは良い事ではない。
最初は大混乱、最近は綺麗になって、整え方が優れている、ばらばらだが整ったそういう美しい環境が生まれるチャンスが有る、今そっちの方向に向かって進んでいる。

いづみ: パリも進化している。 
知彦: 日本は周りが海に囲まれているので、に競争する相手がいない。
ヨーロッパは周りに競争する相手、比較する相手がそばにいる、そばにいるという事は変化に対しては物凄く大切です。
或る目標を絵にする、模型にする事は大切です。
色々な人達との協力は必要です。
いづみ: 目白の「まち」作り 行政が駅を少し移動して、駅前に空き地を作った。
住民たちが行政に提案した。 
目白駅が新しくできて、開業式を地元でやりましょうと、大学が沢山あり、イベントをやろうという事で、憩いの広場、駐輪場、樹木を植えるという事を提案して、現在そうなっている。
目白通り、歩道を広げてほしい、並木道を復活してほしいと6年ぐらい折衝して、実現する事ができた。

知彦: 車社会から歩行者を大切にする。 ヨーロッパは30年以上前から進んでいる。
目白の住宅地の幹線道路にいま取り入れたいと、行政と共同で進めている。
コミュニティー道路として、歩行者が守られた道路、生活の快適な空間として緑、沿道でも繰り広げられるようなイベントができ、歩いて楽しい「まち」をつくろうという事です。
いづみ: アクト(ACT action connect with town ) 活動がまちと繋がる。
まち作りは、自ら動く事によって立ち位置がお互いが判ってくる。
その中から出来るものをやってゆく事からスタートした。
2000年に「勝負市」(路上マーケット)を作った、今も続いている。
空家だったりするところを学生が借りて、外はそのままで中をモダンに改装して、使えるようにして行きたいと思った。
LLPという有限事業会社を立ち上げて、寺子屋が10か所あったが、地元の人が借りていたが、学生たちと一緒に耐震補強をした。

知彦: 内閣府が防災の街づくりのモデル地域を定めるときに、住宅地の代表として目白を選んでいただいて、地域の人達とが多数集まる場を定期的に持ちまして進めた事が有ります。
防犯は毎日の問題なので、防犯を切り口に、地域の新しいコミュニティーの在り方というのが一つ残って続いています。
道の名前を付けようという運動もおこなった。
いづみ: 陸前高田市で「希望の庭の小さな家」を現地の人に送った。
吉田正子さんがヒマワリの種を撒いて、塩害に対して花が咲くかどうかを調べたりした。
彼女から「庭は家が有ってのことなんですよ」と言われて、ぐさっと衝撃を受けて、家を寄付しようと決めて、2012年真夏に学生たちと先ずテラスを作り始めた。
まっさらなところに新たに家を作るのには確認申請を出す様にと言われたので、11月ごろにようやく本体を作ることができた。

知彦: 土地と建物をくらべると比べると土地に価値が有って、建物は軽視されていたが、近江の話に在るように100年から300年の町屋は今でも使われている。
長く使われて、より高い価値を求めて追加の投資がなされて長く住む、これが大事だと思います。
街の方に投資して、生活空間が豊かになって、楽しい人生を送れるような時代になるといいですね。
いづみ: これからの時代として、緑化計画一石七鳥を提案していただきたい。 ①防災 ②環境
③景観 ④ビオトープ(生物の生息域) ⑤資産価値 ⑥集客力、観光 ⑦感性豊かな子供達が育つ。
持続的社会の形成をしなければならない。