2014年5月9日金曜日

一盛和世(元WHOジュネーブ専門官) ・昆虫がもたらす病と闘って30年(2)

一盛和世(元WHOジュネーブ専門官) 昆虫がもたらす病と闘って30年(2)
生物が好きだった。 東京生まれ、東京育ちで余り生物に関わっていきたいと思って農学部に入って、そこで昆虫を勉強しました。
卒論で蚊を使った研究を東大の医科学研究所ですることになって、蚊にかかわる。
多くの昆虫は血を吸わないのに蚊が血を吸うので興味を持った。
玉川大学はミツバチ研究が有名。 農学部の中に昆虫学の部屋があります。
血を吸う事から蚊が病気を媒介することになってゆく、其ことがどういうかかわりをしているか、興味があってそっちの方に行く様になった。
東大の医科学研究所に佐々学先生がいて、フィラリアの研究をされていて、勉強するようになりました。
日本ではその病気は無かったが世界ではまだあり、是非、何かしたいと思った。
サモアに行って、これは不幸だと思って、何とかこれを取り除こうと思った。

佐々先生からフィラリア症対策のプロジェクトがサモアで始まるよと、聞いたので参加する事にした。
病気があることに依って色々不幸が起きてくる。(歩けない、仕事ができない、経済的に厳しくなる等)
薬を村々に回って薬を配ってゆく事が仕事でした。
検査をしてどれだけ減ってきたかも調べる。
サモアではフィラリアに対して長い歴史があって、1970年代からプログラムがあって、かつてやっていたものがどれだけ効果があったかを、調べるために、かなりの検査は行った。(評価)
蚊の調査をしていました。(どれだけ蚊が運ぶのか?)
「六色クレヨンの島、サモアの蚊日記」 と言う本を出した。 それがNHKのラジオドラマになった。

蚊を顕微鏡の下で解剖して、虫がいるかどうかを調べたが、最近は解剖しなくても判るようになっている。
蚊が人に依ってくるときに捕まえる。
オスとメスがいるが、メスしか血を吸わないので、血を吸ったのが身体の中で、栄養として使われて、卵巣が発育して、卵が生まれる。
蚊は毎日血を吸いに来るわけではなく、2日ぐらいに血を吸いに来る。
吸血に来る時のタイミングで捕まえることが、大事なことです。
解剖すると何回血を吸ったか、は判ります。

現場がどう動くかと言う事、サイエンスを知る事、が大事です。
73カ国はフィラリアがある国なので、そこの国には同じように薬を配って、やっています。
いくつかの国の経験をしておくと、そこから推し量れる、想像力が育つ。
サモアの経験は非常に大きかったと思いっます。(ボランティアとして青年海外協力隊に参加)
判らない事がたくさんあり、面白いと思ったので、プロになろうと思ったが、一から勉強することだと思い、ロンドン大学に熱帯病の学校があり、そこにプロになるべく留学する事になる。
マラリア(蚊が媒介)の研究をした(昆虫媒介病対策)、博士号をそれで取った。
「マラリアのクロロ菌耐性」に関する論文。
グアテマラ、ケニア(ツェツェバエ 睡眠病)、タンザニア(マラリア)等に行く。  
熱帯病に関する経験をする。
WHOの仕事として、サモアに行く事になる。 (1992年 WHOの職員になる)

日本が持っているノウハウは現在世界中で使っている。
(科学、行政、住民が一体となってプログラムを作ってゆくと言う事)
薬配りはまさしく、そうなので、ソフト面、世界でドンドン使えると思う。
フィラリアでは日本の企業が、このプログラムに対して無償で提供している。
「橋本イニシアティブ」 フィラリア対策は大きくなってきている。
2020年までに無くすと言うのが我々の目標で、できる限り頑張っているところです。
日本の産官民学が一丸となって、このプログラムに手を差し伸べて、ゴールに辿りつけるような後押しをしていただければと思います。
若者が少なくなってきていると言われるが、残念には思っている。 
地球レベルで考えて見ると、日本人がここまで築き上げてきた物を世界で使える場所がたくさんあるので、今の若い人たちは世界の舞台に考えてほしいなあとは思います。
(世界は開かれているので)

インドネシアに行って、講演を予定。
ベクター(媒介昆虫) WHOの今年のテーマなので、インドネシアに呼ばれている。
フィラリアに出会って一貫して、その仕事をしてこれたのは幸せだったと思います。
人類対寄生虫、蚊 の戦いと言うものを繰り広げている、これは素晴らしいと思う。
人類は味方 味方同士で戦っている場合ではないと思う。
他の生物を全く無くしてしまう事にも、それをしている事に、真面目に真摯に取り組んでいかなくては行けないと思う。