枝元なほみ(料理研究家・NPO法人共同代表)・誰もお腹をすかせませんように
今月1日と3日に東京四谷の教会で無料の大人食堂が開かれ、枝元さんはコロナ禍で苦しんでいる人達にお弁当を作って配りました。 また料理家人生をかけて去年の10月にオープンしたのが夜のパン屋さんです。 各地のパン屋さんでその日残ってしまいそうなパンを買って、路上で生活をせざるを得ない人たちなどが東京神楽坂にある本屋の軒先でパンを販売しています。 これまでの65年間の人生の中で、枝元さんは貧困や食べる事生きることについてどのように考えてきたのでしょうか。
今月1日と3日に東京四谷の教会で無料の大人食堂が開かれましたが、私のほうで600食用意しました。 準備は自宅で行いました。 生活相談、労務相談とかそういった方がいらっしゃいました。 一昨年の12月30日、去年の1月4日にもやりましたが、その時の5~6倍の人が来ました。 コロナの影響だと思います。 仕事が無くなったり、学生さんのアルバイトが無くなったり、派遣の人が切られたり一番弱い人たちにしわ寄せが来ます。 家賃が払えなくて住む家が無くなってしまったりしています。
食べ物はいろんな種類が選べるようにしています。 話をしながらやるようにしています。 外国籍の女性でベジタリアンと言う事でそれにも対応しています。 女性のほうが大分少ないです。
使命感ではなくて、これならやれると思うと走ってしまうタイプです。 雑誌を路上で売って一冊売ると半分が売っている人の収入になるというシステムがあり、いっしょにやりましたが大変です。 仕事を作って仕事をしていただく、仕事のやり方も自分でやっていいというやり方でした。 そこがいいと思ってかかわるようになりましたが、夜のパン屋さんは、各地のパン屋さんの閉店前後に売れ残るものが出てきましたが、捨てざるを得ないパンを買って神楽坂の軒下で販売しています。 そういった仕事だとみんな生き生きしています。
食べ物の分配が上手くいかなくて偏っているからすごく困ってしまう人と、もっともっとかき集めておかないと不安だという人に別れてしまっていて、十分に分け合おうと思っていたら新しくて希望のある社会を子供たちに残せると思っちゃうんです。
日本は食品ロスが世界でも何番目かに多い国で、捨てていくものが世界中の食糧援助の倍近い食料が捨てられています。 食品ロスを減らすことで飢餓をなくすことに思いを寄せようというキャンペーンをやっていて、そのお手伝いを3年やっていたので、夜のパン屋さんをそこと一緒にできると思いました。
料理を30年間以上やってきましたが、最初の頃は見た目、栄養価、安い、うまいとかやって来ましたが、先につながらないような気がしてきて、根底にあるのは飢えさせないことだと思いました。 食べれない人たちに対して後ろめたさがあったんだと思います。
夜のパン屋さんは最初は知り合いのパン屋さん3軒しかなくて、やろうとしていることを説明して歩きました。 苦労して作ったものを売り切ってもらう事はありがたいことですと言われて、いいなあと思って頑張りました。 お客さんと売る人との関係性は柔らかい感じがして女の人の仕事作りにいいなあと思いました。 「三方良し」と言われます、それに加えてパンも良かったと思うので「四方良し」だと思います。
食べ物って明るいんです、明るくするものなんです。 人と共に生きる、共に食べることは未来を作っていくことなんだなあと思います。
食べることは生きることだと思うので、生きることを否定しては駄目です。
お腹が減っていると喧嘩しやすいが,お腹がいっぱいだと結構喧嘩はしないです。