2015年9月14日月曜日

祖父江逸郎(古屋大学名誉教授)  ・一期一会の人生を語る(2)

祖父江逸郎(古屋大学名誉教授)  ・一期一会の人生を語る(2)
人間といういものは医学的な立場から言っても、非常に精密な機械以上でどうやっても作れない、自動制御はこれだけ精密にできると言う事は、人間がモデルとしてある一定な恒常性を保つ為に、例えば、血糖値などは一時的に高くなるけれども、自然にある一定に保たれるようにできている。
100mg/dlの様に、血圧、体温等もすべてそうなっている。
「人間この未知なるもの」の著者、アレクシス・カレルはフランスの外科医で1912年にノーベル賞を受賞。
人間の長寿、寿命の研究にもつながってゆく。
寿命は遺伝子の研究その他細かく分かれてきた、特に最近は遺伝子のテロメアという部分があって、遺伝子の端にあり、遺伝子を調整している部分で、それが短くなると言う事は寿命と関係があると、最近判ってきた。
天寿というものは或る程度決まっているのではないかと、いう考え方もあるが、それがどういう病気をその間にするかによって変わってくる。

名古屋市に112歳小出安太郎さんが世界最高齢。
長生きの秘訣を問われ「無理をしないこと、自然に任せるのが一番」と話した。
天寿に近づいてゆくための真髄ですね。
病気をしたり、転んだりして寝込んでしまうと、内部構造の機構が壊れてくるので、寿命を短くしてしまう事に影響する。
金さん、銀さん 100歳以上元気だった。
ユーモアがあって、会話を楽しむ、高齢まで行くためには好奇心が大事、新しいものにあこがれる気持ち、が大事。
江戸時代、貝原益軒 「養生訓」 84歳まで生きた。
福岡の藩士をやっていた人で、好奇心のある人で、植物学、儒学、朱子学等が詳しくて、書物を一杯読んで、研究をしていた。
「養生訓」は84歳の時に書いた本です。(元禄時代で健康に関心があり当時のベストセラー)
生活習慣病、外傷、転倒などを非常に戒めていた人だった。

現在100歳以上が6万人以上だが、50年前は100人台だった。
昭和38年からの統計があるが100歳以上は153人だった。
将来は30~60万人になるのではないかと言われている。
一方で、ぜい弱性、寝たきりの高齢者がたくさんいることになる。
テロメアは遺伝子の端についている遺伝子の付属物で寿命と関係があると言われている。
生殖細胞、癌細胞はテロメアが長い、長さによって細胞の生存期間が規定されてくると言われている、これをうまく利用する事によって寿命をコントロールできるのではないかと言われている。
テロメアの長さを調べて、寿命が予言できるのではないかと言われている。
「死神」という落語 ろうそくにたとえて言っていたが、テロメアの長さを象徴している。
ろうそくを取り替えてやると瀕死の人が元気になる、テロメアとろうそくは似ている。

人間を取り巻く環境はいろんな要素があり、作用するものはその総合なので、うまくコントロールして、自然調節論、自動制御機構が寿命を作っている様なものでもある。
「人の命は我に在り、天に在らず。」(孔子)
生き甲斐というものをある程度はっきり意識して、こういう方向に持っていこうと、自分の目標とする様な仕事があって、それを完成してゆくように努力する。
そうすると絶えず身体の中に生きる力が芽生えてくる、現実的に調査して実験的に調べた結果、生き甲斐のある人、ない人を調べてみると、死亡率も違う。
アメリカのバトラーという人が高齢医学を全世界に広めていった人で、高齢者はプロダクティブエージングが必要だと言っている、世の中のために貢献してゆく、そいうことが是非必要で、そういう気持ち、力なりを与えていかないといけない。
そいう生活様式が健康に、長寿につながってゆく。

①天寿を生きるために自分のできることはいくらでもある。
②天寿への道は中庸を守る。
(自分がどういう状態かという事は自分の健康感で判る。身体は60兆の細胞がバランスよくコントロールされ統合されていて、朝起きた時の爽快感というのが一つの指標になる。 
それが損なわれている時には戻さないといけない。
そのためには栄養、運動、休養のバランスがうまくいくと爽快感がいつでもある。)
③脳の若さを保つ事が大事。
(心は脳にある、身体全体の司令塔、脳の働きが中枢になっている。
使わないと錆びてしまうので、使わないといけない。)

与えられた寿命は112歳までいける寿命を持っているが、その間に病気をしたり、無理をしたり、酒を飲み過ぎたり、煙草を吸い過ぎたりするので、身体を害してしまいます。
シルバーサイエンス 40~50年前から始まり、100歳の人の生活を研究しようと、調査を始めた。
長寿の人は好奇心を持っている、几帳面、真面目な生活をしている、考え方に柔軟性がある。
祖父江流、美老長寿
八快の勧め
三快・・・快食・快眠・快便
五快・・・快尿・快歩・快談・快声・快笑(笑いに依ってストレスが解消される)
自己流ストレッチ体操・・・一日に一回以上身体全体を動かす。(3回はやった方がいい)
朝布団の中で寝た形で(重力が無い状態で)手・舌・唇を動かす。(脳の血流が良くなる、刺激がある 血液の循環を良くする。) 寝る前も行う。
脳を刺激するために、新聞は少なくとも読む。(天声人語等コラム欄等) 本もいい。
思い出せない時の漢字は直ぐに辞書を引く。

生きてゆくと言う事は、社会人としてどういう生活をしてゆくか、という事にウエートが出てくる、使命があるわけで、集団の一員として、どういう事をやらなければいけないかという役割がある。
経験を社会に還元してゆくと言う大きな役割があるが、最近は薄らいできている。
知恵として働かせるためには人間の頭脳しかない。
近年はファーストライフになりストレスが非常に強くなって、60兆のハーモニーが悪くなってきている。
日本の伝統社会、伝統文化を重んじた社会構造が壊れてきて病的社会になってきて、大きな問題、課題だと思う。
60兆のハーモニーを壊したら駄目になるので、それを如何にコントロールし、保っていくのか。
85歳以上になったらトレーニングは必要ないと思う、機能を維持してゆく、無理をしてはいけない。